
西海市崎戸町百話#041〜買い忘れに注意
園崎咲人ーー第四十一話 買い忘れに注意
崎戸へ行く時、気をつけていることがある。
買い忘れである。
大島あたりまでは、まだ店がある。
飲み物や食べ物、日用品なら買うことができる。
ところが、そのまま崎戸へ入り、さらに崎戸島の奥へ進んでしまうと、私の感覚ではもう何もない。
そこで、「あれを買っておけばよかった」と気づく。
これが厄介なのである。近くの店へ行けばいい、とはならない。
戻るしかない。
橋を渡り、来た道を引き返して大島まで戻る。
時間にすれば、とんでもなく遠いわけではない。
それでも一度、崎戸島の奥まで来てから戻るとなると面倒だ。
だから最近は、大島を通る時に考える。
飲み物はあるか。食べるものはあるか。何か忘れていないか。
崎戸、特に崎戸島は、私にとって「果て」なのである。
道路はそこまで続いている。車でも行ける。
けれど、必要なものを忘れた時、その先には店を探すという選択肢がない。
行き止まりだけが「果て」なのではない。
戻るしかない場所もまた、果てなのだと思う。
園崎咲人