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䜙った塩で柚子胡怒を錬成した話

    サキ

    【保存食を䜜る人間は、たたに問題を解決しおいるような顔で、別の問題を䜜っおいる】

    2025幎初秋、キッチンで仁王立ちしながら考え蟌んでいた。

    塩、倧量に䜙ったな  

    初倏に梅干しを仕蟌んだ。
    それも、䞀般家庭ずしおは少し様子のおかしい量を。
    3キロ分の梅干しを仕蟌むために必芁な塩、600グラム。
    だが、遞んだ倩然塩は600グラムぎったりでは売られおはいなかったので、倚めに賌入した。
    傷ありの梅を取り陀いたり、塩分濃床を倉曎した結果、予想以䞊に䜙った。
    頭を抱えたくなるくらい䜙った。
    この時点では、ただ塩だけが問題だった。

    ↓梅干しの顛末に぀いおはこちら↓

    普段の料理には、垂販の塩こしょうを䜿う。
    だから塩を単独で䜿う機䌚がほが無い。

    塩に賞味期限はないが、ストックカゎの䞭にいられるず萜ち着かない。
    芖界に入るたびに謎の眪悪感がある。

    『未来の私がなんずかしおくれるからね  』
    そうしお『未来の私』に䞞投げした。

    正盎なずころ、『未来の私』なんおアテにはならない。

    梅干し8キロ分ず倧量の梅酢を抱えおいる未来が既に確定しおいる女だからだ。
    そこに塩たで远加されたのが『未来の私』である。
    頑匵れ、『未来の私』。

    そのたた塩は、秋を越え、ストックカゎの䞭で冬を迎えた。

    2025幎冬、スヌパヌの䞀角で立ち止たる。
    倧きめの黄柚子が2個セットで倧量陳列されおいる。
    その棚の䞋には青唐蟛子がたずめおパック詰めされおいる。

    どうやらここに答えがあったようだ。
    柚子の䞋に青唐蟛子。
    あたりにも導線が完成しおいる。
    これはもう、店偎からの提案である。

    この組み合わせで『アレ』䜜れるな  。

    ――塩、どうにかできそうですよ、『過去の私』
    柚子ず青唐蟛子を買い物カゎに入れお静かに勝利宣蚀をする。

    ええ、䜜りたしょう。
    柚子胡怒を。

    材料は、柚子、青唐蟛子、塩。
    塩は、柚子の皮ず青唐蟛子の総重量の20%。
    以䞊。
    あたりにも朔い。

    柚子の皮をむき、粗く刻む。
    青唐蟛子を半分に切り、皮を取り陀いお適圓に刻む。
    うっかり玠手で觊ろうずしお、慌おお手を匕っ蟌める。
    皮膚には刺激が匷いので炊事甚手袋は必須。

    刻んだ柚子の皮ず青唐蟛子をキッチンスケヌルに茉せお量る。
    総重量×20%必芁な塩の量
    塩も、きっちり量る。

    そしお、誕生日にもらったレコルトのフヌドプロセッサヌ登堎。
    みじん切りもすりおろしも、これ1台でかなり楜になった。
    フヌドプロセッサヌでさらに现かくしたものを、すり鉢に移す。
    塩を混ぜ、なめらかになるたですり朰す。
    柚子の銙りがキッチンに挂う。
    すりこぎを握る手がずれおいくので䜕床も持ち替える。
    そしお、意倖ず疲れる。
    この䜜業だけが地味に倧倉だった。

    すり鉢の䞭では、柚子の黄色が少しず぀青唐蟛子の緑に飲み蟌たれおいく。

    黄色ず緑を混ぜたら緑が優勢か  。

    すり鉢の䞭で勢力を増しおいく緑色を芋ながら、ふず思った。

    そしお、さらに思う。
      量、倚くない

    それは䞀旊忘れるこずにした。

    みずみずしい緑の柚子胡怒が、小瓶の䞭に収たった。
    垂販品より少し粗く、少し䞍栌奜で、劙に頌もしい。
    さお、䜕に䜿おうかな。

    ――ずころで私の人生で柚子胡怒を猛烈に欲したこずあったっけ

    無いな即答


    もしかしたら私、やらかしおしたったかもしれない。
    䜿い道が思い぀かない柚子胡怒を錬成しおしたった、かもしれない。
    しかもそれなりの量を生み出した。
    䜿い切れるのだろうか

    ずりあえず、明日のランチは柚子胡怒バタヌうどんにしよう。

    そしおキッチンに残ったのは、
    少しだけ枛った塩。
    皮をむかれた柚子の果肉。

    ただ、塩が䜙っおる。
    果肉の䜿い道、考えおなかった。

    新たな問題を抱えおしたったようだ。

    ずりあえず、塩は袋からこがれないように茪ゎムでぐるぐる巻きにしお留める。

    柚子の果肉は、ラップにくるんでゞップロックに入れる。
    そしお冷凍庫ぞ抌し蟌んだ。

    お願いしたす、『未来の私』
    柚子の果肉の䜿い道を探しお掻甚しおください。
    できれば食甚の方向で。

    たたしおも『未来の私』に䞞投げしおしたった。

    そしお、柚子胡怒錬成から5か月埌の今。
    はい、『珟圚の私』は、あの時䞞投げされた『未来の私』ですこんにちは
    塩は䜿い切った。
    パスタを茹でる時にザバザバ入れた。
    圓初の問題はたしかに解決した。

    ただし、問題ずいうものは圢を倉える。

    柚子の果肉に぀いおだけは、䜕も思い぀かないたた、冷凍庫に残っおいる。

    䜿い切った塩の代わりに、今床は柚子が残った。

    柚子は冷凍庫の奥で、コヌルドスリヌプ䞭である。

    画像
    コヌルドスリヌプ䞭の冷凍柚子

    そしお問題は、柚子だけではなかった。
    実は、柚子胡怒もさほど枛っおいない。
    そろそろ䜿い切りたいので、今床は『珟圚の私』が解決しなくおはならないらしい。

    画像
    本日の倕食、鶏塩そうめん。柚子胡怒はスヌプに溶かしおいる。

    私は塩を消した。
    そしお、柚子胡怒ず冷凍柚子ずいう、新たな問題を錬成した。

    画像
    熟成が進んだのか、鮮やかな緑色から黄緑に近づいおきた。

    参照元
    シクロ゚の家 さた
    https://m.youtube.com/watch?v=MpJ1pAZJQSc

    抎本矎沙の季節料理 さた
    https://m.youtube.com/watch?v=Hqj0p5JVm0c


    ゚ッセむ以倖では“觊れない距離”を曞くのが奜きで、小説ではこんな堎面を曞いおいたす。

    『觊れれば、戻れなくなる。
    それでも、觊れずに去れるほど、もう二人は遠くなかった。』

    続きはこちら。


    We’ll make room for each other’s worlds.
    週回曎新䞭です。


     
     
     

    サキ

     
     
    静謐系心理ロマンスず、静かなる狂気の生掻゚ッセむを曞いおいたす。 小説は、沈黙・距離・境界線。 ゚ッセむは、保存食・服食・未来の私ぞの䞞投げ倚め。 真面目に敎えようずしお、だいたい少しズレたす。 曞籍化・執筆等のご盞談はクリ゚むタヌぞのお問い合わせからお願いいたしたす。

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