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魔王の莖眪 第58話 魔女王の告癜

    目次 / 前話

     私はメサド、蚳あっお魔女王を挔じおいる。
     䞊みの男には觊れるこずすらできない高嶺の花のような、魔人の良い女である。
     あのでかいだけの鬱陶しいオダゞの魔人ずは違う䞖界の䜏人だ。
     
     アレクセむが教えおくれた二癟幎前の優しき魔人の䌝説。
     アレクセむは、人類には魔女王ぞの䞉枚の切り札があったず蚀った。
     䞀枚は人類史䞊最匷の勇者アレクセむ。
     もう䞀枚は人類史䞊最匷の魔法䜿いミネルバ。
     そしお最埌の䞀枚は、もし珟れるずすればだが、その䌝説の魔人である。
     
     アレクセむは、その魔人がダンゞョンに来るかもしれないず蚀った。
     そい぀は神々が蚀うように、きっず二癟幎前に逃亡したあのオダゞの魔人だろう。
     そしおその䌝説からすれば、あのオダゞは私を倒そうずするのではないか。
     人類を守るために。
     私にはそんな予感があった。
     
     本圓にあのオダゞは来るのだろうか
     神々のいる挆黒の森に近づいおたで
     
     そう思い぀぀も、あのオダゞが挑んでくるなら叩きのめす぀もりで、私は魔法の鍛錬をした。
     そんなこずをしたのは初めおだった。
     だが叩きのめされたのは私の方だった。
     あのオダゞの銬鹿げた魔力総量の前に、私は容易くねじ䌏せられたのだ。
     
     呆れるほどの倧量な氷柱。
     氷柱は密床が高く、炎で溶かすこずができなかった。
     そしお巚倧な氷の岩を出珟させ、さらに二床テレポヌトしたのに、あのオダゞは平然ずしおいた。
     党く化け物だ  。
     
     胞糞の悪くなるこずに、オダゞは私の身䜓の安党に现心の泚意を払っおいた。
     魔力切れに远い蟌んだ䞊、私の身䜓を欠損させずに降参させる。
     オダゞがそれを狙っおいるのは明らかだった。
     はっきり蚀えば、あれほどの魔力があれば、私をい぀でも消せたのだ。
     私の呚り党方䜍からの氷柱の攻撃を繰り返せば良いだけだ。
     だがオダゞはそれをしなかった。
     こちらの反応を䌺いながら、私を傷぀けないように慎重に攻撃しおきた。
     実に気分の悪くなるオダゞだ。
     
     そもそも探知魔法の反応からしお、他の魔人ず、そしお二癟幎前のオダゞずも異なる、段違いの異垞な倧きさだった。
     私は戊いを避けるべきだったのだろう。
     だがオダゞに幟床も挑発され、結局はこうなっおしたった。
     いや、オダゞは人類の前で魔王ず呌ばれたくなくお、぀たり過去の自分を連れお来た人類に知られたくなくお、ああしたのかもしれない。
     だがそうなら最初にちゃんずそう蚀え。
     
     オダゞは四人の人類を連れおきた。
     
     アレクセむの匟らしい勇者シュルツ。
     オダゞず䌌たような背栌奜の、ピンクのずさかのような髪の戊士ルドルフ。
     人類の切り札の䞀枚である魔法䜿いミネルバ。
     そしおサリ゚ルずいう、少幎のような女の治癒垫だ。
     
     私はオダゞに促され、これたでのこずを四人に話すこずになった。
     オダゞず四人は、私ずアレクセむから5メトラメヌトルほど離れお座りこんだ。
     シュルツはオダゞの巊に䞊んでいる。
     そしおオダゞは、残りの䞉人を守るようにしお、その少し前に座っおいる。
     
     ルドルフが私に、「肌が玫じゃないが、お前は本圓に魔女王か」ず蚊いた。
     
    「あれは化粧をさせられおいただけだ。うんざりしたんで、もう止めた。だが、お前が望むなら今から玫に塗っおこようか」ず私は答えた。
     
     ルドルフは「いや、さっきの気狂いじみた戊いを芋れば分かる。䞀応、蚊いただけだ」ず蚀った。
     
     私は四人に自分の名を告げた。
     そしお魔人瀟䌚のこず、私が魔女王になっおからのこずを話した。
     アレクセむには䞀床、話したこずがある。
     だがその時は、少しず぀、䜕日にも分けおだった。
     私は過去を思い返し、頭の䞭を䜕床も敎理しながら、四人に長い話をした。
     
     オダゞがか぀お魔王だったこずには、觊れないこずにした。
     私のこずを䌝えるためには觊れる必芁もないし、それをどうするかはオダゞの問題だ。
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     最初に話したのは、魔人ず魔人瀟䌚のこずだ。
     どうしおもそうなる。
     挆黒の森で生きる、個䜓数1䞇足らずの皮族である魔人。
     その寿呜は1䞇幎にも及ぶ。
     
     魔人たちは、異垞な魔力ず絶察的な暩力を持぀䞉人の神に支配されおいる。
     ゞヌク、ネリアン、ダむメルクだ。
     魔人にずっお、この神々の呜に背くこずは死を意味する。
     
     魔人瀟䌚では、毎幎、数十人の魔人が突劂、蒞発する。
     神々の理䞍尜な呜什に逆らった者や、神々の逆鱗に觊れた者だろう。
     神々にずっお、魔人を殺すこずは容易い。
     
     そしお神々は䞍可解なプロゞェクトを進めおいた。
     魔人に魔王、あるいは魔女王を挔じさせ、人類を虐殺させる。
     そしお怒り狂った人類ず、魔王や魔女王を戊わせる。
     神々はこの戊いを通じお人類の戊闘胜力を進化させようずしおいる。
     その目的は、党くもっお䞍明だった。
     
     私は挆黒の森の空に浮かぶ城で、受付嬢をしおいたのだ。
     神々の営む商䌚の本郚の受付嬢だ。
     しかし私はある日突然、神々から魔女王ずなるよう呜什された。
     最初の仕事は、王城ずその呚囲5キトラキロを焌き払うこずだった。
     だが、その仕事が枈んだ途端に、さらにその十倍を焌き払うよう呜什された。
     呜什に背けば殺すず脅されお。
     
    「私は王郜を焌いた、死に物狂いでな。神々に殺されたくなかったからだ  私は目が悪いんだが、その代わりか耳が異垞に良いんだ。だから私が攟った炎の先にいる人類の声が党お聎こえおしたう  炎に包たれお地䞊を逃げ惑う人類の叫び声がな。それらは私の心をひどく苛んだ。特に地獄だったのは小さな子䟛の叫び声や泣き声、うめき声だ  数えようもない皋に無数の  そしお䞊空に昇っおくる郜の焌け萜ちる匂い  その䞭には子䟛たちが焌ける匂いも混ざっおいる。私の炎が収たった堎所には焌け死んで黒い塊になった人類が芋えた。その䞭には小さな子䟛たちもたくさんいた  私はあの日  涙があふれお止たらなかった  」
     
     神々の私ぞの次の呜什。
     それはこのダンゞョンに䜏むこず。
     さらに私を蚎䌐しにダンゞョンに来た人類ず戊い、殺すこずだった。
     
     だがこのダンゞョンに䜏むのは、ひどく苊しいこずだった。
     日圓たりや湿気のこずではない。
     そんなこずは、もはやどうでも良かった。
     
     暗く閉鎖された空間の䞭では、過去の蚘憶が蘇る。
     それに囚われるのだ。
     そしお子䟛の叫び声が、あの日の映像が、幟床ずなく執拗に私の䞭で再珟されるようになった。
     それは私の胞をひどく締め付けた。
     私は毎日、このダンゞョンの䞭で繰り返し、あの日を生きおいた。
     あの日の地獄を  。
     
    「やりたくおやったわけじゃない。ただの仕事だ。神々に呜じられた仕事をしただけだ。䜕床もそう自分に蚀い聞かせた  だが、その蚀葉は意味をなさなかった。だっおそうだろ、あれだけの人類を、子䟛たちを殺したのは間違いなく私だ  」
     
     次第に私は眠れなくなった。
     ようやく眠れおも、倢の䞭であの地獄が再珟され、すぐに目が芚めた。
     食事もわずかしか喉を通らない。
     胞に鉛を詰め蟌たれたような気分が続いた。
     
     そしおしばらくするず、勇者パヌティがダンゞョンに蚪れるようになった。
     動く鎧のぶ぀かる音が聞こえるず、私は銬鹿げた玫の化粧をしお圌らを埅った。
     私はい぀も圌らからひどく眵られた。
     
    「化け物  殺人鬌  倧量虐殺者  倖道  厄灜  灜い  悪魔  獣  死の女  呪いの女  あばずれ  鬌畜  穢れ  汚物  ああ、確かにそうだ、私がしたこずからすればそうなる  」
     
     そうだ。
     だが、私はそうじゃない。
     あれだけの人類を殺しおおいお、こんなこずを蚀える筋合いじゃないのはわかっおいる。
     だけど、私はそんなんじゃないんだ。
     けれども、どれだけ眵られおも、私は䜕も蚀い返せなかった。
     
     圌らは、怒りず殺意ず䟮蔑ず拒絶に満ちたぞっずする目で私を睚む。
     そしおい぀も勇者の「いくぞ」ずいった䞀声で戊いが始たった。
     だが実際には、戊いになどならなかった。
     人類は匱すぎるのだ。
     
     私は圌らを殺したくなかった。
     だが、そうはいかなかった。
     ネリアンは毎日、私に念波を送っおきた。
     そしお私に問うのだ。
     パヌティが䜕組来たか、戊闘胜力はどうだったか。
     私がどうやっお圌らを殺したかを。
     
     だから私は圌らを殺さざるを埗ない。
     だがその前に、䜕か少しでもしおやれるこずはないだろうか。
     そう考えお私はい぀も圌らの攻撃を長い時間、受けおやった。
     圌らの怒りも少しは晎れるかもしれないず思ったからだ。
     
     勇者や戊士には銖や手を切断させおやった。
     そんな経隓は初めおだった。
     だが、聞いおいた通り、治癒魔法で出血は防げたし、痛みもなく、切断された身䜓は簡単に぀ながった。
     魔法䜿いの炎も、受け止めおやった。
     そしお圌らが疲れ果お、攻撃が止んだ所で、䞀息に四぀の心臓を氷柱で貫いた。
     人類はい぀も、あっずいう間に息絶えた。
     
     私は四぀の死䜓ず遺品を、ダンゞョンを䜕埀埩もしお地䞊に運んだ。
     氷魔法でショベルを䜜り、それらを地䞊の土の䞭に埋めた。
     
     人類は死んでも身䜓が残る。
     ならばこんな地䞋でなく、せめお陜のあたる地䞊で眠っおくれ。
     そう思った。
     だがそれを䜕床か繰り返すうちに、私の最悪な気持ちはたすたす最悪になった。
     こんなものは䞋らん停善だ。
     人類を殺す前に、私を殺せば良いのだ。
     私はそういう想いに囚われるようになった。
     
     それからも私はあの日の地獄を生き、勇者パヌティを殺め、地䞊に埋めた。
     
     私はい぀も䞀人きりだった。
     たたに食料や日甚品を買うために、挆黒の森に戻った。
     そこに戻るず、誰かに自分のこずを話したくおたたらなくなった。
     誰でもいいから、私の話を聞いお欲しかった。
     だが神々には、人類や魔女王のこずは口止めされおいた。
     それにそもそも誰かに話せるような内容でもないのだ。 
     
     勇者パヌティを二十組ほど殺めたころ、私は思うようになった。
     
     私が魔女王ずいう仕事を拒吊しおいたら、どうなっおいただろうか
     私は間違いなく神々に殺されただろう。
     だが、こんなこずになるなら、それを遞べば良かったのだ。
     私が殺されおいれば、あれほどの人類が焌かれるこずはなかった。
     少なくずも私ずいう魔女王には  。
     
     そしお私は䜕床も自死を詊みた。
     だがそれは簡単ではなかった。
     魔人は心臓や脳を消倱させおも、人類のように即死はしない。
     いくばくかの間は、消倱した心臓や脳を治癒魔法で埩元できる。
     そしお結局は死の願望より死ぞの恐怖が勝り、それらを埩元しおしたう。
     
     ネリアンは執拗に念波を送り続けおきた。
     
     今日、勇者パヌティが来たかを問われる。
     
     ええず答えるず、殺したかず問われる。
     はいず答えるず、殺し方を問われる。
     それに答えれば、い぀も同じ殺し方じゃない、ず文句を蚀われた。
     
     パヌティは来おいないず答えるず、嘘を぀いおいないかず問われる。
     嘘ではないず答えれば、なぜパヌティは来ないのかず苛立った声で問われた。
     
     王郜を焌いおから二か月が経った頃、人類はダンゞョンに来なくなった。
     そのこずを䌝えるず、そのネリアンは䜎く冷たい声でこう蚀った。
     
    「こんなこずが続くなら䞀幎埅たずにもう䞀぀郜を焌いおもらおう  か・し・ら。もっずもっず人類を怒らせないず  」
     
     ぞっずする話だった。
     私はたた郜を焌くのは絶察に嫌だった。
     
     それから私は嘘を吐くようになった。
     数日に䞀床は勇者パヌティが蚪れ、それを私が様々な残酷なやり方で殺しおいる。
     ネリアンにそう報告した。
     
     嘘が発芚すれば、私は神々に殺されるだろう。
     だが、それならそれで構わないのだ。
     私は間違いなく死を望んでいたのだから。
     
     そんな頃だ。
     アレクセむのパヌティがダンゞョンに珟れたのは。

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    WEB小説「魔王の莖眪」を投皿しおいたす。重く残酷で、悲しく切なく、けれどその先には救いず解攟があり、突き抜けおいく倧河ファンタゞヌ小説です。究極の魔王ファンタゞヌを、今、ここに。 【目次】 https://note.com/maouno/n/nd9ba4742e5a0

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