メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【雑サメ。#5】 中華の女神/第2章 この愛しい世界で(なんか普通に暮らしてる編)

    ◀【前話】  |🏠【目次】|  ▶【次話】

    ――世界はポリゴン。食事はセル画。
    リアルなのは、自分と勇者ミカルだけ?
    サメが来るのも意味なさそう。
    神殿には、やたら海外通販に詳しい女神。
    転移者シオリは、とりあえず服が欲しい。――


    カイワレとレタスのサラダ。ナスの味噌汁。梅干しとネギ入り納豆。
    ほぐすたびにしゃけの断面が愛おしい。
    ……皿に触らないと2Dなのはこの際頭の隅にでも寄せておこう。それよりもだ。

    「なんだ?シオリ、そんな顔して」
    「着替え欲しくて声掛けるんだけど、誰も取り合ってくれないの。『私にはその権限がありません』とか言って」

    深いため息をついてうずくまる。
    ずっと水着一枚。

    「……私の尊厳……」

    シオリを纏う空気が重くなる。

    「着替え困ってんのか。女神相談してみるか?」
    「女神?」
    「うん、色々便利なもの送ってくれる神様。会ったことはないけどな。ご飯食べ終わったら連れてってやるよ」

    ミカルはサラダを口にほうばった。

    ◻︎◻︎

    食べ終わって連れて来られたのは、例の神殿の台座だった。

    「ここ最初にきたとこ?」
    「うん、そう」

    ミカルは息を吸い込んで叫んだ。

    「女神~ポーション切れた!出して!!!!」

    かなりの声量である。
    シオリは思わず耳を塞ぐ。

    すると――

    あたりがピンク色に光り、グレーのポリゴンの塊が現れる。

    「よし!サンキュー女神」

    スタスタと迷いなく近づき担ぎ上げると、グレーの塊はビニール袋になった。

    「……うん、見たことあるやつだ」

    シオリはこめかみを押さえる。
    構うことなくミカルが雑に袋を破る。
    梱包材が飛び散り、青いラベルの小瓶も一緒に転がり出た。

    「なあに?それ」
    「回復アイテム。たまに武器とか、困ると女神が届けてくれるんだ」
    「へーーーー……」
    「シオリの服もなんとかしてくれるだろ」
    「叫べばいいの?」

    ミカルは黙って頷く。

    シオリは思いっきり息を吸い込んで――

    「女神さーん、露出の少ない服くださーい」

    次の瞬間。
    ぱあーっとあたりが明るくなり、またもやグレーの塊が出てくる。

    手に取って見ると、ビニールテープで厳重に封印されている。
    ぐるぐる巻きだ。

    「普通に破ればいいよ」

    ……結構力を入れないと破れない。さすが中華袋。

    中には白い紙が入っていた。

    『ゴメンネ シオリノ セイソウ ソレセイソ文字化け』

    紙の下に赤い水着が入っているのを確認して、シオリは膝を突いて項垂れた。

    ◀【前話】  |🏠【目次】|  ▶【次話】


     
     
    低予算・低体温で回る世界と、爆破でしか更新されない物語。 (雑サメ。連載お休み中。) ログライン『世界の変さより今日の生活』 ・低予算・低体温ファンタジー ・サメは爆破します(重要) ・合わなかったら、そっと閉じてOKです

    あなたへのおすすめ