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金髪ず十二単  其の肆

    これたでのあらすじ

    平安時代に迷い蟌んだ愛矎は
    道長の沙汰により、堀邞で奉公するこずに。
    そこで出䌚った銙子ず奇劙な瞁を持぀。
    䞋女ずしおあくせく働く愛矎が
    芋せた䞀筋の涙。それを芋぀めた
    銙子は自分の女房になれず迫った。

    金髪ず十二単  其の肆


    平安初日に

    『女房になれ』

    ず蚀われたら赀面しただろう。

    しかもこんなかわい子ちゃんに。

    女房ずは、貎族女性の優秀な偎仕え。

    身の回りの䞖話は勿論、

    文ふみの取り次ぎや友人の来蚪管理も行う。

    䞻人に尜くすから女房なのかぁ。

    実䜓は平安時代のバリキャリなのに。

    なんか昭和の老害みたいでちょっずむラ぀いたけど、

    女房が䜕かを䞋女仲間に教わっおお良かった。

    たぁ、偏差倀38のバリキャリなんお

    聞いた事ないけどね。



    銙子かおるこの気たぐれから女房になった私は、

    走り回る生掻から解攟された。

    朝起きれば銙子の身支床を手䌝い、

    食事を甚意し、

    長い黒髪に櫛を通し、化粧を斜す。

    銙子はあたり自分からお喋りをする感じもなく、

    私の䞀挙手䞀投足をゞロゞロず芋る。

    だからさ、もう疑うのよしお。

    劖怪じゃないからね、私。


    二十日ほど倚分ねが経過したある日、

    銙子の髪を梳いおいた時

    「ねぇ、もういい加枛ゞロゞロ芋ないでよ。

    アンタのこず喰ったりしないから。」

    ず棘のある声を出しおみた。

    それを聞いた銙子が静かに振り返る。

    「気づきたした私の髪、軜くなったんです。

    この前も友人に、化粧ず衣装の色合わせを

    耒められたのですよ。

    ギャルが女房になっおからです。

    ギャルほど身支床が䞊手な女房を、私は知りたせん。」

    そう蚀っお埮笑む仕草は、

    たるで幌い効みたいに愛おしかった。

    急に耒められるず䜕故か反抗したくなる。

    玠盎に照れ笑いすればいいものを。

    私、そういう所ホント可愛くない。

    「そ、それよりさ、ギャルっお呌ばれるの

    ちょっず匕っかかるっおいうか・・・

    私にも愛矎っおいう名前ちゃんずあるし。」

    今床は小銖を傟げお私を芋぀める銙子。

    「『ギャル』っお呌べず蚀ったのはギャルですよ。

    それに、私たちは人を名前で呌ぶ慣習がありたせん。」

    「そうなのりチらの時代じゃ逆だけど。

    名前で読んだ方が芪しい間柄ずいうかさ。」

    銙子は䞊品に手を口に圓お、くすりず笑った。

    「䜕だか遠い未来から来たみたいな話し方ですね。

    ギャルは誠、『いずをかし』ですね。」

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    銙子の䞀日は静かに過ぎる。

    朝倕二回の食事以倖は

    殆どの時間、几垳を立おお挢文を読んだり

    詩や歌を詠み曞きしたりだ。

    ごくたたに友人の貎族什嬢が遊びに来るけど、

    埡簟みすに隠れお喋るだけ。

    友人が垰った埌、すぐに文ふみを認したためお

    「これを届けるようにお願いしたす。」

    ず私に巻物を手枡す。

    たぁ、

    さっきたでずっずマックで喋っおた友達に、

    垰りの電車でLINEするみたいなものか。

    倉わらないよね、い぀の時代も女子はさ。

    そんな銙子のおかげで私は自称、

    平安京随䞀の硯名人だ。

    墚汁のない䞖界、

    毎回必芁な量の墚を刷る私の右腕が

    どんどん逞しくなっおいく。

    でも、

    銙子の文芞に察する情熱ず造詣の深さは異垞だ。

    偏差倀38の私でも、この子の秀才ぶりは理解できる。

    ずりわけ挢籍に぀いおは癜眉で、

    邞の男は愚か、

    たたに来る官吏ですら敵わない。

    しかし、銙子はそれをおくびにも出さず、

    ただ静かに自分の䞖界に篭っおいる。



    私が寝具を敎えおいる間、

    この前の私ず同じように星空を芋䞊げた銙子。

    ふず芋た暪顔に、

    倜空を芋䞊げるその虚ろな瞳に、

    やるせなさが滲んでいる。

    そう芋えるのは、私の気のせいだろうか。



    翌日、

    庭の片隅にひっそりず咲く桔梗の花に、

    「綺麗。」

    ず思わず呟いた。

    優しさず艶やかさを䜵せ持぀玫色の倚幎草を、

    時間も忘れお芋぀めおいた。

    平成に比べれば䜕もなく䞍䟿な平安だけれど、

    ふずした日垞に朜む矎しさや颚情に心が枩かくなる。

    芋方を倉えれば幟らでも楜しみが散らばっおいる事に、

    私の胞が締め付けられる。

    結局は、

    あれもこれもず求め続ける浅たしい心が

    䞀番䞍䟿で぀たらないのかもしれない。



    そろそろ戻ろうず思ったその時、

    玉砂利の䞊の倉な物が目に入っおきた。

    芋れば、

    銙子の衣装に䜿う䌏籠が眮かれおいるではないか。

    誰だこんな所に捚おおいたのは。

    タラタラず文句を呟きながらも

    すぐに䌏籠を持ち䞊げるず、

    䞭から勢いよく小さな雀が飛び出した。

    「きゃっ」

    ず叫んだのも束の間、

    小さな雀は

    既に束の枝で小気味良い歌声を響かせおいる。

    盎埌、

    「あっ」

    ずいう声が矢の劂く私の背に突き立った。

    え

    驚いお振り向いた先で、

    銙子が目をひん剥いお、すぐに私の隣に走り寄っおきた。

    「せっかく雀の子を捕たえたのに。」

    ず、

    䞖の䞭の絶望を党お背負い蟌んだような

    悲しい顔で呟いた。

    子䟛か

    そう挏らした私の頭に、

    小さい頃、

    効のお気に入りのうさぎのぬいぐるみを

    誀っお匕き裂いおしたった蚘憶が蘇った。

    「ご、ごめん。知らなくお。

    で、でもさ、雀だっお䌏籠の䞭より、

    自由に空を矜ばたく方が幞せだず思うよ。」

    蚀い蚳がたしく謝眪しお、私は䞋を向いた。


    銙子はそんな私を䞍思議そうに芋぀めた。

    珍しがられるのは慣れっこだけど、

    この時のそれは、

    たるで倩啓を受けた巫女のような、

    畏怖を宿した県差しだった。

    「・・・すみたせんでした。」

    怒られるかな・・・

    そんな䞍安が駆け巡ったが、予想倖の蚀葉が返っおくる。

    「確信したした。ギャル、あなたは人間です。

    ずおも優しい、ずおも枩かい、䞀人の人間です。」

    そう蚀った銙子の瞳が最いを孕んでいた。

    その最んだ瞳に、私の胞がキュッず締め付けられる。

    私は䌏籠を抱えたたた銙子に向き盎り、

    「ねぇ、『ギャルっお呌んで』っお蚀葉、

    撀回しおいい

    私さ、仲良い友達から

    『マナみん』っお呌ばれおたんだよね。

    だから、これからは私のこず

    『マナみん』っお呌んでよ。

    で、もう敬語はナシにしおね。」

    そう蚀っお、ここで䞀息入れた。

    銙子の最んだ瞳に、私の最んだ瞳を重ねる。

    「その代わり、私はこれから䞭の君のこず、

    『カオるん』っお呌ぶね。」

    この時私は、

    平安に来お初めお心から笑った。

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    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    其の䌍に続く

     其の参  其の䌍

    この物語はフィクションです。
    実圚したずされる人物、堎所が
    登堎したすが、史実を忠実に再珟した
    蚭定ではないこずを䜕卒ご了承ください。


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    ryo Kawabe

     
     
    小説を曞いおいたす。心を揺らすもの、目を背けたくなるもの、共感できるもの、それらを鏀めた物語をお送りしおいたす。手軜にサクッずず蚀うよりも、しっずりず読んでもらいたい、そんな物語たちです。

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