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『Blue Ivyから読むBeyoncé④』Cowboy CarterとBlue Ivy ― 誰が“歴史”を受け継ぐのか

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『RENAISSANCE』で「未来世代」として見てきたBlue Ivyは、なぜ『COWBOY CARTER』の世界にも立ったのか。

1. はじめに

『Renaissance World Tour』でBlue Ivyを見ていると、私は彼女を、前の世代から何かを受け取っていく「未来世代」として考えずにはいられませんでした。

では、その次の『COWBOY CARTER』ではどうでしょうか。

2024年に発表されたアルバムにBlue Ivyは参加していません。しかしBeyoncéはこの作品で、カントリーミュージックの歴史を深く調べ、アメリカ音楽の中で見えにくくされてきた歴史にも目を向けました。

そして翌2025年、その『COWBOY CARTER』の世界をステージへ広げたツアーに、Blue Ivyが加わります。

過去を掘り下げた母の作品に、次の世代である娘が立つ。その光景から、今回は「歴史を受け継ぐ」とはどういうことなのかを考えてみます。


2. 『COWBOY CARTER』は「カントリーアルバム」ではない

『COWBOY CARTER』は、単なる「Beyoncéのカントリー挑戦」として作られた作品ではありません。

2024年3月、Beyoncéはアルバムについてこう書いています。

“This ain’t a Country album. This is a ‘Beyoncé’ album.”

「これはカントリーアルバムではありません。
これは『Beyoncé』のアルバムです。」

その言葉の前には、この作品が生まれた理由も綴られていました。Beyoncéは、数年前に自分が「歓迎されていない」と感じた経験があり、それをきっかけにカントリーミュージックの歴史を深く掘り下げ、豊かな音楽のアーカイブを研究したと説明しています。

つまりBeyoncéは、ただ新しいジャンルに挑戦したのではなく、その音楽がどこから来たのかを過去へ遡って調べていました。

そこから『COWBOY CARTER』を見ていくと、「カントリーとは誰の音楽なのか」「アメリカの歴史の中で、誰が見えていて、誰が見えにくくなってきたのか」という問いも浮かんできます。

私たちが映画や西部劇で思い浮かべる「カウボーイ」は、白人男性のイメージが強いかもしれません。しかし実際のアメリカ西部には、多くの黒人カウボーイがいました。

Beyoncé自身も2024年のGQインタビューで、カウボーイの最大4分の1が黒人だったとされる歴史に触れています。そして、「歴史はしばしば勝者によって語られる」と話し、アメリカ史が繰り返し書き換えられてきたことにも言及しました。

『COWBOY CARTER』の公式資料でも、西部の黒人カウボーイたちから着想を得たことや、これまで隠されてきた歴史に光を当てることが説明されています。

そう考えると、この作品でBeyoncéが過去へ目を向けたことには、単なる懐古とは違う意味があります。そこには、アメリカ文化の中に確かに存在していたのに、長い間見えにくかった人々をもう一度見つめる視点があります。


3. 見えにくくされてきた歴史をたどる

Beyoncéはこれまでも、『Lemonade』『Homecoming』『Black Is King』などで、黒人の文化や歴史、経験を作品の中心に置いてきました。

『COWBOY CARTER』で特徴的なのは、Beyoncé自身がカントリーミュージックの歴史を調べたと明言していることです。そしてアルバムには、黒人女性カントリー歌手の先駆者Linda Martellと、Brittney Spencer、Tiera Kennedy、Reyna Roberts、Tanner Adell、Shaboozeyといった新しい世代のアーティストが参加しています。

過去の先駆者と、現在そしてこれからを担うアーティストたちが、一枚のアルバムの中に並んでいる。

私には、ここにも『COWBOY CARTER』の面白さがあるように思えます。過去を調べ直すことが、そのまま過去にとどまるのではなく、現在のアーティストを見つめ直すことにもつながっているからです。


4. その作品世界に、次の世代が立った

ここで、Blue Ivyに戻ります。

Blue Ivyが『COWBOY CARTER』の世界に加わるのは、アルバム発表の翌年です。

2025年に『Cowboy Carter Tour』が始まると、Blue Ivyは再び母のステージに立ちました。


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ここからは、Blue Ivyが『Cowboy Carter Tour』で見せた姿から、Beyoncéが掘り下げた音楽の歴史と次の世代とのつながりを見ていきます。そして、親から子へ何かを「受け継ぐ」とはどういうことなのかを考えてみます。

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Blue Ivyは、なぜBeyoncéのステージに立ったのか。 最初の「NO」、SNSでの批判と成長、『RENAISSANCE』『COWBOY CARTER』、ネポベイビー論争、そしてBeyoncé自身の家族の歴史まで。 Blue Ivyから見えてきた6つの問いを、本人・関係者の発言や一次資料をたどりながら考えます。 全6回・単品合計2,400円 → マガジン980円

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