
解雇された翌日、普通に家を出た理由
解雇された翌日も、いつも通りの時間に家を出た。
もう会社に行く必要はないのに、
体はいつもの動きをしていた。
奥さんにも、まだ話していなかった。
家にいても何をしていいのか分からない。
ただ、いつも通りに動いていないと、
現実を受け入れてしまいそうだった。
行く場所もないのに、
とりあえず車に乗った。
通勤時間の慌ただしい流れの中を、
行き先も決めずに走った。
でも実際は、どこにも向かっていなかった。
ただ時間をやり過ごしていただけだった。
正直、怖かった。
これからどうするのか。
収入はどうなるのか。
家族はどうなるのか。
考えれば考えるほど、不安は大きくなる。
だから考えないようにしていた。
昼を過ぎても、
行く場所は決まらなかった。
何かしないといけないのは分かっている。
でも、何をすればいいのかが分からない。
そんな状態で、
ただ時間だけが過ぎていった。
夕方になり、
このままでは何も変わらないと思った。
そして、その日の夜。
奥さんに解雇されたことを伝えた。
そこから、現実が動き始めた。
あの日、普通に家を出たのは、
前に進むためじゃなかった。
止まらないためだった。
人は突然すべてを失うと、
前に進むことよりも、
立ち止まらないことを選ぶ。
あの日の自分は、
ただ、それだけだった。
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※第1話はこちら
「50歳、解雇から始まった人生の作り直し」
https://note.com/lucky_quail6282/n/n36e5f6290f1e