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(短編小説)人の上には立てますか?➁

くりす

筆者の日々の会社員生活について。
事実ベースで創作を加えて、書いております。
過去の自伝小説の延長線上のお話ではありますが、
登場する人物名・団体等は一切存在いたしません。

(登場人物)
新井 ・・・ 筆者の分身(40代)
菅野 ・・・ 他部署の同僚(40代)

「ストレス解消!
 ストレス解消しないといけませんよ!!」

20時を過ぎた残業タイム。
残業の面子は、大体いつも一緒だ。
最近では、内勤だと新井1人。
営業では菅野と大山の2人が定番である。

この日は、新井と菅野の2人だけ。
休日前という事もあり、気力は続いていたが。
「心に貯まってる色々」については、
2人しかいない事もあり、お互い声に出ていた。

営業の菅野。

年齢的には、新井より少し下。
社歴で言えば、ほぼ新井と同じである。
ただ、彼は1度会社を辞めていて。
2年ほどで戻ってきた経緯があった。

それもあり、しんどい立場ではある。

同期入社の鈴木は、現在営業部長だし。
入社順的には後輩になる新井も、
数日前に総務部長になった。
立場的にも収入的にも、差がついている。
それでいて、菅野も仕事量だけは増える一方だ。

「新井さんも部長になって、
 ストレス増えたんじゃないですか?
 貯めたらダメっすよ!
 解消していかないと。」

「ストレスはありますけど。
 以前と比べたら、俺も色々やってんですよ。
 趣味に没頭したりとか。
 会いたい人に会ってみたりとか、、、」

1年前と比べれば、新井の仕事も増えていた。
身体的にも楽ではなかったが。
1年前には見えなかった、
「仕事の目標」「私生活での目標」
そーいうものが、最近少し見えてきた。

それを、少しずつ具体的な形にする。
それが今の新井の目標で、
それがある事は、励みにもなっていた。

「そーですか、、、
 俺も色々考えてんですけどね。
 スッキリしないですよね、、、」

歯切れの悪い言い様だ。
彼とは、それなりに本音で話してる。
そう思っていたけれど。
話の歯切れは、年々悪くなる気すらする。

「本音を全て話してはいない」

そう思えた。

新井にしても、彼に全てを話してる訳ではない。
同じ会社で働く者同士、そんなもんだとは思うけど。

「そうそう、今度東京にプロ野球観に行くんですよ。
 プロ野球熱、今だに熱くなる一方でね。
 新井さんは、昔ほど熱くなくなりましたよね?」

気兼ねなく話せるのは、
こんな趣味の話くらいだろーか?
菅野とは、ひいきのチームは違ったが。
プロ野球ファン同士、
昔からマニアックな話をよくしていた。

だが、菅野の言う通り。
新井のプロ野球熱は、以前ほどではなく。
球場に試合を観に行く事も、
ほとんどなくなっていた。

「人間のエネルギーの総量は決まってる」

新井は最近、そう思う。

新井のプロ野球熱が、以前ほどでないのは。
家庭や仕事、別の趣味。
それらに、エネルギーを取られてるからで。
単純に、余力がないからだと思えた。

それに対して、
「ココに来てプロ野球熱が上がってる」
そんな、菅野の言葉を聞いてると。

エネルギーやストレスの持って行き所がなく、
昔からの趣味への傾倒が強くなっている。
菅野に言えた話ではないが、
新井の目には、そう映るのである。

プロ野球の話をしても、
昔のテンションでは話せない。
人の気持ちは、ずっと一緒ではいられない。
それは、寂しい事ではあるけれど、、、

21時をまわった辺りで、
どちらからともなく帰り支度を始めた。
残業のエネルギーも、
以前ほどにはない2人だった、、、


 
 
 
子供の頃は小説家になるのが夢だったおじさん。 日常をエッセイにしたり、小説にしてみたり。 面白おかしく書いてけたらと思います。 社歴25年の事務員なので、事務職にまつわることも。

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