メインコンテンツへスキップ
見出し画像

🍒子どもの詩147 Pet-6

      〜ひとつの命〜

     子どもの詩を紹介するnoteです。
           🔹
     おそらくは人間の都合で、ペットには成ることがかなわなかった動物がいます。出会った時の子ども達のジレンマが、こちらにひしひしと伝わる作品です。

       ひとつの命
    暑天の海辺に
    小さな猫が力なくふらふらとやってきた
    猫はひどくやせ細り
    体中きずまみれで
    見ていて痛々しい姿だった
    ぼくは困った
    ぼくはこの猫に何もしてやることができない
    野良猫には
    エサをあげてはいけないと教わったから
    でもぼくはエサをこっそりあげたんだ
    ぼくはまちがったことをしたのかな
    でも目の前でひとつの命が苦しんでるじゃないか
    猫は涙を流しながら食べたんだよ
    ぼくは心がとてもいたくなったんだ
         6年 ただゆき

       のらねこ
    学校の帰り道  ねこが一ぴき
    手を出してみた
    すりよってくる
    急いで帰った  かばんなんかほうって

    お母さんは電話中
    こっそりえさを持ち出して走っていった
    ねこのうれしそうななき声
    でも家では飼えない
    帰ってもお母さんは
    まだ電話中
         5年 あいみ

       のら犬
    遊んで帰る夕方
    竹やぶの中で
    のら犬が赤ちゃんを産んでいた
    親犬のおしりから
    体をふるわせながら出てきた
    生まれたばかりの子犬は
    ねずみ色の毛がぬれたように
    皮ふにぴったりくっつき
    小さな体をふるわせていた
    親犬がなめてやるとふるえが止まる
    「クーン  クウン」
    だれかをよぶように鳴いた
    「かわいいな」
    ぼくがもとうとすると
    親犬が「ガググ  ウーッ」とうなった
    ぼくは手をひっこめた
    子犬はえんぴつのような細い足を
    ふるわせながら立とうとしている
    「がんばれ」
    「もうちょっとだ」
    ぼくはいつの間にか
    持っていたぼうをにぎりしめていた
    いつの間にか竹やぶの中は真っ暗になっていた
    どうやって生きていくのだろう
    ぼくは
    ふり返り
    ふり返り
    家へ帰った
         4年 たかお

     暑い海辺や学校帰りの道端で、子ども達は生まれて初めて、世の中の不条理と向かい合います。そして、子どもの力ではどうにもならないことがあるのだと知りあきらめます。そして、やり過ごすことを学ばざるをえないのです。
     後味の悪い作品が続きました。本来のペットと人は、こうありたいと言う作品で締めくくりましょう。

       お手に悩む犬
    うちの犬がねそべっていた
    私が「お手」と言うとびくっとして起きた
    もう一度「お手」と言うと
    おすわりをした
    また「お手」と言うと今度は私の手をなめた
    またまた「お手」と言うと
    今度はあごを手の上にのせた
    前足を持って「お手」と言うと
    小さなくしゃみをした
    私があきれて首をかしげると
    犬もつかれて首をかしげた
         5年 みおり

     そうそう、これですよ。ペットと人は、こうでなければいけません。


     
     
    気がつけば、子どもの書く文章を収集する人生になっていました。職業柄とも言えますが、誰もがしていることではないので、やはり謎です。ただ一つ言えるのは、自分の体験し得なかった事やこれから起こる可能性の低い出来事を、子ども達が代わりに体験してくれている、そんな認識です。感謝です。

    あなたへのおすすめ