
【01】 出会ってしまった夜 | どうしようもなく、どっぷり浸かった恋の話
最後まで、付き合うことはなかった。
でも、あれはちゃんと恋だったと思う。
花火が終わって、私たちは3人で歩いていた。
久しぶりの浴衣。
風も気持ちよくて、少しだけ浮かれた帰り道。
車に向かう途中、人の波を逆行するように
前から2人組が近づいてくる。
「ナンパかな」
小さくそう言いながら、
そのまま通り過ぎようとした、その瞬間。
「おー!」
一瞬、誰かわからなかった。
「え、久しぶり」
地元の友達だった。
小学校卒業以来の再会。
「久しぶりやなぁ。てか、お前らかよ」
「わ、ひどい」
「いい歳してナンパ?」
「久しぶりにしてみたら失敗やったわ」
「えーなにそれ」
結局、そのまま5人でご飯に行くことになった。
隣を歩いたのは、もう1人の初対面の人。
「そっか、高校の同級生なんや」
「うん、地元帰ってきてまた会うようになって」
ーーやば…目、合わんほうがいいやつや。
顔を見るたびに、少しずつ、変に緊張していく。
「大学はどこやったん?」
「〇〇大学」
「あ、私行ったことある」
「ほんまに?」
「結構、山登るとこやんな?」
「そうそう、よく知ってるな」
笑って歩く。
「サークルとかしてた?」
「サッカー部」
ーーえ…
「え、サークルじゃなくて?」
「そうそう」
少し照れたように笑う横顔に、なぜか、目が離せなくなった。
「え、待って、私も。サッカー部でマネージャーしてた」
「え?まじで?」
夜の空気が、一瞬だけ止まる。
「試合でそこ行ったことがあってさ…」
また少しの間。
「え、てことはさ。」
「相手?」
「そういうことやんな?」
試合の相手ーー。
もしかしたら、あの時、すれ違っていたのかもしれない。
心臓の奥が小さく波打った。
この時はまだ、
こんなに長く忘れられない人になるなんて、思いもしなかった。
🎵 Suddenly I See / KT Tunstall
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