
西海市崎戸町百話#031〜気になる会社ー『大地のいのち』
園崎咲人ーー第三十一話 気になる会社ー「大地のいのち」
「大地のいのち」。
私が少し、崎戸で気になっている会社だ。
名前だけを聞けば農場を想像するが、蛎浦には大きな農産物加工工場がある。
ミカン、サツマイモ、タマネギ、ジャガイモなどを生産し、集荷、加工、商品開発、販売まで手掛けているという。
私はこの会社を、少し違った目で見てしまう。
私が勤めているのは物流会社である。
その会社でアグリ部門を立ち上げ、リンゴ作りにも取り組んでいるからだ。
普段の仕事では自動車部品の輸送の品質管理に関わり、一方では畑でリンゴを作る。
だから「大地のいのち」がやっていることは、まったく知らない世界という感じがしない。
崎戸と私のリンゴ畑では、気候も土地も作るものも違う。
ふつうに考えれば、崎戸でリンゴ作りはできないだろう。
それでも、土地から何かを生み出し、それを商品にして人のところまで届けるという流れは同じである。
そして農業も変わろうとしている。
AI、ドローン、スマート農業。
人口が減っていく地域ほど、こうした技術が必要になるのかもしれない。
炭鉱がなくなった後の崎戸で、新しい産業が動いている。
それを見ながら私は考える。
シンギュラリティの先で崎戸の農業はどうなるのか。
そして、私たちのリンゴ作りはどうなっているのだろう。
園崎咲人