
目の見えない子と見える子が協力して謎解き! 新しい脱出ゲーム企画を全部公開【インクルーシブ授業②】
前回、視覚障がいのある子と晴眼の子が対等に主役になれる脱出ゲーム「魔法のカラクリ城からの脱出」のコンセプトをお伝えしました。
キャッチフレーズはこれです。
見える子も見えない子も、その謎の前ではハンデなし
今回は、そのゲームの心臓部である7つの試練を詳しく紹介します。
以下はは企画内容を作った狙いを紹介した記事です。
以下は企画の課題と可能性をまとめた記事です。
そして、今回は子どもたちが、脱出を目指して挑む試練について、詳しく紹介しますね。
これはどんな脱出ゲーム?

試練ごとに主役が入れ替わる設計なので、「助ける側」ばかりになることも、「助けられる側」ばかりになることもありません。
見えない子が触覚や音で情報を読み取り、見える子がそれを活かして動く——
そんな自然な「持ちつ持たれつ」の協力が、ゲームを進めていくうちに生まれていきます。
実際に教室や児童館で試しやすいよう、準備物やルールもシンプルにまとめました。
ゲームは、3幕構成になってます。
①7つの試練
②ラスボス戦
③最後の呪文詠唱
3つのミッションを達成すると、カラクリ城から脱出となります。
役割分担があり、目が不自由な子は解読者(ロビン)として、点字・触覚・音で読み取る試練で主役になります。

【第1幕】7つの試練の目的
各グループが試練をクリアするたびに、「き・み・は・と・も・だ・ち」の魔法石を1つずつ獲得していきます。

【一幕】7つの試練の流れ
ミッション:脱出の鍵となる7つの魔法石を集めよ
試練1:触覚ボックス(見えない子が主役)
▲ 箱の中に手を入れて、素材を触って当てる
【ゲーム内容】
段ボール箱に穴を開けた触覚ボックス。中に木・石・布・松ぼっくりなど素材の違うものを入れておきます。見えない子が手を入れて触って当てる。見える子は言葉でサポート。

試練2:宝探し(見える子が主役)
▲ヒントカードをたどって魔法石を見つけます。
【ゲーム内容】
ヒントカードを複数枚用意しておいて、カード1枚目を読んだら次のカードの場所がわかる→そのカードを見つけたら次の場所がわかる、という宝探し形式。
最後のカードに「み」の魔法石が隠してある、という流れ。
見える子が読んで誘導。

試練3:点字カード(見えない子が主役)
▲ 大きな点字カードを指で読み取る
A4サイズの点字カードを触って読む。「読める」ことを前提にせず、「点が左に2つ、右に1つある」と形を報告するだけでOK。見える子が点字表で照合して文字を特定します。

試練4:呪文リズム演奏(両方必須)
▲ 水の量を変えた6つのコップをスプーンで叩く
水の量を変えた6つのコップが点字の6点に対応しています。見えない子(ロビン)が点字カードを触って「3番と5番を叩いて!」と指示→見える子がスプーンで叩く→先生が判定「…せ、正解!」
準備はコップ・水・スプーン・番号シールだけ。

試練5:音のリズム(見えない子が主役)
「ぴーんぽーん」「カッコーカッコー」「とうりゃんせとうりゃんせ」のリズムをロビン(視覚障がいある子ども)が耳で聞き取り、見える子に伝えて再現する。
言葉で説明しにくいリズムをハミングで伝える。見えない子が「んーんーんーん、んんんん」みたいに伝えて、見える子が再現する。

試練6:穴あきパネル重ね(見える子が主役)
▲ 段ボール2枚を重ねると点字が浮かび上がる
段ボールを盾に見立てます。
盾Aと盾Bを見える子が正しく重ねて位置を調整→見えない子が触ると点字が浮かび上がる。材料は段ボール2枚とカッターだけ。

【二幕】ラスボス戦
ミッション:眠れるドラゴンを起こさないよう静かに忍び込め
▲ 眠れるドラゴン将棋崩し

「ドラゴンの間」へ。将棋の駒を音を立てずに静かに抜き続けます。音を立てたらドラゴンが寝返りを打つだけ(ゲームは続く)。全員固唾をのんで見守る緊張の場面。

【三幕】クライマックス
ミッション:魔法石で宝箱を開けて脱出せよ!
試練7:スライド封筒・古文書解読(両方必須)
▲ 封筒の窓を引き出すと点字が1文字「ち」現れる
いよいよ最後の試練。封筒のスライド窓を引き出すと「ち」の点字が1文字だけ現れます。ロビン(視覚障がいある子)が「○番と○番の点だ」と報告→見える子が点字表で照合→「ち」と特定→魔法石⑦獲得!

▲ 魔法石を黒板に描いた魔方陣にはめ込んでいく
魔法石7個が揃ったら黒板の魔法陣へ。
魔法石には、「き・み・は・と・も・だ・ち」と1文字づつ書いてある。それを黒板にチョークで描いた◯に1つずつはめ込む。
黒板の魔方陣
①②③④⑤⑥⑦
↑きみはともだち(魔法石)
魔法石はゲットした順番にはめてねとヒントを出す。
▲ 行き詰まったら、魔法使い先生を召喚!
困ったときはヒント封筒(ドラゴン将棋崩しでゲット)の中の召喚メダルを取り出して、全員でメダルを掲げて唱えます。「いでよ、星読みの魔法使い!」すると先生がヒントの魔法使いとして登場。
▲ 7個全てはめ込んだ瞬間——「きみはともだち」が完成!

全員で呪文「きみはともだち」を唱えると先生が「正解!」と宣言して脱出成功を演出。
ピカピカー!
ついに宝箱が開きます!
ここでお宝ゲットと、最後にどんでん返しが待っています。
振り返りの授業で伏線回収


先生が生徒たちをねぎらいながら、各ゲームに秘められた最後の謎を解き明かします。
それは、各ゲームにあった仕組みは、自分たちの暮らす街の中にも存在するということ。
そして、ゲームと同じようにそれが、ヒント(配慮)としてプレイヤーたち(視覚障がいのある方)を導いているということを。
点字について
クライマックスで子どもたちは点字一覧表を手に、点の並びを必死に読み取ります。
その子どもたちにとってそれは「暗号表」です。でも気づいていないだけで、その行為そのものが点訳の体験になっています。
一方、点字に関しては盲学校で勉強されるお子さん方にも習熟度が違ったり、そもそも点字を使う方が視覚障がい者のうち、一部だという事を知りました。
それを踏まえて、点字を読み取るのではなく凸の数や形を暗号として読み取って伝えることにしています。先生のフォローあり。
あえて、ゲーム内に点字を入れて点字の存在を知ることが、子どもたちにとって大切かなと思ってます。
ゲーム内容について
各ゲームはどんなゲームでも差し替えできます。ゲーム数も任意の数だけで可能です。
最後の文字数だけ、ゲーム数に合わせて調整するだけ。
もっと簡単なゲームでいい、授業時間に合わせたい、人数に合わせたいなど実情に合わせて改変して運用してください。
迷ったら『触覚ボックス・点字カード・水コップ・スライド封筒』の4試練、3試練でも十分成立します。
このゲームは、特別な道具がなくても実施できます。
もし気になった方は、簡易版だけでも試してみてください。
他にもいくつかゲーム案を考えてみました。興味ある方は以下の企画書のPDFファイルをご確認下さい。
こちら 著作権フリー。誰でも自由に使用・改変・再配布できます
次回はこの企画の振り返りとして、課題や可能性について考えてみます。
ヤブコウジ
※子どもたちの画像はすべてAI生成によるイメージです。