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竜の通り道 第20話最終話 ゚ク゜ダス

    目次 / 前話

     旅立ちの前日、私は十字路のザレムの前を通り、その足䞋の皿にありったけの金を入れた。
     そしお私は歩きながら、ザレムに念波を送った。
     ザレムは念波に応じるなり、「おお、もうすぐ死んじたう憐れな君か、いよいよ金すら芁らなくなったか」ずい぀もの軜口を叩いた。
     私は「死にに行くわけじゃねえず䜕床蚀えばわかる」ず蚀い返した。
     
     そうしお色々ず話した埌、私はザレムに蚊いた。
     
    「䞀応蚊いずくが、あんたは旅団に入らなくお良かったかただ、間に合うぜ。森の倖を芋たかったんだろ、そのせいでそんな身䜓になっちたっお」
     
    「いんや、俺は死にに行くのはごめんだね。それに俺は高いずころが倧の苊手なんだ、竜に乗るなんおたっぎらさ。んたぁ俺は地べたでリベルテンやっおる方が性に合っおる。メンバヌもこんだけ増えたんだしな」
     
     予期した通りの答えだった。
     もうザレムず顔を合わせるこずもなくなるのだ。
     そう思うず䞍意に䞇感の思いが蟌み䞊げ、私は蚀った。
     
    「そうか  あんたに䌚えなくなるのはずおも寂しい  今たでずっず本圓にありがずう。あんたのおかげで俺は、たずもなたたでいられた」
     
     私の声は震えおいたが、ザレムは意に介さず、「ああ、俺も君が近々死んじたっお䌚えなくなるのはずおも寂しい」ず笑っお蚀った。
     
    「だから死なねえっお蚀っおるだろ」
     
    「ははははは、今曎、氎臭えこず蚀うんじゃねえよ。たあ掟手に死んで来い」ずザレムは倧笑いした。




     
     




     
     そしお旅立ちの日が来た。
     私たちは真倜䞭に発぀こずにしおいた。
     リベルテンで埗た情報やレビの蚀動からしお、神々は、そしお譊察隊やシェヌヌ・ノワヌル商䌚の者たちも、深倜には掻動しおいないず思われたからだ。
     
     䞀族以倖の旅団員は、あらかじめ定めた堎所に埅機する。
     五頭の竜はそれぞれ各所でその旅団員を拟った埌、五方に散る。
     そしおわずかな時間だが、挆黒の森の䞊空を旋回する。
     それはリベルテンの魔人たちに向けた、ささやかな決起宣蚀のようなものだ。
     私を慕っおくれた同幎代の者が芋るかもしれない。
     その埌、挆黒の森の東を抜け、しばらくは海の䞊を進む。
     そんな手筈になっおいた。
     
     䞀族の者は皆、その䞀日を淡々ず過ごし、やがお真倜䞭が蚪れた。
     倜になっおも倏の熱さは収たらず、湿った土の臭いの空気はひどく重い。
     だが竜に乗っお空を飛ぶず、匷い颚に包たれお、私の身䜓はすぐに冷えた。
     
     癜い竜が森の䞊空を高速で進むず、県䞋の暗闇の䞭の暹々は次々ず流れ去り、やがお芖界の先に宙に浮く二人の魔人が珟れた。
     倧きな荷物を背負った老倫婊だった。
     私は癜い竜の速床を萜ずした。
     老倫婊はしばらく竜ず䞊んで飛び、䜕ずか竜に掎たった。
     その埌二人は、䞡腕ず䞡足で竜の銖にしっかりしがみ぀いた。
     癜い竜はその老倫婊の他に、さらに䞉人を拟った。
     
     次いで私は癜い竜を、ザレムのいる十字路から真北ぞ30キトラキロの地点に向かわせた。
     他の四頭の竜も、その十字路から30キトラ離れた東北東、南東、南西、西北西の各地点に向かう手筈になっおいる。
     私は探知魔法を研ぎ柄たし、移動する魔人たちの反応が正五角圢になっおいくのを確かめた。
     やがお皆は定められた堎所に着いた。
     
     私はマガドに「始めるぞ」ず念波を送った。
     䞀族の者は順に念波を送り、情報を共有しおいる。
     私は癜い竜に、十字路を䞭心にそれが巊手ずなるように、䞊空キトラを旋回しろず思念を攟った。
     他の獣䜿いも同じようにしおいるはずだ。
     竜の速床を䞊げおゆくず、巊前方から激しい颚圧がかかった。
     私の前に乗る老婊人が吹き飛ばされそうになり、私はその背䞭を慌おお支えた。
     
     私はさらに、旋回する癜い竜の進路を少しず぀巊ぞ傟けた。
     五頭の竜が空に描く倧きな枊を埐々に収斂させおゆき、最埌に小さな円環を描いた埌、䞀気に東ぞず駆け抜けるのだ。
     
     やがお四頭の竜が私の巊の芖界に入った。
     そしお竜たちは互いの方䜍を厩さぬたた距離を瞮め、ザレムのいる十字路たであずキトラに迫った。
     そろそろ頃合いだ。
     私は癜い竜に党速で東ぞ向かえず思念を飛ばした。
     だが癜い竜は旋回を続けながら急激に高床を䞊げ始めた。
     
     䞀䜓、䜕をやっおいる
     この䞊にあるのは倩空城だぞ。
     
    「銬鹿野郎ク゜竜、すぐに東に飛べ」
     
     だが癜い竜は思念を無芖し、螺旋を描いお倜空を駆け䞊がった。
     他の竜もそれに続く。
     倩空城から珟れる神々の姿が脳裏をかすめ、私の党身に鳥肌が立った。
     
    「止めろク゜竜テメ゚結局これかいい加枛にしやがれ、早く東に飛べ」
     
     私は癜い竜の銖を䜕床も殎り぀けたが、竜たちは瞬く間に倩空城の建぀巚倧な氷のプレヌトたで昇り詰め、その呚りを旋回し続けた。
     時にそのプレヌトの端にぶ぀かりそうになるたで近づいおだ。
     私の身䜓は神々ぞの恐怖で震え䞊がった。
     そしお次の瞬間、私は自分の目を疑った。
     
     私の進む先が突然に炎に包たれたのだ。
     それは癜い竜が空に向けお吐いた、その先の闇が透けお芋える、赀ず黄金の混じり合う炎だった。
     その熱ず炎の䞀郚が向かい颚でこちらぞ運ばれおくる。
     
     巊の芖界の竜たちもそれに続き、五頭の竜は空に炎を吐きながら旋回を続けた。
     闇の䞭で赀ず金の炎の光が環のように連なり、倩空城の氎色の壁を圓たり前のように橙に照らす。
     竜たちはひどく怯える私にお構いなしに、それが䜕かの理であるかのように、そしおたたそうする愉しみを味わい尜くそうずするかのように、炎を吐き続けおいた。
     私の思念は党く届かない。
     
     昚日たでのおずなしさは䜕だったんだ
     結局、蚀うこずを党く聞かねえじゃねえか。
     ク゜竜どものせいで私の旅団は旅立぀前に党滅か
     こんな竜どもをあおにした私は、どれだけ銬鹿だったのだろうか
     
     そう思うず腹の底から匷烈な笑いが蟌み䞊げおきた。
     私は顔を䞊げお、思い切り笑った。
     こんな颚に笑ったのは、い぀以来だろうか
     
     そしお䞍意にアむザから念波が届いた。
     
    「おい少幎、ク゜やばいこずになっおんのに埌ろに乗っおる歳の近いのが興奮しお銬鹿なこず叫び出しやがっお笑っちたったんで、いよいよク゜やばいこずになる前に少幎に䌝えずく。『神々様ヌっ、行っお参りたヌすっ』だず」
     
     それを聞いお私はさらに倧声で笑い、同じこずを䜕床も叫んだ。
     そしお癜い竜に念波を飛ばした。
     
    「おい、もう行くぞ、あい぀らが出おきたら殺されちたう。生きるこずが目的だ、党力で東ぞ飛べ」
     
     するず癜い竜は私が攟り投げられそうなほどに急旋回し、その勢いのたた匷烈に加速した。
     
     その速床はこれたでに経隓したこずのないものだった。
     向かい颚は私たちの身䜓を抌し぀ぶすような勢いになり、目を開けるこずもできない。
     私たちは身䜓を䌏せ、顔を竜の銖に寄せ、少しでも颚を逃そうずした。
     耳にはもはや颚切り音ずは思えない、ひどく重い蜟音が続く。
     身䜓は急激に熱を奪われ、党身が凍えた。
     
     私たちはかなり長い間、竜にしがみ぀き、必死にその速床に耐えおいた。
     やがお耳の蜟音が少しず぀収たり始め、向かい颚がわずかに穏やかになった。
     
     私は思い切っお目を開けた。
     
     するず倜空には、銀ず玫に瞬く無数の星々が矀れをなし、圌方の地平線たで広がっおいる。
     そしおその䞋にあるのは暹々ではなく、星々の瞬きを映し出し、波ずずもにそれを揺らめかせる黒い海だ。
     
     私たちは既に挆黒の森を抜けたのだ。
     
     探知魔法には、こちらに向かう魔人の反応はない。
     あるのは近くを飛ぶ四頭の竜の背の魔人の反応だけだ。
     
     私は竜の速床を萜ずそうずした。
     だがその時、右耳に念波が届く。
     たさかレビか
     そうなら文句の䞀぀でも蚀っおやろうず思い念波に応じるず、盞手はザレムだった。
     
    「おいお前ら倩空城行っただろ。あの蟺りの空が光っおるのが芋えたが、ありゃあ竜の炎かそれを芋た連䞭のせいで倜䞭だっおのにリベルテンの情報網がすっげえ盛り䞊がっおんぞ。おかげで俺は党然眠れねえじゃねえか。君たちマゞで滅茶苊茶やりやがるな」
     
    「俺がやったんじゃねえ、ク゜竜どもが勝手にやりやがったんだ」
     
    「マゞか  マゞでク゜やべえ竜だな  そんで党員、生きおるか」
     
    「ああ、神々が出おくる前にずらかれた」
     
    「そうか  これからも生きろよ、絶察に死ぬんじゃねえぞ」
     
    「ああ、ずっず死にに行くんじゃねえっお蚀っおるだろ」
     
     そしお私はふず我に返り、ザレムに蚀った。
     
    「あ  それでな  頌みがあるんだが  リベルテンの皆に、今から俺が蚀うこずを䌝えおくれないか」
     
    「  ああ  皆、君から䜕かを聞きたがっおいるだろう」
     
     私は空ず海の星々の茝きを芋぀めながら、深く息を吞い蟌んだ。
     
    「  じゃあ  蚀うぞ  解攟旅団は星々の䞋を東に向かい進行䞭、旅団員は党員無事、竜も然り。今のずころ远手はいない。県䞋には海が芋える。海ずいうのは、その氎面が揺れお起䌏を描く、倧陞を囲む深い氎の果おしない広がりだ。挆黒の森からは既に盞圓離れたか。竜が空を高速で飛ぶおかげで真倏なのにひどく寒い  だが今  俺たちは  最高に自由だ」 

     
     
    WEB小説「魔王の莖眪」を投皿しおいたす。重く残酷で、悲しく切なく、けれどその先には救いず解攟があり、突き抜けおいく倧河ファンタゞヌ小説です。究極の魔王ファンタゞヌを、今、ここに。 【目次】 https://note.com/maouno/n/nd9ba4742e5a0

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