『Blue Ivyから読むBeyoncé⑤』Blue Ivyは“ネポベイビー”なのか? ― 「親のおかげ」と本人の努力の境界
1. はじめに
Blue IvyがBeyoncéのステージに立つと、必ずと言っていいほどついて回る言葉があります。
「ネポベイビー(nepo baby)」。
母はBeyoncé、父はJAY-Z。一般の子どもにはまず得られない環境に生まれ、11歳で『Renaissance World Tour』のステージに立ったBlue Ivyに、「親のおかげではないか」という声が向けられるのは不思議ではありません。
実際、Blue Ivyが親から与えられたものは大きいと思います。でも、それだけで彼女がステージで見せてきたものまで説明できるのでしょうか。
前回は、親から何かを受け取れる環境そのものが特権ではないか、というところで終わりました。
今回考えたいのは、その先です。
親から与えられた機会と、その機会を得たあとに本人が積み上げたものは、どこから分かれるのでしょうか。
Blue Ivyをめぐる「ネポベイビー」という言葉から、親から受け継ぐことと、自分の力で勝ち取ることの境界を考えてみます。
2. 「ネポベイビー」という言葉がここまで広がった理由
「nepo baby(ネポベイビー)」という言葉は、2022年頃から欧米のSNSやメディアで急速に広まりました。
「nepo」は「nepotism(ネポティズム)」の略です。nepotismは、家族や親族との関係を理由に、仕事や地位などで優遇することを指します。
そこから生まれた「nepo baby」は、親の知名度や人脈によって、普通なら得にくい機会や業界へのアクセスを得ていると見なされる有名人の子どもたちを指す俗語として使われるようになりました。
2022年末には、New York Magazine/Vultureが「The Year of the Nepo Baby」と題した大規模な特集を組み、ハリウッドを中心に「誰の子どもなのか」が盛んに議論されました。
ここで大事なのは、「親から何かを受け継ぐこと」と「親の影響力によって特別な機会を得ること」は、同じではないということです。
Blue Ivyが、親によって非常に大きな機会を得たことまで否定する必要はないと思います。
では、その機会を得たあとに本人がしたことまで、「親のおかげ」と考えるべきなのでしょうか。
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ここからは、Blue Ivyが親から与えられたものと、そのあとに本人が積み上げたものを分けながら、「親のおかげ」と「本人の努力」の境界を考えていきます。
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