
【短編童話】ポポと虹色の毛糸
私の名はマリエール。
きれいな青い空が広がる。
こんな日は外でごはんを食べることにしよう。
今日は、キノコっちも朝からいる日。
マリエールは久しぶりにマフィンを焼いた。
いい香りが小屋から広がる。
「キノコっち!朝ごはんにしよう」
「はーい!」
キノコっちはぴっぴとぴーちゃんのお世話をしている。
外のテーブルの上に、マフィンを乗せる。
ジャムとチーズも欠かさない。
朝の風がマフィンの香りをあたりに運ぶ。
マフィンの香りに誘われて八木田さんもやってきた。
キノコっちはぴっぴとぴーちゃんを入れたバスケットを自分の横に置いて座った。
「わー!いいにおいだね、マリエール」
「昨日、もらったブルーベリーを入れてみたよ。おいしいといいのだけど」
「いただきまーす!」
キノコっちは早速、手に取る
「おーいしい!」キノコっちは目を丸くして、二口目を頬張る。
「よかった」
マリエールは温かいお茶を入れ、キノコっちの前に置く。
「熱いから気を付けてお飲み」
八木田さんは草をそばで食べている。
ゴトゴトと荷馬車の音が響いてくる。
「マリエール、いる?」
聞き覚えのある声。
「おや!ポポ!おはよう。久しぶりだね」
「おはよう、マリエール。朝からごめんなさい」
ポポは荷馬車から降りてきた。
「ポポ、おはよう!」キノコっちは笑顔でポポを見る。
「前に約束したコルネイユの毛糸、出来上がったのよ!早速持ってきたわ!」そう言うと、荷馬車から毛糸をたくさん取り出した。
「わー!とってもきれい」キノコっちはそばに寄り、毛糸をみつめる。
「なんて美しいんだ…。こんな美しい毛糸は見たことがない」
マリエールは毛糸の美しさに目を見張る。
触ると柔らかく、光の加減で色が変化した。
「ね、きれいでしょう?コルネイユの羽からとれる染料は、まさに虹の色よ。そして、たくさん取れるの。しばらくは染められるわ」
ポポはたくさんの毛糸玉を抱え、マリエールに渡す。
「こんなに?受け取れないよ、そんな貴重なもの」
マリエールは困惑しながらポポをみつめる。
「これは、マリエールの分よ。もっと出来上がるから、その時また持ってくるわ」
遠慮気味のマリエールに、毛糸を渡すポポ。
「いいのよ、受け取って。私もうれしいの。
こんなにきれいに染まったのは久しぶり。
マリエールとキノコっちのおかげだわ。
きっと、コルネイユもうれしかったのね」
毛糸をみつめるポポ。
マリエールはその言葉を、静かに胸の中にしまった。
「ボクの分もあるの?」キノコっちがマフィンを食べながら聞く。
「あるわよ!確か、この辺りに・・・」ポポが荷馬車の中を探し始める。
「あった!この毛糸、赤みが強く出たの。きれいでしょ?これはキノコっちの分」そう言って、キノコっちに渡す。
「わー!お日さまみたい!キレイ!」キノコっちは毛糸を持って大はしゃぎ。
「そうだ、よかったら朝ごはんをいっしょにどうだい、ポポ」
マリエールはポポのお皿を準備する。
「ありがとう。でもこれから町に行って、この毛糸を売ってくるのよ。早く村に帰って来たいし。また、帰りに寄れたら寄るわ!」そう言うとポポは荷馬車に乗る。
マリエールはバスケットにマフィンとりんごを入れた。
「これを、持っておいき。焼いたばかりのマフィンだよ。お腹が空いたときにでも食べておくれ」マリエールはバスケットを渡した。
「あら、いいの?ありがとう!いいにおいね」ポポはバスケットに顔を近づけて匂いを味わう。
「気を付けていっておいで」
「ポポ、またきてね」
ポポは手を振り、町に出発した。
マリエールとキノコっちはポポの後ろ姿を見送った。
「マリエール、こんなにたくさんの毛糸、どうするの?」
マリエールはテーブルの上に乗せられた
たくさんの毛糸玉を見つめる。
「そうだね…。トガールさんに聞いてみようか」
「最近トガールおばあちゃん、ジャムスのお店に来るよ」
「本当かい?じゃ、小屋に来るように伝えてくれる?」
「お安い御用さ!」
キノコっちは2つ目のマフィンにかじりついた。
この毛糸で、みんなに何か作ろう。
冬を温かく過ごせるように。
それにしても、虹が手元に広がるなんて、
朝から素敵なものが届いた。
マリエールは、消えない手の中の虹をずっと見つめていた。
──ポポと虹色の毛糸──
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