
〔講義005〕『商業簿記と工業簿記の違い』[経済学部|経済学科]
簿記入門コラムの第5弾は、『商業簿記と工業簿記の違い』についてです。
今回扱う工業簿記は、日商簿記3級の直接的な出題範囲ではありません。
ただし、簿記を学ぶうえで「商業簿記と工業簿記の違い」を知っておくと、簿記全体の見取り図がつかみやすくなります。
それではさっそくはじめましょう。
簿記検定3級では商業簿記だけですが、2級からは工業簿記が出題範囲に加わります。
そもそも商業とは、おもに商品を生産者から消費者へ流通・仲介し、利益を得る経済活動で、工業とは、原材料を加工して製品を製造する活動です。
なにやら難しいのでもっとシンプルに言い換えると、仕入れた商品をそのままの形で売るのが商業、仕入れた材料を加工して製品を作って売るのが工業となります。
商業では商品、工業では製品という違いについても解説します。
ノジマのような電気屋さんにとってテレビはメーカーから仕入れた「商品」ですが、日立やパナソニックのようなメーカーにとってテレビは自社で作った「製品」というわけです。
商業簿記では、基本的に「いくらで仕入れて、いくらで売ったか」を中心に考えるため、原価の把握は比較的イメージしやすいです。
一方で工業簿記は、言ってしまえば工場内でのすべての工程を数値化しないといけません。工業簿記では、製品を作るためにかかったコストを、材料費・労務費・経費に分けて考えます。
材料費はモノにかかったお金、労務費は人にかかったお金、経費はそれ以外にかかったお金です。これら製品を作るために直接的・間接的にかかったものはすべて計算します。これを原価計算といいます。
また、商業簿記(工業簿記もですが)の会計期間は通常1年です。それに対して工業簿記で製品の原価を計算する期間(原価計算期間)は、月初から月末までの1ヶ月になります。
これは、適正な原価を迅速に計算するためで、「予定◯◯」という用語が工業簿記ではたくさん出てきます。原価を仮の数値で先に計算しておき、月末に差額を調整する計算方法です。
日商簿記3級を暗記で乗り切った方が、2級に進んだとき工業簿記で躓くという話はよく聞く話です。もちろん暗記力が必要になる場面もありますし、理屈ではなくただ覚えるしかないという論点があるのも事実です。ですが、「ヒト・モノ・カネ」の流れを理解するためには思考力が必要です。
簿記は帳簿を記録するだけの学問ではありません。会社がどのようにお金を使い、どのように利益を生み出しているのかを読み解く学問でもあります。
■今回のポイント‼️
⭐︎ 3級では商業簿記、2級から工業簿記も学ぶ
⭐︎ 商業は「仕入れた商品をそのまま売る」
⭐︎ 工業は「材料を加工して製品を作って売る」
⭐︎ 工業簿記の中心は、製品を作るための原価計算
⭐︎ 暗記だけでなく、ヒト・モノ・カネの流れを理解することが大切
【了】
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