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🍒子どもの詩125 Sports-2

      〜50mハードル〜

     子どもの詩を紹介するnoteです。
           🔹
     スポーツを楽しむ子ども達の胸の内や、その背景を作品から読み解いていきます。
     今回は、小学生女子80mハードルの世界です。
       高さ70cmのハードルが、7m間隔に9台並べられ競走します。スムーズに走り切るには、歩数を揃えてハードルを跳び越さなければなりません。走力だけではなく、柔軟性やリズム感が必要で、小学生としては難易度が非常に高い競技と言えます。
     加えて、転倒のリスクが伴うため、恐怖感と闘う強い意志も求められます。この競技に挑戦した子の作品を見てみましょう。

      今 風になる
    「また同じ失敗をしないだろうか」
    目の前に並ぶ九つのハードル
    スタートラインで足がふるえ始めた
    去年のリレーカーニバルでの失敗が
    一瞬にして頭をよぎった
    慣れていなかったスターティングブロック
    きん張のあまりスタートでよろけ
    自分の力が出せなかった‥‥
    急にこわくなった気持ちをふりはらい
    心を落ち着かせようと大きく深呼吸をした
    今日こそ今までの練習の成果を発揮したい

    昨夜 私の足をマッサージしながら
    母が私を産んだときの話をしてくれた
    「どうか元気な子でありますように
    どうか無事に生まれてくるように」
    ずっとずっと考えてくれていたのだ
    何時間も何時間も苦しんで産んだ私が
    期待通りに生まれてここまでに成長し
    こんな大きな大会に出るまでになった
    その喜びと幸せを話してくれた

    毎日毎日先生や仲間と練習を続けてきた
    しんどくて休みたい日もあった
    やめたいと思ったこともあった
    でも私は走ることが好きだ
    走っているときの
    風を感じるあのしゅん間が大好きなのだ
    そして私は今ここに立っている
    今日の私は今までの私とは違う
    私の苦しみはたったの何秒間
    私を産んでくれた苦しみと比べたら‥‥

    もう一度大きく深呼吸をして
    九つのハードルをはっきり見すえた
    そして私は
    風になるためにスタートを切った
         6年 ともみ

     この作品が「競技結果」ではなく、「スタートを切った場面」で終わっていることに、大きな意味を感じます。
     ともみさんにとって、この競技の位置付けは一体何だったのでしょう。スタート地点に立った、他の競技者とのレースのみだったのでしょうか。もう一つあったのでは‥‥。
     力の出しきれなかった1年前の自分との競争。勝ったのか、勝てなかったのか。本当の意味で勝負の判定を下せるのは、おそらくともみさん自身に違いありません。
     私の見立てでは、かなり高い確率で満足できる走りができたのだと思います。なぜそう考えたのかと言えば、「スタートを切った場面」で終わる作品だからです。おそらく、この作品が扱ったレースこそが、ともみさんにとっての、人生の次のステップへの始まりになったに違いありません。憶測ではあるのですが、かなり自信があります。

     
     
    気がつけば、子どもの書く文章を収集する人生になっていました。職業柄とも言えますが、誰もがしていることではないので、やはり謎です。ただ一つ言えるのは、自分の体験し得なかった事やこれから起こる可能性の低い出来事を、子ども達が代わりに体験してくれている、そんな認識です。感謝です。

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