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🍒国籍を超えて

      〜子どもの詩489 Theme-227〜

    《日本国内の外国人労働者数》
    257万1,037人(2025年10月末時点)
    《全労働者に占める割合》
    29人に1人(約3.4%)
    《在留資格者数(永住者など)》
    64万5,590人(25.1%)
    《国籍別の割合》
    ベトナム:23.6%(60万5,906人)
    中国:16.8%(43万1,949人)
    フィリピン:10.1%(26万0,869人)
    ネパール:9.2%
    インドネシア:8.9%

    厚生労働省

     外国人労働者の子や一度海外に移住した日系人の子息の子ども達が、日本の学校に通っています。今回のテーマは、「国籍を超える」。
     Akiyama Uです。子どもの詩を紹介しています。
         🔹
       むずかしい
    おはよう
    ありがとう
    やあ
    ばいばい

    にほんご
    とってもむずかしい
    せんせいのいうこと
    わからない
    「せんせい なによ」
    ルシアがいう

    あいさつは
    おぼえた
    おともだちと
    まいにちいってたら
    おぼえたよ
         3年 ダ  ルズ  アナ  ルシア  ムクダイ

     外国からやってきた子がつき当たるのは、まず日本語です。けれど子どもの吸収力は速く、学校と親との橋渡し役になる日は近い。やがて、難しい日本語を獲得し、中には自由自在に操る児童も現れます。

       葉
    去年の秋  葉っぱがかれて
    今一面に降り注ぐ葉っぱ
    誰かが誰かに手紙を書いているようだ
    たった一枚の葉っぱが  わたしの頭に落ちて来た
    この葉っぱが  わたしに手紙を書いた
    誰かが手紙を書くと
    葉っぱも一枚一枚落ちてゆく
    今年の秋は
    どんな手紙を送ってくれるんだろう
    早く秋にならないかな
    もしあきだったらな
    いろんな木の手紙が読めるからなあ
    この木は誰に送るんだろう
    もし自分が木だったら
    自分の知っている子に送りたいなあ

    一つの木が一枚の葉を落とした
    急いで拾いにいったら  木は音をたてた
    話しかけているように―――
         6年 ポンサパオ ビバポーン

     名前の感じからすると、おそらくビバポーンさんは、タイという国の生まれなのではないかと思います。落葉樹の王国です。特に、国花「ラーチャ・プルック(ゴールデン・シャワー)」は、国の色である黄色い花の咲く落葉樹で、国中に植えられています。日本の桜みたいですね。
     仏教国タイでは、祭りの季節に咲くラーチャ・プルックを儀式に使い、特別敬意を払っています。ビバポーンさんが、頭上に落ちて来た葉っぱを「木からの手紙」だと書く背景には、生まれ育ったタイの、このようなお国柄が出ているのかもわかりません。
     でもこの感じ、確かどこかで‥‥。
     1972年、ひと組のデュオが歌手デビューしました。第2回ポプコンでグランプリを獲得し、鳴り物入りでの船出です。メンバーは、姉の「松田りか」と妹の「松田マミ」。驚くべきは、その年齢でした。小学校6年生と小学校4年生。
     その年  世の中を席捲した歌は、松田りかが作詞作曲し、妹と共にギターで奏でる曲、「風と落葉と旅人」でした。    

    ♪旅人の肩を 落ち葉が一つ やさしくなでて
    早く帰れと ささやくけれど‥‥‥

    「風と落葉と旅人」より

     この感覚。やはり共通したものを感じます。ビバポーンさんの「落ち葉=手紙」の詩的な感性が、裏付けされた気がしてなりません。
           🔷
     外国からやってきた子ども達にも、やがて日本の友達ができます。

       としゆき君
    としゆきくんは
    九月にブラジルからてんこうしてきたよ
    日本ごはぜんぜんわからないから
    おにいちゃんから  はなれない
    すぐおにいちゃんのクラスにいってしまう
    「ことばがわからないから  ふあんでたまらないのね
    いっぱいなかよくしてあげてね
    ゆうじくん  手をつないでつれていってあげてね」
    せんせいにそうたのまれたよ
    だから手をつないであそびにいったよ
    手をつないでうんどうかいのれんしゅうもしたよ
    手をつないでおにいちゃんのクラスにもいったよ
    手をつないでそうじをおしえてあげたよ
    いつもきゅうしょくのよういをしてあげたよ
    ほっぺのさわりっこもしたよ
    つるっとしてきもちよかったよ
    すこしずつぼくらのクラスで
    べんきょうができるようになったよ
    「ボンジア」って
    まいあさポルトガルごであいさつをしているよ
    としゆきくんはふりむいてくれるよ
    としゆきくんはめちゃくちゃかわいいよ
    これからもずっとあそんだるよ
    としゆきくんとあそびまくるぞ
         1年 ゆうじ

       心をこめて
    「ジャワ島中部地震  犠牲者は四千二百人以上!」
    しょうげき的な記事が目に飛び込んできた
    インドネシアは
    美智子ちゃんのお母さんのふるさとだ
    大丈夫かなあ
    大丈夫かなあ
    不安がどんどんましてくる
    教室に入るとすぐ美智子ちゃんに聞いた
    「みんな大丈夫なん?」
    「うん  場所が離れてたから  みんな無事やで」
    肩の力がぬけた
    朝の会の話題はこのニュースでもちきり
    阪神淡路大震災では
    他の国の人たちにも援助してもらった
    今度は私たちの番
    涼太君が「ぼ金しよか」と言いだした
    「じゃあボランティア委員会でするわ」
    私の口が勝手に動いた
    自分でもおどろきの一言
    本当にできるのだろうか
    でも  やるしかない
    さっそく委員会でぼ金箱を作り
    全校朝会でみんなに呼びかけることになった

    今回の募金は
    お母さんからもらったお金じゃだめ
    自分のおこづかいから一番に募金箱に入れた
    「どうかお願いします」
    五年生の声もひびく
    「みんな入れてくれるかな」
    不安な気持ちで持ったぼ金箱
    「たくさん集まれ」
    私は心の中でさけんだ
    初日から多くの人が協力してくれる
    どんどんぼ金箱が重くなる
    「お母さんが入れときって言うてくれた」
    一年生のゆうかちゃんが千円入れてくれた
    校長先生が小銭の入った箱をひっくり返して
    ジャラジャラと全部入れてくださった
    二日目  三日目  最終日
    ぼ金箱はみんなのあたたかい心でいっぱいになった
    このお金をとにかく早く届けたい
    郵便局から新聞社に送った
    「ふう」
    ほっとした気分になった
    「一万四千四百七十三円
    中山町立風上小学校」
    新聞記事の中に見つけた二行
    胸が熱くなる
    この金額が多いのか少ないのか私にはわからない
    でもそんなことは関係ない
    みんなの心がこもっている
    だから  きっと役に立つ
         6年 なつは

     在留資格を得た外国人労働者の子ども達が、日本や日本人に対してどのような印象を抱きながら育つのか、とても気になるところです。
     少なくとも上記の子ども達だけでも、温かい印象を持ってくれていたらと願うばかりです。
           🔹
     最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

     
     
    気がつけば、子どもの書く文章を収集する人生になっていました。職業柄とも言えますが、誰もがしていることではないので、やはり謎です。ただ一つ言えるのは、自分の体験し得なかった事やこれから起こる可能性の低い出来事を、子ども達が代わりに体験してくれている、そんな認識です。感謝です。

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