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Beyoncéのライブはどう進化した?― デスチャからRenaissance、Cowboy Carterまで


1. はじめに

Beyoncéといえば、圧倒的な歌唱力とダンス。

Destiny’s Child時代から、その実力はすでに際立っていました。

しかしソロになってからのライブを時系列で見ていくと、面白いのはその先です。

演劇的な演出、ファッション、巨大な映像。そしてやがて、自身のルーツや黒人文化、アメリカの音楽史までがステージに登場するようになります。

20年以上の間に、Beyoncéはライブで何を見せ、その見せ方をどう変えてきたのでしょうか。

Destiny’s Child時代から現在まで、主要なステージを追ってみます。


2. Destiny’s Child時代 ― ライブの土台はすでにあった

ソロになる前、Destiny’s Child時代のBeyoncéにも、現在のライブにつながる部分はすでに見られます。

2002年の「Destiny's Child World Tour」や、2005年の「Destiny Fulfilled... and Lovin' It Tour」では、激しく踊りながら歌い、ハーモニーを保ちながら観客を盛り上げていく姿を見ることができます。

特に目を引くのは、歌とダンスを両立させるスタミナと、ステージ上から観客を引っ張っていく力です。

現在のBeyoncéとはライブの規模も演出も大きく異なりますが、その土台はDestiny’s Child時代から作られていました。


ℹ️Destiny’s Childの結成から解散、その後の再結成までについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。


3. 2003〜2007年 ― ソロになって「ショー」が始まる

2003年、Beyoncéは「Dangerously in Love Tour」で初のソロツアーを行いました。

Destiny’s Child時代から培ってきた歌とダンスを軸にしながら、ソロアーティストとしてステージに立つ時代が始まります。

『B’Day』を発表した2006年には、次のツアーに向けて女性だけのバンドを準備していました。

当時のインタビューで、ビヨンセはこの構想について「本当にうまくいくのか不安だった」と振り返っています。当初は7人を考えていましたが、才能のある女性が多く、最終的には10人になったとも話していました。さらに、彼女たちから刺激を受けて、自分もツアー中に何か楽器を覚えたいと語っています。

そして2007年の「The Beyoncé Experience」では、ライブの見せ方もさらに広がっていきます。

たとえば「Ring the Alarm」では、映画『Chicago』の「Cell Block Tango」を思わせる演出を取り入れ、鉄格子を使った舞台で楽曲の緊張感を表現しています。

また、このツアーには、のちに長年Beyoncéのダンサーを務めるAshley Everettが参加。さらに、ドラマ『Glee』でブリタニー役を演じるHeather Morrisもバックダンサーとして出演していました。

Heather Morrisはその後、「Single Ladies」の振付を『Glee』の出演者に教えたことをきっかけに、ブリタニー役として出演するようになります。

こうして見ると、2003年から2007年の間に、歌とダンスを軸にしながら、楽曲ごとに衣装や振付、舞台演出を組み合わせる見せ方が、よりはっきりしていきました。


4. 2009〜2010年 ― 衣装まで「ショー」の一部になる

「I Am... World Tour」では、ファッションもライブを作る重要な要素になっていきます。

このツアーで大きな役割を担ったのが、Thierry Mugler(ティエリー・ミュグレー)です。

Muglerは数多くの衣装を手がけただけでなく、クリエイティブ・アドバイザーとしてショーにも関わりました。

衣装は曲に合わせて次々と変わり、単にBeyoncéを華やかに見せるだけでなく、それぞれの場面の雰囲気も作っています。

2007年の「The Beyoncé Experience」で強くなった演劇的な見せ方に、ファッションやビジュアルがさらに加わった時期でした。


5. 2013〜2016年 ― 巨大な舞台で「何を見せるか」が変わる

2013年、BeyoncéはSuper Bowlのハーフタイムショーに出演しました。

「Crazy in Love」「Single Ladies」などを披露し、Kelly Rowland(ケリー・ローランド)とMichelle Williams(ミシェル・ウィリアムス)も登場。Destiny’s Childの3人が再び同じステージに立ちました。

そして3年後の2016年、BeyoncéはColdplayがヘッドライナーを務めたSuper Bowlのハーフタイムショーにゲスト出演し、「Formation」を披露します。

黒い衣装に身を包んだダンサーたちの演出は、Black Panther Partyを想起させるものとして大きな注目を集め、政治的だとして賛否を呼びました。

同年の「Formation World Tour」では、『Lemonade』で描かれた南部黒人文化や黒人女性の経験、警察暴力などのテーマが、スタジアム規模の演出へと広げられていきます。

この頃になると、Beyoncéのライブでは、ステージで扱うテーマが以前より前面に出るようになりました。


6. 2018年 ― Beychella 黒人文化の歴史をステージへ

2018年、BeyoncéはCoachellaで黒人女性として初めてヘッドライナーを務めました。

この公演は「Beychella」と呼ばれ、大きな話題になりました。

ショーには、HBCU(Historically Black Colleges and Universities/歴史的黒人大学)のマーチングバンドやステップショーなどから着想を得た演出が取り入れられました。

ステージには大編成のバンドやダンサーが並び、Beyoncé自身の楽曲とともに、黒人音楽や黒人大学の文化を大規模なフェスティバルの舞台へ持ち込みました。

さらにKelly RowlandとMichelle Williamsも登場し、Destiny’s Childとして「Lose My Breath」「Say My Name」「Soldier」を披露しています。

Beychellaでは、Beyoncé自身のヒット曲を見せるだけでなく、彼女が影響を受け、受け継いできた文化もショーの大きなテーマになっていました。


7. 2023年 ― 観客までショーの一部になる

2023年の「Renaissance World Tour」では、ステージ上だけでなく、観客を含めた会場全体の見せ方が大きな特徴になりました。

『Renaissance』が取り入れたダンスミュージックやクラブ文化を、巨大な映像や衣装、ダンサーを使ってスタジアム規模で見せながら、観客もその中へ参加していきます。

ツアー後半には、自身の誕生日を含むVirgo Seasonの公演に向けて、Beyoncéがファンへ銀色の服で来場するよう呼びかけました。客席までが光を反射し、会場全体の景色を作る一部になったのです。

Beyoncéを見るだけでなく、観客もその空間に参加する。

「Renaissance World Tour」では、そんなライブの楽しみ方がよりはっきりと見えるようになりました。


ℹ️『Renaissance』の背景にあるブラック・クィア文化や、会場がなぜ銀色に染まったのか、そしてツアーが「巨大なクラブ」のような空間になった理由は、こちらのシリーズで詳しく紹介しています。


8. 2025年 ― Cowboy Carter Tour アメリカ音楽史までステージへ

2025年の「Cowboy Carter Tour」では、アルバム『Cowboy Carter』で掘り下げたカントリーをはじめとするアメリカ音楽と、その歴史の中にある黒人文化とのつながりが、大規模なステージへと広がりました。

カウボーイハットやデニム、ウエスタンを取り入れた衣装や演出が並ぶ一方で、そこにBeyoncé自身の音楽やファッションが組み合わされています。

『Cowboy Carter』で扱ったテーマを、音楽だけでなく衣装や映像、ステージ全体を使って見せるツアーになりました。


9. Beyoncéのライブは、どう進化したのか

Destiny’s Child時代から20年以上。

振り返ってみると、Beyoncéのライブは、単純に規模が大きくなってきたわけではありません。

歌とダンスという土台を残しながら、楽曲に合わせた舞台演出やファッションが加わり、作品で扱う文化や歴史、さらには観客との関係まで、ステージで見せるものが変わってきました。

昔のライブが未完成だったのではなく、その時々の作品に合わせて見せ方が変わっていきました。

時系列で追ってみると、そこにBeyoncéのライブの面白さが見えてきます。


ℹ️Beyoncéのライブをもっと違う角度から見てみたい方へ

⬇️歌舞伎とBeyoncé

一見まったく違うBeyoncéのステージと歌舞伎を、演出や身体表現などから比べています。


⬇️🆓Jay-Zとのライブや2人の関係が気になった方へ

夫婦で行った「On the Run Tour」と、BeyoncéとJay-Zが20年以上かけて築いてきた関係について、それぞれの記事で紹介しています。


 

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