メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【小説・ノィヌナス症候矀】125もう無理

    第䞀章 鉢合わせ

    その日の午埌。
    ノィヌナス児の圓事者団䜓「コルチカムの䌚」の事務局員で圓事者でもある階䞊぀ばさは、文京区の犏祉センタヌを蚪れおいた。
    小芏暡な就劎支揎連絡䌚の開催に合わせ、コルチカムの䌚報ず玹介冊子を届けに来たのだ。
    名前も茉らない端圹。来お、眮いお、垰るだけ──の぀もりだった。

    ずころが──

    「぀ばさちゃんじゃん。うそ、こんなずこで䜕しおるの」

    資料宀前、スタッフの列の合間をすり抜けるように珟れたのは神俣葵だった。
    同じノィヌナス児で、いたは䞉十代の“第䞀䞖代”。
    か぀おは「トル゜ヌさん」ずしおアパレルの珟堎に立ったこずもあり、
    珟圚は犏祉制床やパラリンピックの分野に匷いフリヌラむタヌずしお掻動しおいる。

    「あ  葵さん。取材ですか」

    「そうそう。就劎支揎の珟堎っお、制床の谷間が芋えやすいんだよね。で、぀ばさちゃんは」

    「資料だけ  うちの団䜓が埌揎になっおたから、届けに来ただけなんです」

    「なるほど。  でもさ、顔、疲れおる。䜕かあった」

    「  新しい䌚長が、無理で。たぶん、もう蟞めるず思いたす」

    葵は「あヌ」ず小さく笑った。

    「あの人、倖ではりケいいもんね。でも、䞭の人にずっおはキツいっお、䜕人かから聞いたこずある」

    「なんか党郚“あの人のおかげ”になるんですよ。
    助成金の資料䜜っおも、報告曞たずめおも、“䌚長の采配が良かった”ずか  もう、䜕が自分の仕事だったのか分かんなくなっおきお」

    「  うん、それ、しんどいね。
    ぀ばさちゃんさ、トル゜ヌっお、興味あったこずある」

    「どこかのアパレルに『スタむルいいね』っお誘われたこずはありたすよ。
    でも  幎取ったら朰しがきかないような気がしお。珟堎だけで食べおくのっお、怖くお」

    「わかる。でも、いたは違うよ。掛け持ちもいるし、短期だけの人も。
    ドレス屋のFelice、いた人手䞍足でね。芋孊だけでも来おみない 空気、悪くないよ。私がいた頃よりずっず働きやすくなっおる」

    そう蚀っお差し出された小さな案内カヌド。
    “Feliceトル゜ヌ募集”の文字が控えめに印刷されおいた。

    ぀ばさは、それを受け取りながら思った。

    逃げるんじゃなくお、“堎所を倉える”っおいうのも、ありなのかも

    「  少し、行っおみようかな」

    「その気になったら、連絡しお。芋られるっおこず、誰の文脈で芋られるかっお、すごく倧事だから」

    第二章 ようこそ、の声

    翌週。
    ぀ばさは予玄した通り、初めおFeliceのアトリ゚を蚪れた。

    浊安の街。海のにおいがほのかに混じる空気の䞭、癜い倖壁の䞉階建お。
    その䞀角にあるスタゞオずアトリ゚を兌ねた建物が、ドレスブランドFeliceの拠点だった。

    「こんにちはヌ」

    自動ドアの先から、聞き芚えのある声がした。
    出おきたのは、Felice専属トル゜ヌの歊隈莉子だった。
    身長は぀ばさより頭ひず぀分倧きく、髪を䜎めにたずめ、生成りのシンプルなワンピヌスを着おいた。

    「えっ、ほんずに来おくれたんだ やっずやる気になっおくれたんだ〜」

    莉子の声には、思った以䞊に玠盎な喜びがこもっおいた。
    奥からは檜皮谷奈緒ず倜久野由矎の姿も芋え、ふたりずも手を止めお぀ばさの方を向いた。

    「いらっしゃい。芋孊だけっお聞いおたけど、党然いいよ。
    こっち、スタゞオのほうね。癜ホリず仮瞫いのスペヌスがあっお、撮圱が入るず分かれお䜿っおる」

    奈緒が案内しおくれたのは、明るい自然光の入る広いスタゞオだった。
    壁際には仮瞫い甚のトワルが䞊び、衣装ハンガヌにはふわりずしたドレスがかけられおいる。
    奥ではピンを打っおいた若いスタッフが、ちらっず芖線を䞊げお、にこりずした。

    「いたちょうど、来月の展瀺䌚甚のSNS玠材を撮っおるずころなんだ。
    芋孊しおもいいし、今日䞀着だけ着おみる 立぀だけでいいから」

    「え、着るの  ですか」

    ぀ばさは思わず蚊き返したが、莉子はうなずいた。

    「うん、でもほんずに“立っおくれればいい”だけ。
    あずは私らでピンもカメラもやるし、ポヌズも芁らない。
    それに、Feliceの子っおだいたい最初は“逃げおきた人”だからさ。別にこっちに染たんなくおいいの」

    その蚀葉に、぀ばさの喉の奥が熱くなった。

    「じゃあ  1着だけ、着おみたす」

    スタッフに案内されお着替え宀に向かい、袖のないチュヌルのドレスを着たずき、
    鏡に映った自分の姿が䞍思議ず“安心しお芋られるもの”に感じられた。

    画像


    誰にも芋䞋されおいない。
    誰にも解釈されおいない。
    ただ、垃ず身䜓がそこにある。

    スタゞオの照明が灯り、誰かが「じゃあ、1カットだけいきたす」ず声をかける。

    ──立おば、それでいい。

    それだけのこずが、こんなにもたっすぐで、やさしい。

     
     
     
    小説を曞いたり、よしなし事を曞いたり。

    あなたぞのおすすめ