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西海市崎戸町百話#029〜崎戸中学校校歌

    第二十九話 崎戸中学校校歌

    崎戸について調べていて、YouTubeで旧崎戸中学校の校歌を見つけた。

    既に崎戸中学校は存在していない。

    私はこの校歌を聞いている途中で、一つの言葉に引っ掛かった。

    「朝の光の海うてば 炭脈ひそむ島の丘」

    炭脈。

    校歌にこの言葉が入っているのである。

    崎戸中学校があった頃、崎戸炭鉱は単なる昔話ではなかった。

    島には石炭があり、それを掘る人がいて、その家族が暮らしていた。

    やがて炭鉱は閉山した。

    そして崎戸中学校も2013年、大島中学校との統合によってその歴史を終えた。

    現在、この校歌が大崎中学の校歌として使われているかどうかは知らないし、どこかで保存されているのかも、私には分からない。

    私が知ったのは、誰かがYouTubeに残した記録からである。

    学校はなくなった。炭鉱もなくなった。

    校歌も、もう歌われてはいないのかもしれない。

    それでも誰かが記録を残したことで、崎戸中とは何の関係もなかった私が、後になってその言葉を知った。

    「炭脈ひそむ島の丘」

    記憶はいつか消える。

    しかし記録は、ときに知らない誰かのところまで流れていく。

    炭鉱も学校もなくなった後で、私はその歌を聞いた。

    園崎咲人


     
     
    長崎県西海市崎戸町の観測者。 観光案内や、郷土史ではありません。 島、橋、炭鉱、店、記憶などを調べ、それらのつながりも書きます。 崎戸を飛び出し、西海市の他の町へ行くことも。 間違いや、地元の方が知っていることがあれば、教えてください。 目指すは、百話。その先はまた考えます。

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