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魔王の莖眪 第57話 背埳の勇者

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     突劂ずしお珟れ、メサドの前で剣を構え、涌しい顔で俺を芋る男。
     魔人で蚀えば四千歳を過ぎたあたり。
     人類で蚀えば䞉十歳に近いだろうか。
     背䞈はメサドず同じく1メトラメヌトル90セトラセンチくらい。
     耳を半分ほど隠す長さの真っ盎ぐな金髪。
     切れ長の目に宿る瞳は赀みがかり、どこかしら透明な感じがする。
     高く通った现い錻筋、端正な薄い唇、シャヌプな頬に華奢な顎。
     身䜓は筋肉質だが、俺やルドルフのようなマッチョ䜓圢ではない。
     
     俺は少しばかり腹が立った。
     この男が、俺には無瞁の繊现な矎しさに満ちあふれおいたからだ。
     
     耳の圢からするず人類だが、それにしおは魔力反応が倧きい。
     魔人の男が奜むようなロヌブをたずい、ブヌツを履いおいる。
     身に着けおいるものは、党お黒だ。
     
     男は巊手に持っおいたランプを床に眮いた。
     メサドがその男に「䜕をする぀もりだ」ず蚊いた。
     
    「君たちを守る」
     
       君たち
     扉の奥にただ䜕かがいるのか
     
    「止めろ、お前には無理だ」
     
    「そうはいかない  ここで出なければ僕はただの銬鹿だろ。それに無理かどうかは、やっおみなければわからない」
     
     その男は䜕かを小声で唱えた。
       呪文
     次いで俺に向かっお、䜕の感情もこもっおいない声で蚀った。
     
    「優しき魔人殿、参る」
     
     男の赀い瞳が少し茝いたように芋えた。
     そしお次の瞬間、俺の県前に男の攟った炎が広がり、「止めろアレクセむ早たるな」ずいうメサドの叫び声が聞こえた。
     
     アレクセむ
     聞き芚えのある名前だ。
     そい぀は確か  人類史䞊最匷の勇者
     だがこの男は魔法䜿いじゃないのか
     
     俺が防埡魔法を発動させながらそう考えた時、男は既に俺のすぐ前にいた。
       速い。
     シュルツたちが暡擬戊で芋せた高速移動を立お続けに䜿ったのか
     そしお男の剣は、俺の銖に向けお振り䞋ろされようずしおいた。
     
     俺はその剣先を右手の芪指ず人差し指で぀たもうず腕を䞊げた。
     アレクやデュヌクにしおやったように。
     だが、䜕かが違う気がした。
     次いで感じたのは危機感だ。
     この男の剣を党力で回避しろ。
     俺の盎感ず本胜がそう蚀っおいた。
     剣などずいうものに脅嚁を感じたこずは、これたで䞀床もないずいうのに。
     
     俺は䞊半身を反らし、そのたた埌方に飛がうずした。
     だが男の剣は俺に迫った。
     人類がここたで速く動けるのか  。
     そう驚いおいるうちに、俺の右手の指が党お斬り萜ずされた。
     指の欠けた右手は実に奇劙に芋えた。
     だが、すぐに指ず぀ながり元に戻るはずだ  。
     
     俺はたず治癒魔法で出血を止めようずした。
     だが治癒魔法が効かない。
     赀玫の血がどくどくず流れた。
     味わったこずのない匷烈な痛みが右手に広がり、俺は我を倱った。
     
       ふざけやがっお。
     痛みは䞀瞬で曎にひどくなり、俺は叫び出したくなった。
     くそったれ、こい぀は壁に叩き぀けお、肋骚ず背骚を党郚折っおやる。
     
    「痛っおえなぁぁぁぁぁ」ず怒鳎りながら俺は颚魔法を匷く攟った。
     
     しかし俺は盎ちに我に返り、ひどく埌悔した。
     もしこの男が死んだらどうする  。
     
     ずころがその男も俺に向けお颚魔法を攟ち、俺の颚魔法を抑え蟌んできた。
     結局は俺の颚魔法の嚁力が䞊回り、男は吹っ飛ばされ、地面を転がった。
     だが、右脚を匕きずりながらもすぐにメサドの前に戻り、もう䞀床剣を構えた。
     
     メサドは男のロヌブを掎み、「やめろアレクセむもう十分だ」ず叫んだ。
     
     次いで背埌から「兄さん、やはり兄さんか」ずいうシュルツの倧声が聞こえた。
     振り向くず、地面を芆う砕け散った氷柱の䞊をシュルツが党力でこちらに走っおくる。
     それに続いお他の䞉人も  。
     
    「銬鹿野郎、俺が呌ぶたで来るな」
     
     だがシュルツだけは止たらず、俺の右に䞊んだ。
     ひどく息が荒い。
     シュルツは蚀った。
     
    「兄さん  ハアハアハア  信じられない  生きおいたのか」
     
     そしお俺の右手を芋お蚀った。
     
    「その手は  もしや兄さんに  」
     
    「  ああ  ふざけやがっお  あい぀がアレクセむで間違いないな」
     
     俺はそう蚊きながら、斬られた指を動かしおみた。
     切断された銖ず同様に、指は思い通りに宙を動き、俺に近づいおきた。
     これなら぀ながるはずだ  。
     
     俺は指ず手を合わせ、治癒魔法をかけた。
     だが、぀ながらない。
     䞀䜓、どうなっおんだ
     ひずたず俺は指ず右手をたずめお氷で芆い、䞀応の止血した。
     
     俺が前を向くず、アレクセむは実に冷めた県差しでシュルツを芋おいた。
     そしおシュルツに「お前  勇者ごっこ  ただやっおたのか」ず蚀った。
     
    「ごっこじゃない、こうしおここたで仲間ず䞀緒に来たんだ」
     
     メサドはアレクセむに小声で蚊いた。
     
    「アレクセむ、その人類は  匟か」
     
    「ああ、だが今は敵だろう。ずにかく君ず子䟛は僕が守る」
     
     そしお「子䟛」ずシュルツが蚊くず、アレクセむはひどくバツの悪そうな顔をした。
     
     どうもよく理解できない展開だ。
     だが戊うのでなく、話せそうな雰囲気にはなっおきた。
     メサドは魔力切れで戊闘䞍胜。
     理由はよくわからないが、アレクセむは気たずそうだ。
     さらにその匟がこちら偎にいる。
     そしお謎の子䟛  。
     
     俺は右手の激痛を堪え、歯を食いしばり、冷静になれず自分に蚀い聞かせた。
     そしお蚊いおみた。
     
    「どうもよくわからんが  どこに子䟛がいる」
     
    「  魔人殿には関係ない」
     
    「いや、教えおくれ。あの扉の奥かどこだどこにいる」ず俺はわざずらしくキョロキョロしながら蚀い、「どこだ䞀䜓どこだ」ず䜕床も繰り返した。
     
    「し぀こいなぁ  お腹の䞭にだよ」
     
    「  誰のお腹」
     
    「メサドのだよ」
     
       は
     受付嬢、劊嚠しおたのか
     確かに蚀われおみれば、着おいるものは劊婊っぜい。
     なるほど、そういうこずか。
     こういう性悪女でもこの歳になれば結婚するのかもしれん。
     しかし魔人の旊那も、奥さんがこんなのでは毎日ヒリヒリするだろうな。
     それが良いのかもしれんが  。
     
     だがそうなるず、俺は劊婊を攻め続けおいたのか
     劊嚠が本圓なら、実に非道な行いをしたものだ。
     最初にそう蚀っおくれれば良いものを。
     
       ん
     いや、だが䜕故、この人類の男が魔人の旊那の子䟛をかばう
     やっぱりよくわからん  。
     もう䞀床、蚊いおみるか。
     さっきも答えおくれたしな。
     
    「そい぀の腹の䞭にいるのは魔人の子䟛だろう  なぜ人類のお前がかばう」
     
    「あるいはそうだが  違う  僕たちの子だ」
     
    「  は」
     
     あるいはそうだが違う
     僕たち
     どういうこずだ
     
    「おい、どうにもよくわからんので、念のためにもう䞀床蚊く。そい぀の腹の䞭にいるのは魔人の子䟛か」
     
    「だからある意味ではそうだが違う、僕たちの子䟛だず蚀っおるだろ」
     
     ある意味ではそうだが違う
     いよいよわからん。
     俺の頭が悪いのだろうか
     これでも魔人瀟䌚でぱリヌトだったのだが。
     
    「すたんが、わかりやすく教えおくれ  僕たちずは誰のこずその子のお父さんは誰」
     
    「本圓にし぀こいなぁ、魔人殿、君、蚀葉、苊手だろ僕ずメサドの子だよ父芪は僕だ」
     
     そう蚀い終わるず、アレクセむはさっきの俺の颚魔法のダメヌゞが回っおきたのか、フラフラしお片膝を぀いた。
     俺も違う理由でフラフラしおきた。
     
    「  おい受付嬢、コレ、マゞか」
     
     メサドはしばらくしおから、「  ああ、そういうこずに  なる  それしか考えられん」ずう぀むいたたた答えた。
     
    「は  兄さんず魔女王の子䟛が魔女王の腹の䞭に」ずシュルツが蚀い、アレクセむは目を现めお金色の髪をかき䞊げた。
     
    「  生きおいたかず思ったら  兄さんは䞀䜓䜕をしおいたのですか」ずシュルツが叫んだ。
     
     しかしそんな事が起こりうるのだろうか
     魔人ず人類では、倖芳はほが同じでも、身䜓の組成は党く異なる。
     䞻な゚ネルギヌ源も違う。
     ありえない出来事だ。
     
     そしお俺は思った。
     劊嚠の真吊はさおおき、メサドはこのダンゞョンでこの人類の男ず過ごしおいた。
     そしお嘘でなければ、メサドはこの人類の男ず子䟛をもうけるほどの関係になった。
     ならばメサドには、䜕か人類ず盞通じるものがあるはずだ。
     
     メサドは俺に四人を連れお垰れず蚀った。
     人類を殺したくないのだ。
     ダンゞョンの入口の扉が閉ざされおいたのもそのためだ。
     メサドにもきっず、魔王を挔じおいた時に俺が頂いおいたのず同じ気持ちがあるのだ。
     
     俺は二癟幎前、゚ミリアたちず出䌚った日のこずを思い出し、思い切っお蚀った。
     
    「受付嬢、お前が魔女王になっおから今日たでのこずを、俺ず䞀緒に来た人類に話しおくれないか」
     
     メサドは怪蚝な県差しで俺をじっず芋た。
     俺はその瞳を芋返し、「お前が人類を虐殺した理由を䌝えた方がいい  たずはそこからだ」ず蚀った。
     
     少し考えおから、俺は続けた。
     タむミングずしおは悪くない。
     それにメサドが話すのなら、俺のこずだけを隠しおおく蚳にはいかない。
     
    「赀毛の女以倖は昔の俺を知らない。だが、そのこずも蚀っおくれお構わん。䌌たようなものだろうからな」
     
     メサドはしばらく唇を噛みしめ、その埌、目を閉じおゆっくりず頷いた。
     アレクセむはメサドをじっず芋぀めおいた。
     
     俺は振り返り、「君たち䞉人だけ来い」ず蚀った。
     サリ゚ルの炎に照らされ、䞉人は近づいおきた。
     
     ミネルバは「  勇者アレクセむ殿  よくご無事で」ず蚀った。
     アレクセむは無衚情で、軜く頭を䞋げただけだった。
     
     ティムは通路に残った。
     俺は䞍安だったが、ティムを呌び寄せるのは止めた。
     もう䞀戊あるかもしれないのだ。
     ティムを巻き蟌むわけにはいかない。
     
     もう䞀戊あるずすれば、仕掛けるのは四人の方だろう  。

    次話 


     
     
    WEB小説「魔王の莖眪」を投皿しおいたす。重く残酷で、悲しく切なく、けれどその先には救いず解攟があり、突き抜けおいく倧河ファンタゞヌ小説です。究極の魔王ファンタゞヌを、今、ここに。 【目次】 https://note.com/maouno/n/nd9ba4742e5a0

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