
d国の葬儀|雑サメ。〜勇者の隣で普通に暮らす……多分♯31|第6章 上手くいくペアとは(静かにややこしい編)
神殿の廊下にて。
「あれ?B?衣装変わった?」
「ああ、シオリ様。他国で葬儀がありましてね。今から行ってきます」
神官Bは一礼して足早に通りすぎる。
こちらでも葬儀はある。当たり前だけど、人って死ぬんだな。
こっちでも喪服は黒。
当分必要ないと思うけど、女神に頼めばくれるかな。
いや、早めに頼んでも体型変わってると着れないやつ……。
シオリの足は気づけば炊き出しに向かっていた。
◻︎◻︎
「最近旦那と会話しなくなってきた」
「わかる。むしろ喋ると違和感が出る」
「近所の買い出しに荷物持ってもらったんだけど往復ずっと黙ってた」
「ある!仲悪い訳じゃないんだけど」
「わかる」
……ずっと一緒にいるとそんなものなのか。
シオリはキャベツをぶつ切る。
ミカルとは夫婦でもなんでもないが、まだ会話はしてるかな。
「会話ねえ。そういやウチもないわ。こどもと孫の話くらい」
「うちは犬」
「うちは猫」
「ペット飼った方が暮らしやすいかしら」
「あんまり年取ると売ってくれないから、早いほうがいいわよ」
「そうそう。私悩んで二頭目見に行ったら断られちゃった」
「うーんとりあえずハムスターかな」
「悪くないかも。寿命ちょっと短いけど、お散歩いらないし」
「ウサギは?」
「10年生きちゃう」
「うーん、私売ってもらえないかも」
「そんな年だっけ?」
「見た目は元気。見た目だけは。」
「私もまだ死ぬ気しないわwww」
……ミカルも私も、まだ死ぬ感じしないな。見た目若いし。
「………」
そういや、ミカルっていくつなんだろう?
思った瞬間、視線が集まる。
「シオリちゃん、それ考えなくていいやつよ」
「え?」
「勇者に年齢なんて必要ない」
ウンウンとみんな頷く。
けど即、別のおばちゃんが混ぜっ返す。
「そういえば私の小さい時、ミカル君のことミカルお兄ちゃんって呼んでたわ」
シオリの野菜を切る手が止まる。
「あーね。私もそうだったかも?」
「いないときもあったよね?ミカルくん」
「私らが大きくなったら戻ってきて、でいつのまにかミカルくん呼び?だっけ?」
うーんとみんなで考え込む。
「ミカルのお父さんも勇者だったの?」
「勇者に家族はいないでしょ!」
「いても、困るかも」
「神殿のことだから、気にしてもねえ」
おばちゃんは切り終わった野菜をザルに空けてジャブジャブ洗ってく。
シオリはぐるぐるうずを巻いて流れてく排水溝をぼんやり眺めた。そしてまな板を空けて、次の野菜を切り出した。
◻︎◻︎
自分の部屋へと戻ろうとすると、神官Bの部屋に来るよう言われた。
ノックすると、Bが喪服のまま立っていた。ミカルもいる。
「d国へ行っていただきたい」
「それが任務ならば」
こともなげにミカルは言う。
「私も、てことだよね?」
一応聞いてみると、黙ってBは頷いた。
「え?私も喪服いる?」