
🍒箱の中の羊
〜子どもの詩473 Theme-213〜
2026年5月29日に公開された映画「箱の中の羊」(是枝裕和・監督)は、近未来を描いた作品です。
2年前に息子を亡くした夫婦が、亡き息子の姿をしたヒューマノイドを迎え入れる話。「喪失との向き合い方」「生の立て直し」を問いかけます。是枝監督の、生涯追い続けるテーマと言えるでしょう。
作品中には、ダンゴムシのシーンが挿入されました。ヒューマノイドの息子が、ダンゴムシを握り潰してしまう。掌のバラバラの死骸を見つめながら、命の意味について思考を巡らせ、やがてヒューマノイドの息子は自らの意思で夫婦の元を去るのです。
人間の子は、どうでしょう。
Akiyama Uです。子どもの詩を紹介しています。
だんご虫
雨の日
私は生き物をさがしていた
やっぱり雨だから かたつむり
けれど見あたらない
車庫にあったゴミ袋をのけると だんご虫がいた
ゴミ袋の下に砂や石があって
その上でぐっすりねているように見えた
だんご虫もねるんだな
しょっ角を動かしながらのそのそと
片方が七本の短い足を
ゆっくり動かしながら出てきた
足がとても細いから
折れないのかと心配になった
しょっ角が歩くたびにはげしくゆれている
頭からくるっと回り
反対を向いて
コンクリートのすき間を見つけた
すき間に入ろうとしたけど
せまくて入れなかった
そして気を取り直したように
またのそのそと歩き始めた
ちょっとさわってみると
足をばたばたさせながら
頭の先とおしりの先をくっつけて
ボールのように丸くなってしまった
じっとしていたが
しばらくすると起き上がって
でこぼこの一ミリもない
とっても小さなフンをした
ふだん私が知らないところで
だんご虫は
いろんなことをして生きているんだな
5年 まほ
小さなフンをミリ単位で観察する周到さ。七対の足(合計14本)1本1本に向けられる観察力。映画「箱の中の羊」で描かれたヒューマノイドの子は、もしかすると、学んでも学んでも学びきれない、ヒトの子の有する底知れぬ深さを覗き込んでしまったのかも知れないと、私はこの二匹のダンゴムシの話から感じました。
