
西海市崎戸町百話#055〜御床島灯台
第五十五話 御床島:周りに木が生い茂った灯台
親戚が残した昔の写真を見ていた。
一枚、気になる写真があった。白い灯台の前に立っている。
どこの灯台だろう。そう思いながら予想した。
御床島かもしれない。
今の御床島を知っている私には、少し信じられないが、もう一枚の写真を見ると、この予想もまんざらではないかもしれない。

私は潮が引いた時に御床島へ歩いて渡ったことがある。
今は木や草が多く茂っている。灯台へ向かうにも、探検のようになってしまうはずだ。
でも写真の御床島はそれほどでもない。
今とは雰囲気がかなり違う。
調べてみると、御床島灯台は昭和四十二年(一九六七年)に灯り始めたものらしい。現在も灯台は残っている。
そして、どうやら御床島には、今より人が訪れていた時代があったようだ。
草木に囲まれた中にポツンとある島の灯台。
その同じ灯台の前に立つ、若い頃の親戚。
御床島そのものは、ほとんど変わっていないように見える。
変わったのは、人間の方なのかもしれない。
人が行かなくなれば、道は消える。
草が伸び、木が茂る。そして島は、少しずつ島へ戻っていく。
親戚の写真には、今の御床島から消えてしまった風景が写っていた。
園崎咲人