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「緑の葉っぱが灯る夜」 第1章:プロローグ

    「んっ、いいお天気てんき」
    パジャマ姿すがたのままベランダに出でた裕子ゆうこは大おおきく伸のびをした。
    街まちはすっかり春はるめいて、朝あさの空気くうきもどことなく角かどがとれた感かんじだ。もう寝床ねどこからはい出でるのに一大決心いちだいけっしんをする必要ひつようもない。
    裕子ゆうこは思おもい切きり深ふかく息いきを吸すい込こんだ。それからふと太陽たいように目めをやって、
    「あれ?」
    不思議ふしぎそうに首くびを傾かしげた。
    「色いろが…へん」
    朝陽あさひが緑色みどりいろに見みえる。深ふかくて黒くろっぽい緑みどりだ。それが白しろい光ひかりにふちどられてカタカタと揺ゆれている。よく見みると、背後はいごの空そらの色いろまで紫むらさきがかったピンク色いろをしていた。
    しばらくの間あいだ、裕子ゆうこは怪訝けげんそうに見みつめていたが、そのうちに目めがチカチカしてきたので、あわてて顔かおをそむけた。

    地上ちじょうを離はなれたはるか上空じょうくうでは、太陽たいようの光ひかりの粒つぶが、一定いっていの温度おんどにまで暖あたためられた大気たいきの中なかで、ふくらみ、はじけ、中なかからたくさんの緑みどりの精せいたちが生うまれていた。背丈せたけは二〇センチそこそこ。少すこし青あおみがかった緑色みどりいろの服ふくを着きて、腰こしには緑色みどりいろの小ちいさな袋ふくろをさげている。
    やわらかな緑色みどりいろの髪かみをなびかせ、薄うすい黄緑色きみどりいろの顔かおは光ひかりの加減かげんによって肌色はだいろにも見みえる。背中せなかに羽根はねはなかったが、緑色みどりいろの光ひかりのボールに包つつまれて空中くうちゅうを自在じざいに飛とぶこともできた。
    生うまれて間まもない緑みどりの精せkたちは、タンポポの綿毛わたげのようにふわふわ漂ただよいながら、ゆっくり、ゆっくり、時間じかんをかけて下界げかいへと降おりてゆく。
    その間かんに『大人おとなの一歩手前いっぽてまえ』にまで成長せいちょうするのだ。
    しかし、中なかには『大人おとなのかなり手前てまえ』で地上ちじょうに降おり立たってしまう者ものもいた。

     
     
    ◆ただ今、長編ファンタジー「緑の葉っぱが灯る夜」を連載中。各話末尾で【クイズ・妖怪そらみみ】はじめました。 ◆短編:自分の体験、人から聞いた話、曾祖母からの言い伝えなどを【音読つき】で紹介。 ◆楽曲:作詞、作曲、編曲、歌、打ち込み等をすべて一人で行うスタイルです。

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