
【19話】呪いがとけるまで・・・
クレイジー女爆誕
オーバードーズをして以降
私の体力も精神力も地の底に落ちた。
目の前の徒歩1分のコンビニに行くだけで
丸1日働いたくらい疲れる。
徒歩5分のスーパーへの買い物は途中で座り込んで
買い物もできずに帰ってくるようになった。
吉田が私を外に連れ出す以外、外には出れなくなった。
吉田から「心配だから」と
うちの合鍵を渡すように言われ渡した。
そんな生活が数か月続いていた時
美希が車で迎えに来てくれて
久しぶりに美希の家に行った。
美「凜が死ななくてよかった・・・。」
と美希に抱きしめられた。
それから美希に
美「おいちゃんに本当に腹が立つ!!
結局凜がそんな状態でもまだ自分の方が大事で
病院にすら連れて行かずツーリング?!
「凛のために気晴らし」とか言うてるけど
自分の罪悪感を凜のせいにしてるだけやん!!!」
と怒っていた。
それは私もわかってはいたが
何もできずにいた。
美「マジであのおっさんと別れって!!
凛が結婚生活でお金に苦労したのはずっと見てたし知ってる。
それでもうお金に苦労したくないのもよくわかるけど
あいつじゃない!
自尊心削られ過ぎて他が見えなくなってるけど
お金目的で付き合うにしても
あんな気持ち悪いおっさんと付き合わんでも
凜なら他に見た目も性格もいい人世の中にいてるから!
20代を無駄にするな!!!」
と真剣に言われた。
自殺未遂以降ずっと浮遊してた意識が
少し帰ってきた気がした。
その日家に帰り
美希に言われたことが心に響き
吉田から自立するためにすぐに仕事を探した。
その日のうちにリハビリがてら
北新地のラウンジで週3日のバイトに応募した。
次の日には面接に行き、
その日のうちに合格し体験入店して入店することにした。
物理的に吉田と会える時間を減らしていき
体調が戻ればフル出勤にして
引っ越そうと思った。
働きだした事に吉田は何の文句も言わなかった。
ただ私が出勤日でもギリギリまで
私の家にいて、
私の休みの日は相変わらず私の家に入り浸っていた。
そして吉田は変わらず
会社の人達とローカルのキャバクラに飲みに行く。
そんな生活に変わった。
吉田との時間を少しでも減らすために
体調も戻らぬまま
無理矢理働きだした私はすぐに壊れた。
たった週3の勤務
終電上がりでノルマもなし
なのに酔うと退勤後
新地から出た瞬間から
電車までの道のりでフラフラになり泣き出す。
電車ではまるで
今彼氏にフラれたのかと思うくらい泣き続ける。
泣きたくないが
とにかくアルコールが入り一人になると
感情の制御が利かなくなった。
そんなある日最寄り駅で降りると
30代前半くらいの
男の人がついてきて声を掛けてきた。
男「大丈夫ですか??」
私は心の中で
『あぁ~ほら!
泣いて歩いてるから変な男が声かけてきたよ💦』
と思い無視して歩き続けた。
それでもずっと後ろからついてきて
私を励まして来る。
そして気が付いたらなぜか
近所のコンビニでビールを買い与えられていた
(;´・ω・)
コンビニ前で2人で座り込んで
私は泣きながら
吉田がいかに酷い奴で
どれだけ別れたいかを熱弁していた。
そこに爆音の高級車が通り過ぎる
すぐにその車がバックで戻ってきた。
その車は私たちの目の前で停まり窓が開いた。
鬼の形相の吉田がいた
(゚д゚)!
ビックリしすぎて涙は止まった!
吉「おいゴルァ!!おまえ誰の女に手ぇ出してんねん!!
おまえもこんな所で
男とイチャイチャ何しとんじゃぁ~~~💢」
深夜の住宅街に吉田の怒号が響き渡った。
男の人は焦って言い訳をしだしたが
吉田のボルテージは上がり車から降りてきた。
その姿を見ていたら異常に腹が立ってきて
私は立ち上がりそのまま何も言わず家に帰った。
玄関を閉めたと同時にまた泣き出す。
自分は今までキャバクラで遊んでたくせに
なんで私はこんなに吉田に監視され
あいつの思うままに生きてるんだろうと
腹が立って腹が立ってしかたがない。
玄関に座り込んで泣いていると
怒りに満ちた足音が近づいてきて
鬼の形相の吉田が勢いよく玄関のドアを開けた。
と同時に
私は持っていたスマホを全力で投げつけた!!!
吉「えぇ~~💦」
スマホが当たった瞬間に吉田の鬼の形相が
一瞬で困ったタヌキのような顔に変わった。
私「うるさい!黙って帰れ!!!!」
と泣き叫びながら言うと
吉「まだ何も言うてない・・・💧」
と言いながら抱きしめてきた。
吉「怒ってごめん。俺が全部悪いな。」
となだめそれ以上私を責めず
私は泣き疲れて眠った。
この頃から
吉「り~んに怒りぶつけたら返り討ちが怖い💦」
吉「人生で初めて口で勝てんと思う相手や!💦」
と言って吉田は私にあまり怒ったり、
拗ねたりしなくなっていった。
ただ私は酔うと大号泣
人込みに行くとパニック発作を
起こすようになっていた。
吉田と食事に行きいつもの様に
飲んで帰宅すると泣いては
中絶の辛さや独身だと嘘をついたことを責め立て
「別れたい」と泣き叫ぶようになっていた。
仕事を始めてから酔うたびに危うくなる
自分の奇行がイヤになり
改めて精神科に行くと
【やや重症の鬱】から【双極性障害】に病名が変わった。
入院も進められたが
これ以上自由がなくなるのがイヤで断った。
そんな私の「別れてほしい」という願いは
【精神を病んだ女の戯言】として吉田には相手にされなかった。
それでも多少の罪悪感からなのか
吉田はグアム旅行を計画した。
私は人生で初めての海外旅行だった。
毎日ぐちゃぐちゃの精神状態で生活していた
私に少しの楽しみが出来た。
旅行の手配はいつも通り吉田がした。
3泊4日のグアム旅に
私は数日分の着替えとパスポート
そして現金たった1万3千円でグアムに行った。
ほとんど外国人を見る機会もなかった私は
初めての海外、
初めての海外の空港に私はワクワクしていた。
テレビで海外の入国審査は怖いと聞いていたので
ドキドキしながら吉田について行っていたが
直前で二手に分けられた。
そして私の番になりパスポートを出し
審査官の顔を見る。
すると英語で色々質問されるが
全く何を言われているかわからない💦
苦笑いで審査官を見ていると
「Ryokou?」と聞かれ
「YES!!」と元気に答えると
なぜか審査官のおじさんも笑顔になり
「Osaka?Takoyaki?Okonomiyaki?」
と全然英語のわからない私に色々話しかけてくれた。
誰と来たのか聞かれ、
もう審査のが終わって待っている吉田を指さした。
「Boyfriend?」と聞かれて私はとっさに大きな声で
「NO!!」と答えていた。
「??Just a Friends?」と聞かれ大きくうなずいた。
私はいかなる場所でも
吉田を【彼氏】だとは思われたくなかったようだ。
一通り入国審査窓口で盛り上がり
楽しく手を振り審査官と別れると
とてもイライラした様子の吉田が待っていた。
吉「楽しそうに何してんの?💢」
怒られる意味が分からず私はキョトンとしたが
初の海外で置いて行かれては怖いので
とりあえず吉田の機嫌を取った。
それから空港からタクシーでホテルに向かった。
吉田はこの頃年に数回会社の社員旅行で
海外に行ってたので
海外慣れしてるようで、全てが頼もしく見えた。
グアム中心地の高級ホテルで
成金感全開の吉田とキャバ嬢感全開の私
今思えば下品だ・・・
グアムでは海やプール、さらには
ハーレーを借りてツーリングもした。
日本とは違う景色や匂いに私は終始感動していた。
そしてなにより
グアムに来てから吉田の電話が鳴らない事が
嬉しかった。
普段常に愛人の家に入り浸っているポンコツだが
会社では役職者で携帯は1日中よく鳴っていた。
だから誰からも邪魔されない、
吉田と2人だけの世界にいるようで嬉しくなっていた。
が、その感情に気付いた時私は矛盾を感じる。
『私は吉田といたいのか?』
はたまた
『吉田と別れたいのか?』
『独身なら付き合い続けたい?』
バイクの後ろでグアムの海を眺めながら
自問自答し続けたが
初海外ハイでこの時答えは出なかった。
楽しかったグアム旅行も一瞬で終わり
いつもの日常に戻った。
楽しかった反動だろう
グアムから帰ってからはさらに
私の奇行は激しくなった。
ある日泣きじゃくっていると息が出来なくなって
私「息ができない・・・」
とパニックを起こし身体じゅうが震え出した。
それを見て吉田は
吉「大丈夫や!それ過換気や!」
と私を抱きしめて背中をさすって落ち着かせた。
落ち着いた私に吉田は
吉「過換気はなれてるねん♪
過換気のことなら俺に任せろ!
おまえ過換気初めてか?!」
と誇らしげに言ってのけた。
『過換気になれてる??!
こいつどんだけ人間潰してきてんねん・・・』
と呆れて私はその時何も言えなかった。
吉田が帰った部屋で
1人タバコに火をつけ立ち昇る煙を見ながら
『私は何で生きてるんだ?やっぱり死んじゃおう。』
と思った。
毎日吉田に監視、管理され
パニック発作に日々の奇行
情けなくて
『あぁ~私今人生の底に手をついた』
そんな気がした。
もうどうせ死ぬなら
最後に1つくらい何かしたいことしてから死んではどうか?
という気がした。
昔お客様が
『死ぬまでにハワイは行っといたほうがいい』
と言ってた事を思い出した。
ハワイに行こう
ハワイに行って気持ちが変われば生きればいいし
変わらなければ死ねばいい。
私はポジティブなのか
ネガティブなのかわからない決意をした。
それからすぐに体調が良くなったわけではないが
事態は少し好転した。
北新地でのスカウトで
今までより高時給のクラブに移籍することになった。
それに【ハワイに行ってみたい】と言う話を
お客様にしていたら
ある日
「短期留学で行って来たら?」
と留学斡旋してるお客様が手配してくれることになった。
気が付いたらとんとん拍子に話が進み
1か月の短期語学留学をすることになった。
吉田に留学に行くことを反対されるかと思ったが
すんなり了承した。
そして私はこれはまたとないチャンスだと思った。
1か月も日本を離れることで
吉田はその間に他の女を見つけて
帰ってきたらすんなり別れてくれるのではないかと!
ただ母には猛反対された。
海外に行くことも
何より
『凛だけが幸せになるなんて絶対に許さない!!』
とレストランで大声で罵倒された。
母の本心が知れて
決して気分は良くないが
これまでの私への態度も納得がいった。
母の反対を無視して
私はハワイ留学に飛び立った。