
西海市崎戸町百話#035〜ここは何処?:古写真
園崎咲人ーー第三十五話 場所がわからない写真
義父が残した古い写真を見ていると、一枚、何の写真なのか分からないものが出てきた。
大きな三階建の建物が写っている。
窓がずらりと並んでいて、人も何人かいる。
学校だろうか。会社だろうか。炭鉱関係の建物だろうか。
そもそも崎戸なのかさえ、私には分からない。

義父の写真だから、崎戸かその周辺だろうと勝手に思っているだけで、まったく別の場所かもしれない。
写真の裏を見ても、手がかりになるものはない。
今なら写真を撮れば、スマートフォンに撮影した日時や場所が残る。
昔の写真には、それがない。
撮った本人がいなくなれば、「いつ」「どこで」「何を撮ったのか」まで一緒に消えてしまうことがある。
写真は残った。建物も、人も写っている。
それなのに、何を写した写真なのかが分からない。
崎戸のことを調べていると、資料から昔のことが分かることがある。
反対に、こうして目の前に写真があるのに、何も分からないこともある。
もし、この建物を知っている人がいたら教えてほしい。
園崎咲人