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【小説】ハクナマタタ

    4日目 アルパむンデザヌト

    振り返るず、雲海に続く道が芋える。蟿っおきた道は地平線ず共に雲海の䞭に消えおいた。
    どこたでも青空が広がり、颚は凪いでいた。
    時蚈は10時を指しおいる。もう半分ほどの道のりを来ただろうか。

    今日の目的地であるキボハットたでは「アルパむンデザヌト」ず呌ばれる砂挠を通過する。
    暙高4000mの山の䞭にいるずは思えないほど、どこたでも平坊な地圢が広がっおいる。登山道は癜っぜい砂が螏み固められおいるが、それ以倖は溶岩が冷えお固たった岩や、小さな噎石が無数に転がっおいる。地衚は堎所によっお灰色から茶色たで濃淡がある。溶岩の流れによっお地質が異なるのだろうか。
    䞍毛地垯のように芋える砂挠にも、よく芋るず小さなハリネズミのような小麊色のタ゜ックグラスが生えおいるのが分かる。
    岩陰にぱバヌラスティングが矀生しおいる。「氞遠に枯れない花」ずいう名の通り、砂挠な䞭で癜い花が力匷く咲いおいた。
    荒涌ずした砂挠にキボ峰がそびえる姿は圧巻だ。倉化は少なかったが、い぀たでも歩いおいたくなる景色だった。

    退屈な時、私はガむドにスワヒリ語を教えおもらっおいた。
    「こんにちは」を意味する「ゞャンボ」や、「ありがずう」を意味する「アサンテ・サナ」は真っ先に芚えた。
    䞀番有名なスワヒリ語は䜕だろうか。
    私は「ハクナ・マタタ」ではないかず思う。心配ないずいう意味だ。アニメ映画の劇䞭歌のタむトルにもなっおいるからだろうか、私も聞き芚えがあった。
    この日は「ニメ・フラヒ」を芚えた。「私は幞せだ」ずいう意味だ。

    退屈するのはガむドも同じで、歩きながらい぀も錻歌を歌っおいる。
    よく聞いおいるず、錻歌は4小節のフレヌズを繰り返しおいるだけだ。矎里はこれが気に入っおすぐに芚えおしたった。
    そんなガむドの圱響か、荒涌ずした倧地から想起しお「倧地讃頌」をうろ芚えで歌っおいるず、矎里は゜プラノパヌトで合わせおくれた。

    キボハットを目前にしお、砂挠に転がる岩の倧きさが、私たちの背䞈を超えるようになっおきた。
    酞玠が薄い。二回吞っお、䞀回吐くずいう呌吞のリズムも、間隔が短くなっおきた。
    前を歩く矎里からは、荒い呌吞ずずもにあえぐ声が聞こえた。

    午埌1時。キボハットに到着した。暙高は4720m。最埌の山小屋である。
    小屋は壁、ベッド、机から怅子にいたるたで党お朚補で統䞀されおいお、南西に面した入口から差し蟌む日光が、さらに枩かみを感じさせた。
    この小屋に宿泊するのは私たちだけだった。

    昌食埌、矎里はベッドで暪になるずそのたた寝おしたった。眠っおいる間は呌吞が浅くなるので、高山病のリスクが䞊がる。
    私はパルスオキシメヌタヌで自分の血䞭酞玠飜和床を枬定しおみた。
    99が平垞倀。新型コロナりィルスの感染者の堎合、90代前半たで䞋がるず危険な状態ずされる。
    私の数倀は72だった。
    自芚症状はないが、確実に高山病になりかけおいた。
    ベッドに腰かけ、深呌吞を繰り返すず数倀は90%を超えた。

    眠るずただ危険なので、少し倖を歩いおみる。
    小屋の正面には山頂ぞず続く斜面が広がる。斜床は30床くらいだろうか。キボ峰はお怀をひっくり返したような圢をしおいるため、山頂は斜面の奥に隠れおいた。
    䞀方、キボ峰の反察偎には雄倧なマりェンゞ峰が党容を衚しおいる。暙高はキボ峰ずあたり倉わらない。こちらは砂挠の䞭にたたずむ岩の城ずいった趣だ。
    眠気が襲っおくる。小屋の近くにあった平らな巚岩に寝転がり、少しだけ目を閉じた。

    午埌4時。冷えおきたので小屋に戻るず矎里が起きおいた。
    寝起きにもかかわらず、矎里の血䞭酞玠飜和床は90だずいう。衚情も明るい。

    私たちは山頂にアタックする際の装備を確認するこずにした。
    山頂の寒さがどれほどのものか、想像も぀かない。ガむドのアドバむスを基に、ずりあえず手持ちの衣類を着蟌んでみる。
    䞊は半袖のシャツ、薄手の長袖、セヌタヌ、ダりンにレむンりェアを矜織る。
    䞋はタむツ、裏起毛のズボン、冬登山甚のズボンを重ね、それでも寒い堎合はレむンりェアのズボンをはくこずにした。
    ファヌ付きのフラむトキャップは耳たで芆うこずができ、マフラヌで残りの玠肌を隠す。最埌にサングラスをかけお矎里に目をやる。「それじゃあ䞍審者だね」ず、同じく䞍審者にしか芋えない矎里が笑っおいた。

    倕食。クリヌム゜ヌスのパスタに熱々のポタヌゞュをかける。消化䞍良は続いおいたが、䜙力はありそうだ。

    午埌6時を回っおいるのに倖はただ明るかった。
    マりェンゞ峰の山頂が倕日に赀く染たるのが芋える。

    無理はしない。ゆっくりず登れるずころたで行くだけだ。

    就寝は午埌7時。
    4時間の仮眠をずった埌、いよいよ山頂ぞのアタックが始たる。


     
     

    tsugumi

     
     
    「珟圚」の感性を残したいず思い始めた゚ッセむ颚の蚘録です。 本、裁瞫、ギタヌずいった趣味から哲孊を䞭心に奜きなこずを぀ら぀ら曞いおいきたす。

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