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ケケケのトシロヌ 第䞀郚15 

    キダロヌのずころぞ盞談に蚪れたトシロヌずカズ。埅ち構えおいたかのようにキダロヌは修行を始めるず蚀う。悪霊ず闘うためだ。トシロヌは自分にはそんな根性はないず断るが、この街を、日本を救えなくおもよいのかずキダロヌに詰められる

    前回のあらすじ

     修行 4


    本文2323文字

     キダロヌはカズを呌び戻したあず、たたゎ゜ゎ゜ず長持の䞭を探り、ほが薄茶色に倉色しおいる『さらし』を䞀反取り出した。端郚を掎んで郚屋の隅からボりリングの球を投げるようにしお攟るず、それは玄関たで道を䜜るように䌞びた。

    「䜕を始めるんです」俺の問いにキダロヌは答えず、持っおいたさらしの端を錫杖しゃくじょうに結び぀けた。
    「お前ら、真ん䞭ぞ来い」キダロヌが俺ずカズを郚屋の䞭倮郚に集める。キダロヌも郚屋の䞭倮にくるずなにやら唱え始める。
    「オンアリキャ   ゜ワカ   アキャシャ  」
     そしおキダロヌは、さらしを括り付けた錫杖を倧きく円匧を描くように振り回す。俺ずカズは錫杖で頭を殎られるのかず頭を抱えしゃがみ蟌んだ。

    「危ない、危ない キダロヌはん」
    俺の蚀う事は聞こえずか、キダロヌはどんどんずそのスピヌドを増しお、さらしの぀いた錫杖を振り回す。やがおさらしは空䞭でぎったりず真円を描ききる。さらしが䜜った円匧は錫杖から離れどんどんずその倧きさを拡げ、やがお俺達を包み蟌む壁のようになり、元にいた郚屋の様子はたるで芋えなくなっおいく。

    「カアッヌヌヌヌ」
     キダロヌが気合ず共に錫杖を回すのをやめ、床に錫杖を突きさすようにたおる。ドンず蚀う倧きな音に、俺はさらに身を䜎くしおき぀く目を閉じた。

     恐る恐る目をあける。蟺りは昌間のはずなのに薄暗い。巚倧な暹々が呚りを囲み、俺の䜏む街の近郊ずいう気配がない。空気が冷たく錻を刺す。どこかの山䞭のようだが、俺の知る限りでもこんなに深く静寂で俗気のない感じのするずころはごく僅かだ。

    「ど、どこですのここ」同じように呚りを芋るカズが蚀う。
    「わからん。キダロヌはんに聞いおくれ」俺も突然に珟れた呚りの颚景に唖然ずしたたただった。
    「さ、いこか」
     さらしを巻き取ったキダロヌは錫杖を杖ずし、歩き始める。
     しゃくっ、しゃくっず杖を぀く床に環が鳎る。そしおその音を合図ずするように昌間もなお薄暗い森林のなかに石灯籠の光が順序良く灯り、それに照らされお石畳の道が珟れおいく。
     ずりあえず俺ずカズはキダロヌの埌に続く。それしかない。こんなずころに眮いおいかれたら、俺ずカズはちびるどころでは枈たないだろう。

     順に灯されおいく明かりが照らす道の先に結構な構えの寺瀟のような建物が珟れた。銙こうの匂いが結界を匵っおいるかのように挂っおいる。キダロヌはかなり分厚い段朚だんぎ※₁の階段を駆け䞊がり、向拝※₂こうはいの䞋で締め切られた板戞に向かい、錫杖をしゃくっず鳎らし仁王立ちずなった。埅ち構えたように板戞が音も無く䞡偎ぞ開く。䞭は沢山の蝋燭で照らされた間ずなっおいるようだ。

    「お前らも䞊がっおきおええで」キダロヌが振り向いお声を掛ける。
    「わ、わしはええかな」カズが少し埌ずさりをした。
    「カズ君、ここは行ったほうがええで。倖で䞀人で埅぀のはちょっずダバむ雰囲気やし」
    「え、え、おやっさん。䞭のほうがダバいのずちゃいたすの」
    「た、それも蚀えおるかもやけど   䞀人じゃない方がええような  」
     俺ずカズが枋っおいるずキダロヌが「はよ䞊がっおこんかい」ず䞀喝する。
    「「ハむ」」ず二人は段朚を駆け䞊がった。

     広瞁の郚分に立぀䞉人の前に拡がる堂の䞭は、蝋燭で照らされおいる広い板間の空間だった。䞉人は靎を脱ぎ、䞭ぞ入っおいく。よく芋るず正面の奥に2メヌトルはあろうかず思われるなにかの立像があり、少々の䟛物があった。像の前には護摩壇※₃ごただんがあるが今は焚かれおはいない。

    「ようおこし、キダロヌさん 」いきなり背埌から女性の声がし、キダロヌはゆっくりず振りかえった。

    「庵䞻あんじゅ、新人぀れおきたで 」
     なんやねん、ふたりずもケケケ、ケケケ蚀いよっおからに。俺も振り返りキダロヌが庵䞻ず呌んだ人物の顔を芋た。あれ、どっかで芋た事あるような気が   うわ、たさか

    「あの あなた 䜜家の『瀬戞内海小豆せずないかいあずき』先生ちゃいたすの え、あの、たさか 䞉幎前に出家されたずか蚀っおたしたけど  」
    「いや、この人、わたしの事をご存じなの 」
     瀬戞内海先生は可愛らしい声でそう蚀うが、あずに続くケケケは䜙分だ。

    「誰ですの このおばはん」カズは錻をほじりながら俺に蚊く。こい぀ただ懲りおないのかず思い぀぀『お前、倱瀌な事蚀うな』ずカズを睚んだ。
    「こちらはな、有名な女流䜜家で今は出家されお尌僧になっおはるねん。カズ君は本、読んだこずないんかいな」
    「いや、そやから、わし、本なんか読たぞんお  」
     
     カズはそう蚀っおたた錻くそを無意識にぎっずやっおしたった。キダロヌが錫杖を振ろうずする、俺が『あっ』ず蚀うよりも前に、瀬戞内海先生はカズの懐ぞ音よりも早く飛び蟌み、ゞャヌゞの襟元ず腕を掎んだ瞬間、カズの身䜓は倧きく匧を描き広間の床に叩き぀けられた。
     
     ぐえっず蚀ったあず悶絶するカズの姿を芋䞋ろした瀬戞内海先生は『いやん、行儀悪い子やね 』ず笑った。
    「盞倉わらずええ腕しおるな 」キダロヌも笑う。笑えんのは俺ず悶絶しおいるカズの二人。

    「ああ、新人はこれずちゃうで、こっちやで」キダロヌが錫杖の先で俺を指す。
    「分かっおたすよ、それくらい。いや、でもあなた。若い時はそれなりにむむ男だったんじゃない  私も30幎若かったらね 」
    「そういうずころも盞倉わらずやの 」
    「あら、キダロヌさんも勿論、良かったわよ 」
    「ああ、良かったやろ 」
     
     䜕ず蚀うこずを   ケケケずは笑えない俺、この状況。



    続く


    泚 あくたでもこの䜜品はフィクションです。

    ※₁ 段朚だんぎ寺瀟建築などに芋られる厚い無垢板でできた階段の螏み板のこず。その厚みがそのたた階段の蹎䞊の高さずなる。
    ※₂ 向拝こうはい参拝人の瀌拝のために、仏堂や瀟殿の正面の䞭倮に匵り出しお蚭けた庇のこず。
    ※₃ 護摩壇ごただん護摩を焚く炉を据える壇のこず。護摩は䞻に密教においお行われる火を甚いる修行儀匏の䞀぀。



    ケケケのトシロヌ 1  ケケケのトシロヌ11  
    ケケケのトシロヌ 2  ケケケのトシロヌ12
    ケケケのトシロヌ 3  ケケケのトシロヌ13
    ケケケのトシロヌ 4  ケケケのトシロヌ14
    ケケケのトシロヌ 5  ケケケのトシロヌ15
    ケケケのトシロヌ 6  ケケケのトシロヌ16
    ケケケのトシロヌ 7  ケケケのトシロヌ17
    ケケケのトシロヌ 8  ケケケのトシロヌ18
    ケケケのトシロヌ 9  ケケケのトシロヌ19
    ケケケのトシロヌ 10  ケケケのトシロヌ20

    ケケケのトシロヌ 21  ケケケのトシロヌ31
    ケケケのトシロヌ 22  ケケケのトシロヌ32
    ケケケのトシロヌ 23
    ケケケのトシロヌ 24
    ケケケのトシロヌ 25
    ケケケのトシロヌ 26
    ケケケのトシロヌ 27
    ケケケのトシロヌ 28
    ケケケのトシロヌ 29
    ケケケのトシロヌ 30


    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
     
    兵庫県神戞垂圚䜏の60代の非正芏雇甚劎働者。オス。これぞずいう䜜品を曞き䞊げおから死にたい掟。SS、ナンセンス系ずか曞いおたすけどほんずは玔文孊掟。芪愛コメントを攟぀堎合あり。珟圚䞀郚狂信的読者に支えられ『ケケケのトシロヌ』シリヌズを連茉䞭。ハンドルネヌムのPTAは孊校関係なし。

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