
そういえば、祖父の仏壇に手を合わせた後はいつも上手くいく
「死んだらお前のところに出て行って、幽霊がいるってことを証明してやる」
癌の闘病中だった祖父が、亡くなる前に私に言った何気ない一言だ。
私の祖父は生前、本当にすごい人だった。
(どんな人だったのかは、以前書いたこちらの記事で詳しく触れている。)
如何せんスケールの大きな人だったので、「この人なら本当にやりかねない」と当時の私は妙に納得した記憶がある。
実際に祖父が亡くなった後、お葬式は関係者のスケジュールの都合ですぐには行われず、数日間、実家の和室に遺体が安置されることになった。 当時中学生だった私は、なぜか毎晩その和室に行き、棺の中で眠る祖父をじっくり見ながら、「この人のことだから、ふと目を覚ますんじゃないか」なんてことを思っていた。流石に目を覚ますことはなかったけど。
葬式が終わり、火葬して持ち帰った遺骨を和室の仏壇に置いた日から、少し不思議なことが起こった。
実家には、仏壇のある大きな和室の横に小さな和室があり、そこは生前、祖父の部屋として使われていた。その部屋の前に1階のトイレがあるため、私はリビングからトイレに行く際にそこをよく通っていたのだが、ある日突然、そこを通るのが無性に怖くなったのだ。
私は霊感も全くなく、幽霊や超常現象については完全に懐疑的な立場だ。でも、あの数日間だけは、ずっとそこに「何か」がいるような気がしてならなかった。 もしかしたら、火葬を終えた祖父が部屋に戻ってきて、私との約束を果たそうとしていたのかもしれない。流石の祖父も、生きている人間と直接話したり、目の前に姿を現したりすることまではできず、何かしらのパワーだけを必死に私に送っていたのだろうか。
怖いと感じたのはほんの数日のことで、すぐに日常へと戻っていった。 四十九日の法要も終わり、祖父の遺骨は先祖が代々眠るお墓に移され、実家には祖父の遺影だけが残った。
思えば私は、祖父が亡くなってから今日に至るまで、何か大きなイベントや絶対に成功させたい挑戦がある度に、仏壇に手を合わせるようになっている。 そして、こうお願いするのが習慣になった。
「幽霊になって出てくるっていう約束、結局守れなかったんだから、今回はその分、私に力を貸してほしい」
高専を受験した時。推薦入試に落ちてしまい「一般入試ではどうしても受かりたい」と必死になっていた私は、試験の当日の朝、「今日は入試に行ってくるから力を貸して」とお願いをした。
結果は合格だった。
それ以降も、大学編入の際、就職面接の際、TOEICや英検の試験前など、何か「あと一押し、力が欲しい」と感じた時は、必ず仏壇に手を合わせている。
もちろん、努力もせずに神頼みをしているわけではない。やるべきことをやった上での、最後の頼みとしてお願いをしているに過ぎない。だから、仏壇に手を合わせるという行為自体に、特別な力はない可能性の方が高い。
ただ、可能性がゼロだとは、どうしても思えないのだ。 私は、祖父が今でも何かしらの形で私を見守り、力を貸してくれていると、密かに、けれど確かに信じている。
これから先、私は祖父が創り、父が受け継いだ、60年続く会社を受け継ぐことになる。
きっと、これまで以上に大変な壁にぶつかることも絶対に起きるだろう。
そんな時は迷わず、祖父の力をもう一度頼ってみようと思う。