お勧めのボードゲームを教えてください - 最近、先生に聞いたこと
お勧めのボードゲームを教えてください
――魔法の森・昼下がりの研究小屋――
木漏れ日が窓から差し込み、小さな机の上には薬草の束と開きかけの本が積まれていた。
先生は揺り椅子でのんびり尻尾を揺らしながら、お茶をすすっている。
博士は大きな鞄から新しいノートを取り出し、きれいな字で今日の日付を書き込んだ。
博士
「先生!」
先生
「なんじゃ、はかせ。そんなに元気よく来るとは珍しいのう。」
博士
「今日はぜひ教えていただきたいことがあります!」
先生
「ふむ。」
博士
「お勧めのボードゲームを知りたいです!」
先生は湯飲みを机に置くと、少しだけ目を細めた。
先生
「ほう、急にどうしたのじゃ?」
博士
「最近、森へ旅人が来ることが増えましたよね。」
先生
「そうじゃのう。」
博士
「夜になると皆さんでお茶を飲むことがあるのですが、そのあと何か楽しめるものがあればいいなと思いまして。」
先生
「なるほどのう。」
博士
「協力して遊べるものや、頭を使うものなど、いろいろ知りたいです!」
先生
「そうかそうか。では今日は"おすすめのボードゲーム講座"じゃな。」
博士
「メモしておきます!」
博士は勢いよくノートを開いた。
① カタン
博士
「まず有名なものからお願いします!」
先生
「ならば『カタン』じゃな。」
博士
「聞いたことがあります!」
先生
「島を開拓して道や村を作るゲームじゃ。」
博士
「資源を集めるのですね。」
先生
「そうじゃ。木、羊、麦、石、レンガなどを集める。」
博士
「交易もありますよね?」
先生
「それが実に面白い。」
博士
「交渉ですか。」
先生
「『羊を一つやるから石をくれんかのう』などと相談する。」
博士
「交渉力も必要なのですね。」
先生
「相手の性格も読まねばならん。」
博士
「ぼ、ぼくは嘘を見抜くのが苦手です……。」
先生
「その通りじゃ。」
博士
「先生、それは本当ですか?」
先生
「本当じゃ。」
② カルカソンヌ
博士
「次は?」
先生
「『カルカソンヌ』じゃ。」
博士
「名前がおしゃれですね。」
先生
「地面のタイルを並べて世界を作るゲームじゃ。」
博士
「世界が広がっていくのですか!」
先生
「道や城や修道院を完成させると得点になる。」
博士
「盤面が毎回変わるわけですね。」
先生
「そうじゃ。」
博士
「運もありますか?」
先生
「ある。しかし置き方の工夫が実に奥深い。」
③ チケット・トゥ・ライド
博士
「旅をするゲームも好きです。」
先生
「なら『チケット・トゥ・ライド』じゃ。」
博士
「鉄道ですね!」
先生
「列車をつないで目的地同士を結ぶ。」
博士
「地図を見るだけでも楽しそうです。」
先生
「初心者にも勧めやすい。」
博士
「ルールは難しいですか?」
先生
「覚えやすいのう。」
④ パンデミック
博士
「協力ゲームはありますか?」
先生は少し真面目な顔になった。
先生
「『パンデミック』じゃ。」
博士
「病気を治すゲームですね。」
先生
「全員が協力し、人類を救う。」
博士
「対戦ではないのですね。」
先生
「皆で相談しながら進める。」
博士
「失敗しても誰か一人の責任ではない。」
先生
「その通りじゃ。」
博士
「なんだか研究にも似ています。」
先生
「知恵を合わせることは大切じゃ。」
⑤ ドミニオン
博士
「カードを使うゲームも気になります。」
先生
「『ドミニオン』じゃな。」
博士
「聞いたことがあります!」
先生
「自分の山札を育てるゲームじゃ。」
博士
「最初は弱いカードばかり?」
先生
「そこから強くしていく。」
博士
「毎回違う組み合わせになるのですか?」
先生
「そうじゃ。」
博士
「飽きにくそうですね。」
⑥ Azul(アズール)
博士
「美しいゲームもありますか?」
先生
「『アズール』じゃ。」
博士
「名前がきれいです。」
先生
「色鮮やかなタイルを並べる。」
博士
「芸術作品のようですね。」
先生
「見た目が実に美しい。」
博士
「遊び終わったあとも眺めたくなりそうです。」
⑦ 宝石の煌き
博士
「資源を集めるゲームは好きです。」
先生
「『宝石の煌き』も良い。」
博士
「宝石!」
先生
「宝石を集めて商人になるゲームじゃ。」
博士
「ルールは?」
先生
「覚えやすい。」
博士
「考えることは多いですか?」
先生
「かなり多い。」
博士
「なるほど!」
⑧ コードネーム
博士
「言葉を使うゲームもありますか?」
先生
「『コードネーム』。」
博士
「どう遊ぶのでしょう。」
先生
「一つのヒントで複数の言葉を当ててもらう。」
博士
「連想ゲームですね。」
先生
「発想力が試される。」
博士
「先生は強そうです。」
先生
「そうかのう?」
博士は夢中でノートを書き続ける。
ページが何枚も埋まっていく。
博士
「先生!」
先生
「なんじゃ。」
博士
「初心者だけで遊ぶなら、どれがお勧めでしょう?」
先生は少し考えた。
先生
「遊ぶ人数にもよるが……。」
「まずなら『チケット・トゥ・ライド』。」
「次に『カルカソンヌ』。」
「少し慣れたら『カタン』。」
「協力したいなら『パンデミック』。」
「何度も遊ぶなら『ドミニオン』。」
「見た目も楽しみたいなら『アズール』。」
「短時間なら『宝石の煌き』。」
「大人数なら『コードネーム』。」
博士
「なるほど!」
「それぞれ得意分野が違うのですね。」
先生はうなずいた。
先生
「ボードゲームというものは勝つことだけが目的ではない。」
博士
「はい。」
先生
「遊びながら相手の考え方が見える。」
博士
「確かに。」
先生
「慎重な者。」
「大胆な者。」
「助け合う者。」
「最後まであきらめぬ者。」
「遊びの中には、その人らしさが現れるものじゃ。」
博士は少し感心した表情になる。
博士
「先生は、どうしてそんなに詳しいのですか?」
先生は得意そうにひげをなでた。
先生
「百年以上生きておるからのう。」
博士は何度もうなずく。
博士
「なるほど!」
「百年もあれば世界中のボードゲームを遊べますね!」
先生はしばらく黙っていたが、やがて笑い出した。
先生
「にゃっはっは!」
博士
「え?」
先生
「実は半分くらい遊んだことはない。」
博士
「ええっ!?」
先生
「本で読んだだけじゃ。」
博士
「先生!」
先生
「適当に知ったかぶりをしたら、はかせが全部信じるから面白くてのう。」
博士
「先生、それは本当ですか?」
先生
「今度は本当じゃ。」
博士は眼鏡を押し上げながら、深いため息をついた。
博士
「また先生にだまされました……。」
先生
「にゃはは。」
博士
「でも、本でそこまで理解できるなんて、やっぱり先生はすごいです。」
先生
「実際に遊ぶと、本では分からぬ面白さも見えてくるものじゃ。」
博士
「それでは、今度旅人の皆さんが来たら、一緒に遊んでみましょう!」
先生
「そうじゃのう。」
先生は湯飲みを手に取り、穏やかに笑った。
先生
「勝っても負けても、お茶を飲みながら笑える相手がおれば、それが一番よいゲームというものじゃ、にゃ。」
博士はその言葉を聞くと、嬉しそうにノートへ最後の一文を書き加えた。
博士
「……メモしておきます!」
