
【02】 ただ、一度会っただけ | どうしようもなく、どっぷり浸かった恋の話
気づけば、思い出している…
その日はご飯を食べて、2人とは別れた。
3人に戻った瞬間から、さっきまでの話で持ちきりだった。
「久々すぎ」
「偶然やったな」
「あとさ、こんなとこで大学繋がりの人に会う⁉︎」
「めちゃビックリした」
「てか、めちゃ格好よくなかった?」
「それ」
「やんな!」
何度も同じ話を繰り返して、笑って、
どこか少し浮ついたまま帰った。
3人で話しながらも、まだその人の「まじで?」という声が、イヤホンで聴く音楽みたいに、ずっとリピートされていた。
花火を見たのは、ほんの数時間前のはずなのに、
頭に残っていたのは、夜空じゃなくてその人だった。
部屋に着いても、2人で目を丸くして止まったあの空気が、忘れられなかった。
次の日からは、日常に戻った。
平日は仕事、
週末は友達と会うか、家でゆっくり。
遠距離の彼氏との電話も、変わらず楽しみにしていた。
変わらない毎日が続いているはずだった。
なのに、ふとした空白の瞬間に、あの夜の横顔が浮かんで消えない。
子どもの頃から、私はわりと真面目な性格だった。
曲がったことが嫌いで、それは恋愛についても同じ。
友達が少し得意げに話す浮気の話なんて、正直、理解できなかった。
——なんでそんなことできるんやろ
本気でわからなかった。
どこか他人事みたいに聞いていたし、自分には関係ないと思っていた。
ある日、地元のメンバーで鍋パーティーをすることになった。
場所は、夏に再会した幼なじみの家。
——あの人は、来んよな
小学校の仲間の集まりで、あの人は来ないとわかっていた。
それでも心のどこかで少しだけ期待している自分がいる。
もしかしたら…と、考えてしまう自分が少し嫌いだった。
当日は、男女8人が集まった。
久しぶりの顔ぶれに、自然と気持ちも高ぶり、楽しく時間が過ぎていく。
その人のことを思い出す暇もなかった。
気づけば、そのメンバーで集まることが増えていった。
誕生日を祝ってケーキを囲んで、何気ない時間を重ねていく。
そして——
数ヶ月ぶりに、あの人に会う日が来る。
🎵 CHE.R.RY / YUI
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