
三原色思考法

三原色思考法とは
三原色思考法は、ソーシャルアート作家・土井田一将が、デザイン思考、アート思考、ソーシャルアート思考の三つを掛け合わせて生み出した思考法です。
もともとは、ソーシャルアートの作品やプロジェクトを考える中で育ってきました。
この思考法が大切にしているのは、一つの物事を複数の方向から見つめ、その人や状況に合った可能性を考えていくことです。
一つの出来事には、さまざまな見方があります。
人が抱えている課題から見る。
その背景にある前提から見る。
そこにある価値や想いが、人や社会の中をどのように巡っていくかを見る。
見る方向が変わると、問いが変わります。
問いが変わると、考えられる可能性も変わります。
三原色思考法では、この三つの方向を、
解決する。
問い直す。
循環させる。
という三つの思考から考えていきます。

01|デザイン思考
解決する
人が感じていることや、実際に起きていることに目を向けます。
「今、何に困っているのだろう」
「本当は、何が変わってほしいのだろう」
「何を必要としているのだろう」
「どうすれば、より良い状態にできるだろう」
人の声や行動、体験から課題を捉え、必要としていることを考え、より良い状態へつながる方法を探していきます。
人を起点に、現実にある課題を解決していく思考です。

02|アート思考
問い直す
自分が見ている物事を、違う角度から見つめます。
「そもそも、これは何だろう」
「なぜ、これを問題だと感じているのだろう」
「ほかには、どんな捉え方があるだろう」
「別の見方をすると、何が見えてくるだろう」
自分の中にある前提や常識を見つめ直すことで、問いそのものが変わることがあります。
そこから、新しい意味や見方、選択肢が生まれていきます。
物事の前提を問い直し、新しい見方を生み出していく思考です。

03|ソーシャルアート思考
循環させる
人や物事の中にある価値や想いに目を向け、その価値が人との関係や社会の中を巡っていく方法を考えます。
「ここには、どんな価値があるだろう」
「この経験や想いを、どのように生かせるだろう」
「誰かとつながることで、どんな体験が生まれるだろう」
「人から人へ渡っていくことで、どんな可能性が生まれるだろう」
想い、経験、技術、文化、アイデアなどを、表現や体験へと変えていく。
誰かがそれに触れ、感じ、使い、参加し、また次の誰かへつながっていく。
その過程で、新しい会話や体験、関係、意味が生まれていきます。
そこにある価値や想いを、人の体験や関係へと変え、人から人へ循環させていく思考です。

なぜ「三原色」なのか
色は、異なる色が重なり合うことで、新しい色を生み出します。
思考も、それに似ています。
デザイン思考から見えるもの。
アート思考から見えるもの。
ソーシャルアート思考から見えるもの。
一つの物事に三つの思考を重ねることで、問いの立て方が変わり、見えるものが増え、そこから新しい考えや可能性が生まれていきます。
その姿を、色が重なり合いながらさまざまな色を生み出していく「三原色」に重ね、三原色思考法と名付けました。
そして、ここで大切なのは、三つを決まった順番で使うことではなく、テーマに合わせて三つの思考を行き来することです。
課題を見つめている途中で、前提を問い直すこともあります。
問い直したことで見つかった価値から、新しい循環を考えることもあります。
そこから新しい課題が見え、もう一度解決を考えることもあります。
三つの思考が行き来することで、考えは少しずつ変化し、深まっていきます。

三原色思考法は、何に使えるのか
三原色思考法が扱うテーマに、決まった分野はありません。
仕事について考える。
人との関係について考える。
自分の生き方について考える。
商品やサービスを考える。
企業が抱えている課題を考える。
企業理念について考える。
新しい事業を考える。
地域や社会について考える。
対象が変わっても、
「どう解決するか」
「どう捉えるか」
「どう循環させるか」
という三つの方向から考えることができます。
個人であれば、自分自身の悩みやこれからの選択に。
企業であれば、社員一人ひとりの思考、新しい商品やサービス、組織、理念、事業、社会との関係づくりに。
さまざまな場面で使うことができます。

三原色思考法の基本
三つの色から、一つのテーマを見る。
デザイン思考は、人と課題を見る。
アート思考は、前提と意味を見る。
ソーシャルアート思考は、価値と循環を見る。
一つのテーマに対して、
解決する。
問い直す。
循環させる。
という三つの方向から考えます。
そして、三つの思考を行き来しながら、その人、その企業、その状況に合った考えをつくっていきます。
三原色思考法が目指しているのは、一つの答えへ早くたどり着くことよりも、一つの物事から考えられる可能性そのものを豊かにすることです。
問いが変われば、見えるものが変わる。
見えるものが変われば、選択肢が変わる。
選択肢が変われば、その先につくれる未来も変わっていく。
一つの出来事を、一つの見方で終わらせない。
解決する。問い直す。循環させる。
三つの思考を重ねながら、
まだ見えていない可能性を見つけていく。
それが、三原色思考法です。

三原色思考|使い方イメージ
例1)共通テーマ企業理念が、社内に掲げられた「言葉」のままになっている。
どうすれば、その理念を人が実感し、日常の中で生きるものにできるだろう?
この一つのテーマを、デザイン思考、アート思考、ソーシャルアート思考の三つから考えてみます。
1|デザイン思考で考えた場合
デザイン思考では、まず、「なぜ、この理念は社員に届いていないのだろう?」と考えます。
社員に話を聞いてみる。
すると、
「言葉が抽象的で、自分の仕事との関係が分からない」
「普段、理念について考える機会がない」
「入社したときに聞いただけで、その後ほとんど触れていない」
といったことが分かるかもしれません。
そこで、社員が理念に触れる場面そのものを見直します。
理念の文章を、より理解しやすくする。
理念と実際の仕事の事例を結びつける。
新人研修の中で、自分の仕事と理念の関係を考える時間をつくる。
日常の仕事の中で、理念を思い出せる仕組みをつくる。
社員の声や行動を見ながら、「なぜ届いていないのか」を探り、理念をより身近に感じられる状態へ改善していきます。
デザイン思考の問いは、「なぜ理念が届いていないのか。どうすれば、人が理解しやすく、日常の行動と結びつく形にできるだろう?」です。
つまり、理念が届いていないという課題を、人の側から解いていく。
2|アート思考で考えた場合
アート思考では、問いそのものを変えます。
「そもそも、企業理念とは何だろう?」
企業理念は、壁に掲げる文章でなければならないのだろうか。
読んで理解するものなのだろうか。
たとえば、企業が大切にしている理念が「感謝」だったとします。
では、感謝とは何だろう。
「ありがとう」という言葉だけが感謝なのだろうか。
誰かにつくってもらった料理の記憶。
長い間使われてきた仕事道具。
誰かが残してくれた手紙。
一緒に過ごした時間。
そうしたものにも、「感謝」は宿っているかもしれません。
そう考えると、企業理念の見え方そのものが変わってきます。
理念は文章だけではなく、色や形、素材、音、動き、味、空間などによって表すこともできるかもしれない。
アート思考では、理念をどう伝えるかを考える前に、
「理念とは何なのか」
というところまで戻ります。
そして、これまで当然だと思っていた見方を外し、そこから新しい意味や表現の可能性を生み出します。
アート思考の問いは、「そもそも、この理念とは何だろう?」「今までとは違う形で捉えたら、何が見えてくるだろう?」です。
つまり、理念そのものの見方を変えていく。
3|ソーシャルアート思考で考えた場合
ソーシャルアート思考では、そこからさらに、
「この理念を、人の生活の中で生きるものにできないだろうか?」
と考えます。
たとえば、企業理念から一つの料理を生み出します。
理念が大切にしている価値を、食材、味、香り、調理方法、食べ方などへ置き換え、
「理念レシピ──企業の味」
として表現します。
どこか「母の味」のように、その企業が大切にしてきた想いや考え方を、一つの味として残していくイメージです。
完成したレシピを社員へ渡します。
社員が家へ持ち帰る。
自分でつくる。
家族や大切な人と一緒につくる。
出来上がった料理を食卓に並べ、一緒に食べる。
すると、会社の中にあった理念が、生活の中へ入っていきます。
食卓で、
「これ、会社が大切にしている考え方から生まれた料理なんだよ」
という会話が生まれるかもしれません。
社員自身も、料理をつくる時間の中で理念に触れる。
家族も、その会社が何を大切にしているのかを知る。
理念について話す時間が生まれる。
会社の中にあった一つの言葉が、
企業 → 社員 → 家庭 → 食卓 → 家族 → 会話
へと動いていきます。
さらに、この理念レシピを顧客へのノベルティーにすることもできます。
協力企業への贈りものにもできる。
地域のイベントで、一緒につくる体験にすることもできる。
そうすれば、企業理念は会社の中だけにある言葉から、人がつくり、食べ、感じ、誰かと分かち合いながら、人から人へと渡っていくものへ変わっていきます。
ソーシャルアート思考の問いは、「この価値を、どうすれば人の生活の中で体験できる形にできるだろう?」そして、「その体験が人から人へ渡ったとき、どんな意味や関係が生まれ、どこまで広がっていくだろう?」です。
つまり、そこにある価値や想いを表現し、人の生活の中へ送り出し、体験され、分かち合われながら、社会をめぐっていくところまで考える。
4|三つの思考を重ねると
同じ「企業理念が言葉のままになっている」というテーマでも、どの思考から見るかによって、問いは変わります。
デザイン思考では、
「なぜ理念が届いていないのだろう?」
と、人の声や行動から課題を捉え、より良い状態へつながる方法を考えます。
アート思考では、
「そもそも、企業理念とは何だろう?」
と、理念そのものの意味や捉え方を問い直します。
ソーシャルアート思考では、
「この理念を、どうすれば人の生活の中で体験され、人から人へ巡るものにできるだろう?」
と、そこにある価値を体験や関係へと変え、社会の中で循環していく方法を考えます。
一つのテーマが、どう解決するか。から、そもそも、どう捉えるか。へ広がり、さらに、そこにある価値を、どう人や社会へ循環させるか。
へと広がっていく。
三つの思考を重ねることで、最初に見えていた問題から、問いの範囲そのものが広がっていきます。
そして、そこから生まれる答えも変わります。
この事例では、「理念をもっと分かりやすく伝える」という発想から、「理念そのものを捉え直し、人が体験できる形に変え、その体験を人から人へ循環させていく」という考え方へ広がりました。
これが、三原色思考法で一つの物事を見るということです。

三原色思考プログラム
「組織で考える力を育てる」
企業の実際の課題やテーマを、複数人で三原色思考法から考え、多面的に見る力を組織全体で育てながら、実際の仕事や行動につなげる企業専用プログラム。

詳細

「自分の見える世界を広げる」
自分自身の悩み、迷い、やりたいことを三原色思考法から見つめ、一人では見えていなかった視点や可能性を広げ、自分なりの次の一歩を見つける
個人向けプログラム
