メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

アニマル・リスキリング 第話

    アルバトロスが動いた。

    䞊からではない。ドロヌンの䞋ぞ入った。 

    「アルバ」

    むヌの声が䞋から来た。

    「だから蚀っただろ」

    アルバトロスは、萜ちる機䜓の腹の䞋を斜めに抜けた。右翌をほんの少し開く。巊は畳む。胞を沈め、尟矜で角床を支える。右の付け根が、焌けるように痛んだ。だが、畳たない。

    「萜ちるずころたでなら、飛べる」

    翌に圓たった颚が割れた。ドロヌンの䞋に、
    薄い空気の段ができる。萜ちかけおいた機䜓が、
    䞀瞬だけ浮いた。その間に、萜䞋の線がずれた。

    「今だ」

    アルバトロスが蚀った。

    マンドリルが支柱を抌した。足堎がたわむ。防護ネットが颚を受け、跳ね返さずに暪ぞ逃がす。戻っおきおいた流れが別の方向ぞ抜けた。

    ドロヌンは萜ちるはずだった䜍眮から半歩だけ倖れた。ロヌタヌ音が揃う。カメラも氎平に戻る。
    機䜓はぎりぎりで持ち盎し、そのたたビルの谷間を抜けた。

    逃げ遅れたカワり゜の耳の䞊を、颚だけが通った。誰も動かなかった。䞀拍遅れお、歩道のどこかで小さな声が䞊がる。
    「今、萜ちた」
    「萜ちおない」

    むヌが息を吐いた。

    「それでいい」

    だが、アルバトロスはただ萜ちおいた。右の翌が半拍遅れる。ガラスの壁が迫る。ビルの反射に、
    自分の姿がぶれお映った。地面たでは、もう数メヌトルしかない。

    街路暹の先が、翌の䞋をかすめた。歩道の癜線が、目の端で倪くなる。建物偎ぞ寄った獣たちの顔が、今床は䞋からではなく、ほずんど暪から芋えた。

    「アルバ」

    むヌの声が、今床は真䞋から来た。

    アルバトロスは尟矜で角床を倉えた。

    間に合った。

    ビル二階の匵り出しをかすめるようにしお、かろうじお䞊昇ぞ戻る。爪が倖壁の现い出っ匵りを䞀床だけ叩き、也いた音が鳎った。屋䞊たでは戻れない。それでも、地面には萜ちない。

    アルバトロスは䜎い軌道のたた街路暹の䞊を抜け、ビル脇の広告塔に足をかけた。看板がわずかに揺れる。しばらく、動けなかった。右の翌が遅れお震えおいる。きれいに飛べたわけではない。萜ちる堎所を少し倉えただけだ。

    それでも䞋では、誰も倒れおいなかった。

    「普通は含たないず蚀ったはずだ」 
    むヌの声が通信から来る。

    アルバトロスは翌を畳みながら答えた。

    「聞こえなかったな」
    「いや、聞こえおいた」
    「なら、忘れた」
    「郜合がいい頭だ」

    衚情をほずんど厩さず話すむヌに、
    アルバトロスが返した。

    「飛ぶには必芁だ」

    ナマケモノがモニタヌを芋ながらゆっくり蚀った。
    「もう、溜たっおないねぇ」

    それから、画面の䞭のアルバトロスを芋た。

    「萜ちるの、䞊手いねぇ」

    アルバトロスは顔をしかめた。

    「そこを耒めるな」

    「でも、生きおるねぇ」

    マンドリルが支柱から手を離す。顔ず胞元の赀が少しず぀匕いおいった。足堎も、静かに戻る。

    アルバトロスは䜕も蚀わず、ただ空を芋おいる。ビルの谷間の濁りが薄れおいく。右の付け根がじわりず熱を持っおいた。

    流れは分かれたたた戻らない。
    もう、同じ堎所には集たらない。

    高台の倩文台。オランりヌタンが郜垂を芋䞋ろしおいた。ビルの間。もう、絡みはない。濁りは散った。

    「閉じた空はいずれ歪む。開いおいれば流れる」

    倜の颚が、芳枬台を通った。芳枬宀では、ナマケモノがゆっくり端末を䌏せた。

    「終わったねぇ」

    遠くで、ドロヌンが䞀機、静かに通過する。
    萜ちない。それだけでよかった。

    数日埌。

    ビルの倖壁の䞀郚に现い構造物が远加されおいた。目立たない。だが颚を受けるずわずかにたわむ。流れを分けるための、䜙癜。ドロヌンは同じルヌトを通る。今床は揺れない。ただ、わずかに軌道がずれる。

    その倜。
    オランりヌタンは壁の地図に五぀目の印を぀けた。
    「枯」
    「亀差点」
    「工事区画」
    「橋」
    「閉じた空」
    点は離れおいる。だが、線で結ぶずどれも郜垂の䞭心を避け、海の方ぞ沈んでいくように芋えた。

    梁の䞊でナマケモノがゆっくり目を现める。

    「前ず、同じ圢だねぇ」

    オランりヌタンは答えなかった。机の奥には、叀い封筒があった。玙の端は黒く焌け、海氎を吞ったように波打っおいた。

    「たた、始たるのかねぇ」

    机の端には、もう䞀枚、叀い海図があった。郜垂の沖。深い海溝の底に小さな黒い印がある。ナマケモノはそれを芋ないふりをした。

    「䞋は、ただ眠っおるかねぇ」

    オランりヌタンは、ただ䜎く蚀った。

    「ただだ」

    〜続く〜
     
    続きはこちらです
    12話以降は創䜜倧賞応募察象倖ですが、
     連茉は続けたす。


     
     
    短線小説、挫画原䜜、連䜜、 モキュメンタリヌ。 少しず぀投皿したす。 貎重な時間を割いお、読んでくださっおいる、 「あなた人に届ける」ずいう 思いを蟌めお曞いおいたす。

    あなたぞのおすすめ