
【20話】呪いがとけるまで・・・
ハワイでの1か月
いよいよハワイ留学当日
吉田は前の日に
うちに泊まり早朝から関空まで車で送ってくれた。
フライトが近づき不安障害の発作が出そうになり
出発ゲートで行くのをためらった。
私「行くのやっぱりやめようかな・・・」
吉「せっかく決めたことやねんから行っておいでよ!」
と送り出された。
緊張で大量の手汗をかきながら
私は1人出発ゲートを通り抜けた。
免税店でカートンのタバコを買い
いざフライトへ✈
初めての8時間の長時間フライト
不安でソワソワしていたが
運よく私の隣は誰もおらず
かなりゆっくり過ごすことができた。
ハワイに着いて空港から出ると
そこは南国✨
気持ちいい風が吹いていた。
それまでの不安は一気に消えて
私は病気になる前の元気な状態に戻った。
そしてホームステイ先までタクシーで向かった。
ハワイ留学の手配を全てお客さんにしてもらっていたので
何をどうしていいかわからないまま
ホームステイ先の家に着いた。
玄関の鍵を開け部屋に入るが誰もいない。
とりあえずリビングのソファに座って
1時間ほど待つが誰も帰ってこない。
お腹も減ったので近所を散策して
何か食べ物屋さんを探すことにした。
この時私はWi-Fiもなく異国の地で
もう野生の勘みたいなのを頼りに
ウロウロしてご飯屋さんを見つけた。
『ハワイは日本語が通じる』と
聞いていたので何とかなると思っていたが
全く通じず、
よくわからない肉の塊のランチボックスのようなものを渡された。
『食べたかったのこれじゃないなぁ~』と思いつつも
それを近くの公園のような場所で食べた。
そして家に戻るとホストマザーが帰っていた。
ホストマザーの陽子さんは日本人のシングルマザーで
高校生の女の子と2人くらしだった。
年は母より少し上で、
母と同じ美容師でブライダルの仕事をしていた。
すごく明るくてパワフルな人で
1か月間いる間人生相談にもたくさん乗ってもらった。
食事は朝と夜用意してくれていた。
特にルールはなく
『冷蔵庫にあるものは好きに食べていいから!
外泊するときは連絡だけしてね!』とかなり自由だった。
それから部屋を案内されて
語学学校までの道のりを教えてくれた。
次の日スクールに向かうため朝早めに出たが
バスを30分待っても来ず
仕方なく歩いて行ったがワイキキで迷子になり
1時間遅刻した。
そして全く英語のわからない
私は案の定一番下のクラスになった。
同じクラスのメンバーは日本人が8割韓国人が2割で
お金持ちのお家の10代~20代の子たちと
私のような水商売の女の子が数人と
わけありそうな大人の女性が数人いた。
初日の授業が終わるとすぐにWi-Fiを契約しに行った。
これでグーグルマップが使えるようになり
自由に行動できるようになった!
とにかくハワイに着いてから
私はずっとご機嫌で
数日前まで死にたがっていた人間とは思えないくらい
元気になっていた。
が、すぐに吉田からの電話攻撃が始まった。
吉「り~んがいてなくて寂しいからキャバクラ行ってきた。
おまえ浮気するなよ!!!」
と毎日何回も電話をしてくる。
私が思っていた通り
吉田のキャバクラ通いが激しくなった。
私は作戦通りだと内心喜びながらも
私「ゆうきも浮気しないでね」と
何食わぬ顔で言っていた。
しかし1週間もすると
ハワイでも人間関係が出来てきて
頻繁に電話してきては
吉「浮気してないか?!!
学校の奴でも外国人でも男とは喋るな!」と
私の行動を制限してくることがイヤになり
あまり電話にでないようになっていった。
すると吉田は
吉「俺からの電話が迷惑なんやな!!
どうせ男とも喋ってるんやろうし
おまえ約束も守ってないやろうしもういいわ!!
勝手にしたら!!」と
一方的に電話を切られた。
そもそもそんな約束飲んだ覚えもないし
さらにこれは好都合だと思い
私はそのまま吉田を放置した。
そんなとき陽子さんの彼氏が所属している
お金持ちのパーティーに誘われた。
陽「今日本人の可愛い女の子預かってるって
彼氏に話したら連れておいでって言ってるけど来る?
向こうも凜ちゃんと年が近い人連れて来るって!」
と言われ私は喜んで行くことにした。
オシャレなバーには品のいい大人の外国人が沢山いた。
みんなお医者さんや弁護士さんだそうで
その中に私は紹介された。
これまた英語が話せない私は
愛想笑いするしかなかったが
陽子さんが通訳してくれて奥様方の輪に入れてもらえた。
そしてそこにスーツを着た青年が入ってきた。
その人が私に紹介しようとしていた男性だった。
愛想がよく、かなりガタイのいい白人で
歳は同い年だった。
名前はジェームス
片言の英語とよくわからない日本語でなぜか盛り上がって
彼とLINE交換をしてその日は解散した。
それからジェームスとLINEをするようになり
デートに行くことになった。
1度目のデートは牛角で食事をして
それからジェームスの行きつけのバーに行って
友達を紹介された。
お友達はゲイだった。
そしてバーを見渡すと・・・
だいたいゲイのカップルだった!
『えっ?!ジェームスはゲイってこと?!』
と思い聞いてみると
携帯の画面に
「友達はゲイだけど私は違う」とGoogle翻訳に出ていた。
安心して?
それからジェームスの友達と一緒にしこたま
お酒を飲み・・・結果・・・
私は海外のお騒がせセレブのように
大盛り上がりし
ワイキキを屈強な男たちに胴上げされながら
移動し次の店に行った。
3件目のバーではいよいよ
ジェームスといい感じになりキスをし
以降覚えてないがちゃんと家まで送ってもらった。
その頃毎日のように学校の友達や
現地で知り合った人と遊び回り
すっかり吉田の事は忘れていた。
それから何度かジェームスとデートをして
ついにホテルに行くことになった。
お酒を買い込んで部屋で飲みながら
いろんな話をした。
ベロベロに酔いながら
Google翻訳と片言の英語で
ジェームスの将来の夢を聞いた。
彼は今は弁護士事務所の秘書をしているが
将来は政治家になりたいと言っていた。
約5年後彼は夢を叶えて政治家になった。
その日も飲み過ぎて半分記憶がないが
アメリカンなセクシーな夜を過ごした。
家に帰ると陽子さんが
陽「おかえり~♪ジェームスとのお泊り楽しかった?」
と聞いてきた。
そして私は陽子さんにデートでの事などを話した。
陽子さんにいろんな話しているうちに
ドンドン深い話になり気が付くと
私の今の状況や
母との関係なども話していた。
幼少期からの母との関係を話すと陽子さんは
一緒に泣いてくれ
陽「そんな状況でよくちゃんと今まで頑張って生きてきたね!
普通薬物にハマったり自殺しててもおかしくないよ!」
私「薬物こそしてないけど、10代の頃は家出少女だったし、
ちょっと前には自殺未遂もしちゃいました・・・💧」
と言うと
陽「そりゃそんな状態で家にはいたくなかったでしょ。
それに今生きてハワイに来れただけで十分頑張ったよ!」
と言ってもらえたことで
私はこの時30年近い親子関係のしんどさが
少しだけラクになった気がした。
それから
陽「凛ちゃんも美容師資格取って
ハワイでブライダルの仕事したら?」
と言われた。
私は中学の時に高専で美容学校を受験しようとして
母に猛反対されて受験もさせてもらえなかったので
美容師の夢は完全に断ち切っていた。
だから今から美容学校に行く気にはなれなかった。
私「ブライダルってネイルもありますよね?」
と聞いてみると
陽「ネイルもあるね!」
と聞いて私は帰国したら
ネイルの勉強をしようとこの時決めた。
毎日目的もなくただ生きてるだけの
生活からやっと抜け出せるかもと希望が見えてきた。
あっという間に1か月が経ち
いよいよ帰国することになった。
帰国前夜
私の送別会をスクールの友達が開いてくれて
5~6人で
1件目日本風居酒屋に行き
それからバーに行って
3件目にカラオケに行った。
帰国直前というのに
そのカラオケで悲劇が起きる!
そのカラオケで飲んだお酒がなんだか
味が変だったが
みんな盛り上がってるため気にせず飲んでいると
急に吐き気を催しトイレに駆け込んだ。
飲み過ぎて吐いている時とは少し違い
変な冷汗が出てきた。
すると私は一瞬で意識を失った。
気が付くと救急車に乗せられる瞬間だった。
スクールのみんなが心配してくれていた。
そしてみんなとはこれが最後の挨拶となった。
また意識を失い気が付くと病院のベットにいた。
『終わった・・・💧
ってか今何時?!
飛行機間に合うのか?!
ってか今どこにいるの~~~?!!』
とめちゃくちゃ焦るが周りには誰もいない。
エクスキューズミー
と大声で何度か叫ぶと恰幅のいいナースがゆっくり入ってきた。
色々話されるが全く何言ってるかわからない💦
すると受話器が2つ着いた特殊な電話と
ドクターが一緒に来て
片方の受話器を渡された。
とりあえず耳にあて聞いていると
通訳電話だったようで電話口から日本語で
通「あなたは胃腸炎です。
これからあと2本点滴を打ったら帰っていいです。
と言っています。」と言われた。
思わず今刺している点滴を見てみると
日本で打つ点滴の2~3倍くらいありそうな
アメリカンサイズの点滴が刺さっている。
『これをあと2本?!!😱』
私「今日の午前中の飛行機で
日本に帰らないといけないけど間に合いますか?!」
と聞くと
通「急いで落とすそうです。」
『この量急いで入れるの?ヤバくない!?💦』
私「あっ!あと医療費どうなるんですか?!💦」
と聞くと
通「保険に入ってるので0です。」
『保険よありがとう~~~( ;∀;)』
とこの日ほど保険のありがたみを
身に染みて感じたことはないだろう。
その後本当にビックサイズの点滴2本打って
パンパンに浮腫み切った身体で
フライトの4時間前に何とか家に到着
ボロボロの私を見るなり陽子さんが
陽「えっ?!何があったの?!💦
今日帰国でしょ?!」
私「はい・・・カラオケのお酒飲んだら
体調悪くなって救急車で運ばれてました・・・」
陽「え~💦アメリカのカラオケは
怪しい所あるから気を付けて!」
時すでに遅しです・・・
まだ吐きそうになりながら
急いで荷物の用意をしていると
陽子さんがアロマのような瓶を持ってきて
それを頭頂部に付けてくれた。
すると魔法のに吐き気がましになった。
あれはなんだったんだろう?
それから陽子さんが空港まで送ってくれ
私はボロボロながら感謝を伝え別れた。
あまりにも体調の悪そうな私は
チェックインカウンターで
【GOLD LINE】のスタンプを押され
激込みだった出国審査も
最優先で通ることが出来た。
そこから9時間のフライトで
私はさらに浮腫み倒し
もはや魔人ブー状態で日本に着いた。
浮腫み過ぎて指は曲がらないし
目もちゃんと開かない💧
さてどうやって帰ろうかと思っていると
吉田はちゃんと迎えに来ていた。
まともに連絡も取ってなかったが
帰りの便は伝えていたので
その時間にちゃんと待っていた。
この男はこういう約束は絶対守るのだ。
機嫌の悪そうな顔で近づいてきたが
パンパンに浮腫んだ私を見て
一瞬で心配の顔に変わった。
吉「えっ?!なんで?!!」
私「いろいろあって救急車で運ばれて
アメリカンサイズの点滴3本打って
飛行機乗ったら魔人ブーになった。」
吉「大丈夫か?!💦」
吉田は少し引いていた。
それから送別会をしてくれたみんなに
無事日本に着いた事を報告した。
するとカラオケに行ったメンバー
全員が帰ってから体調を崩していた。
アルコールで食中毒的な??
その後浮腫み切った身体が元に戻るまで
1週間ほどかかった。
ハワイでの生活は私の人生で1番幸せな時間だった。
私が出会った全ての人が優しくて
現実とは思えないほど満ち足りた時間を過ごせた。
最終日はそう経験できないであろう
ハワイの救急車に乗り
病院にも行き、GOLD LINEなるものを経験できて
私はあの時行ってよかったと今でも思う。
そして帰国後予想していた通り
吉田と私はかなりの頻度で喧嘩をするようになった。
今までにも喧嘩はしてきたが
数か月に1回くらいのペースだったのが
この頃は会えば喧嘩になっていた。
とにかく居心地が悪く話も合わない。
常に空気はピリついていた。
そしてまた些細なことで喧嘩になり
私は本気で別れ話を始めた。
喧嘩の序盤は
吉「そんなに別れたいなら別れたるわ!」
と豪語しているが吉田は帰らない。
私「じゃあ帰ってよ!さようなら!」
吉「おまえエラなったんやな!
ちょっとハワイでいい男でもできて調子乗ってんのか?!」
と帰らず怒号を飛ばして来る。
私は
『このままジェームスとのことを話せば
吉田がキレて殴られるかもしれないけど別れられる!』
と思い
私「うん。がっつり他の男の人とSEXしてた!
ってことで別れて!」
と言うと吉田は少し固まった。
私は殴られる覚悟をした。
少しの沈黙の後
吉「連絡もないしそんな事やと思った・・・。
でももうおまえは帰って来てるし済んだことや。
だから今回の事は水に流すわ!」
なんでやねん!!!(゚Д゚;)
私「水に流すなよ!!」
吉「もう終わったことやん!
り~んは無事帰ってきたことやし
仲良くやっていこう!!」
私「無理。」
吉「俺決めた!!別れへん!!」
そこからは吉田は一気に機嫌を直し
その後どれだけ「別れたい!」と言っても
いつも通り話が通じなくなった。
そしていつものように私が根負けして
また別れられずこの話は終わっていった。