
【雑サメ。#5】 中華の女神/第2章 この愛しい世界で(なんか普通に暮らしてる編)
――世界はポリゴン。食事はセル画。
リアルなのは、自分と勇者ミカルだけ?
サメが来るのも意味なさそう。
神殿には、やたら海外通販に詳しい女神。
転移者シオリは、とりあえず服が欲しい。――
カイワレとレタスのサラダ。ナスの味噌汁。梅干しとネギ入り納豆。
ほぐすたびにしゃけの断面が愛おしい。
……皿に触らないと2Dなのはこの際頭の隅にでも寄せておこう。それよりもだ。
「なんだ?シオリ、そんな顔して」
「着替え欲しくて声掛けるんだけど、誰も取り合ってくれないの。『私にはその権限がありません』とか言って」
深いため息をついてうずくまる。
ずっと水着一枚。
「……私の尊厳……」
シオリを纏う空気が重くなる。
「着替え困ってんのか。女神相談してみるか?」
「女神?」
「うん、色々便利なもの送ってくれる神様。会ったことはないけどな。ご飯食べ終わったら連れてってやるよ」
ミカルはサラダを口にほうばった。
◻︎◻︎
食べ終わって連れて来られたのは、例の神殿の台座だった。
「ここ最初にきたとこ?」
「うん、そう」
ミカルは息を吸い込んで叫んだ。
「女神~ポーション切れた!出して!!!!」
かなりの声量である。
シオリは思わず耳を塞ぐ。
すると――
あたりがピンク色に光り、グレーのポリゴンの塊が現れる。
「よし!サンキュー女神」
スタスタと迷いなく近づき担ぎ上げると、グレーの塊はビニール袋になった。
「……うん、見たことあるやつだ」
シオリはこめかみを押さえる。
構うことなくミカルが雑に袋を破る。
梱包材が飛び散り、青いラベルの小瓶も一緒に転がり出た。
「なあに?それ」
「回復アイテム。たまに武器とか、困ると女神が届けてくれるんだ」
「へーーーー……」
「シオリの服もなんとかしてくれるだろ」
「叫べばいいの?」
ミカルは黙って頷く。
シオリは思いっきり息を吸い込んで――
「女神さーん、露出の少ない服くださーい」
次の瞬間。
ぱあーっとあたりが明るくなり、またもやグレーの塊が出てくる。
手に取って見ると、ビニールテープで厳重に封印されている。
ぐるぐる巻きだ。
「普通に破ればいいよ」
……結構力を入れないと破れない。さすが中華袋。
中には白い紙が入っていた。
『ゴメンネ シオリノ セイソウ ソレセイソ文字化け』
紙の下に赤い水着が入っているのを確認して、シオリは膝を突いて項垂れた。