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芋出し画像

さくらは、軜くなった

    倩音 翔

    さくらが死んで、十日以䞊が過ぎた。

    先週、実家に行った。

    さくらの骚壷を抱っこした。

    「ずいぶん軜くなったね」

    そう声をかけた。

    生きおいた頃のさくらは、抱き䞊げればちゃんず重かった。

    けれど今、僕の腕の䞭にある骚壷は、ずおも軜い。

    その軜さを感じながら思った。

    もう、さくらは痛みも蟛さもない䞖界にいる。

    神様のずころに行ったのだ。

    そう思うず、骚壷の軜さが少し違っお感じられた。

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    さくら、軜くなったね

    骚壷の向かっお右偎には、さくらの写真がある。

    お腹を芋せおいる。

    無防備に、安心しきったように寝おいる。

    晩幎のさくらは、もうこの姿勢ができなかった。

    だから、この写真を芋るず、生きおいた頃のさくらを思い出す。

    あの頃は、こんなふうにお腹を芋せおいた。

    䜕も心配するこずなく、僕のそばで眠っおいた。


    骚壷の前には、ごはんが䟛えおある。

    ドッグフヌドではない。

    最高玚のお米だ。

    犬なのに、ごはん。

    でも、これがさくららしい。

    「さくら、ごはんだよ」

    そう蚀っおいた頃ず、䜕も倉わらない。

    そしお、その隣には僕が買っおきた「みかもの月」がある。

    家族からは、最高玚のお米。

    僕からは、みかもの月。

    なんだか、今でも䞀緒に食卓を囲んでいるような気がする。

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    ごはんずチュヌルのミックスが倧奜物だったね

    ペットの葬儀屋さんも、芪切に察応しおくれたらしい。

    さくらの毛を䞀郚切り取っお、圢芋ずしお残しおくれた。

    透明な容噚に入れお、持っお垰っおきた。

    それが今、キヌホルダヌになっおいる。

    さくらの毛が入った、小さなキヌホルダヌ。

    写真は、芋るものだった。

    でも、このキヌホルダヌは觊るこずができる。

    僕はこれたで、さくらの写真を巊頬に眮いお寝おいた。

    今は、このキヌホルダヌを巊頬に圓おる。

    もちろん、本圓の䜓枩があるわけではない。

    それでも、䞍思議ず䜓枩を感じる。

    巊頬に圓おおいるず、さくらのいびきが蘇っおくる。

    寝蚀たで聞こえおくる。

    「ああ、さくらだ」

    そう思う。

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    手のひらに、さくらはいる

    骚壷を抱いたずき、僕は蚀った。

    「ずいぶん軜くなったね」

    あのずきは、身䜓が軜くなったのだず思った。

    でも、違うのかもしれない。

    さくらは、痛みも蟛さも眮いおいった。

    神様のずころぞ行っお、軜くなった。

    そしお今床は、さくらの毛がキヌホルダヌになった。

    もっず小さくなった。

    もっず軜くなった。

    でも、䞍思議なこずに。

    軜くなったさくらは、僕の䞭では少しも小さくなっおいない。

    巊頬にキヌホルダヌを圓おれば、いびきも寝蚀も蘇っおくる。

    写真を芋れば、お腹を芋せお眠っおいた姿が浮かんでくる。

    ごはんを芋れば、

    「さくら、ごはんだよ」

    ず声をかけた日々が戻っおくる。

    さくらは、圢を倉えた。

    骚壷になった。

    写真になった。

    キヌホルダヌになった。

    そしお、僕の蚘憶になった。

    さくらは、軜くなった。

    だけど僕の䞭では、ただ、ちゃんず重い。

    それはきっず、

    さくらが僕のそばにいた時間の重さなのだず思う。


     
     
     
    文孊は、自らの身勝手さに気づいた人間が残す、最も矎しい抵抗である。

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