
骨壺忘れた!!ー宅配便で届くのか!?~西海市崎戸町百話#057
第五十七話 骨壺忘れた!!ー宅配便で届くのか?
義母の納骨のため、家族で崎戸へ向かっていた。
墓は崎戸島の本郷にある。
長い道の途中で、妻が気づいた。
「骨壺、忘れた」
納骨に行くのに、骨壺を家に置いてきてしまったのである。
「おいおい、自分の親だろ」とは口には出せなかった。
もう簡単に取りに戻れるところではない。
どうするか。
家には上の息子がいる。だったら送ってもらえばいい。
息子に頼んで、骨壺を宅配便で送ってもらうことにした。
私は物流業界にいる。毎日のように荷物がどこからどこへ運ばれるのかを見ている。
それでも、自分の家族の骨壺を宅配便で送ることになるとは思わなかった。
荷物は佐世保か長崎まで来る。さらに西海市に入り、大島町を抜けて崎戸島に来る。
崎戸島まで宅配便はやって来た。骨壺は無事に届いた。
そして義母を、本郷の墓に納めることができた。
一安心だった。
崎戸島は、私にとって西の果てにある場所だ。「何か買い忘れがあれば戻るしかない」、と書いたこともある。
それでも、忘れたものを届けてくれるものがある。しかも、よりによって骨壺だった。
物流業界にいる私が、崎戸まで荷物が届くことを一番強く実感した荷物は、義母の骨壺だった。
園崎咲人