
アンカリング効果と二重価格表示|マーケティングと景品表示法(6)
行動心理学をマーケティングに活用しつつ、景品表示法ルールもしっかり守るための知識について解説するシリーズです。
今回はアンカリング効果の有効性と二重価格表示が景品表示法の有利誤認表示に該当するケースについて解説します。
アンカリング効果とは、最初に提示された情報や数字が基準となり、その後の判断が無意識に左右されてしまう心理効果です。
船舶がいったん錨(アンカー)を投下すると、その場所に固定されることに例えています。
店舗やウェブでの価格表示において、消費者は最初に目にした価格が強く記憶に残ります。
そこで最初に高い金額を提示し、それを打ち消す形で安い金額を提示することで購買意欲を刺激するという手法が広く行われています。
アンカリング効果のマーケティングへの活用事例としては以下のようなものがあります。
・「先着順」や「期間限定」のようなプレミア感を演出
・納期を遅めに伝えて、それよりも早く納品する
・通常販売価格よりも安い期間限定の特別価格を提示する
アンカリング効果は、特に販売価格の表示で活用される機会が多くなっています。
通常価格を表示した上で、期間限定の特別価格を表示し、二つの価格を対照することでお得感を演出するのは、消費者へのインパクトが強く実に効果的な販売手法になります。
このように二つの価格を比較して表示する手法は二重価格表示と呼ばれています。
二重価格表示については景品表示法のガイドラインでルールが定められており、そのルールを守っていれば適法ですが、ルールから外れて違法と認定され措置命令処分となる事件も頻発しています。
景品表示法の二重価格表示のルールによれば、過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示については、比較対照価格(通常価格)は最近相当期間に渡って販売されていた価格でなければならないとされています。
そのルールを要約すると以下のようになります。
【二重価格表示が許容される要件】
(a)比較対照の通常価格で8週間以上前から販売されている場合
→ 当該8週間を検討の対象となる期間とする
→ 値下げ価格の「特価」としての表示は2週間以内
(b)比較対照の通常価格での販売期間が8週間未満の場合
→ その販売期間を検討の対象となる期間とする
→ 値下げ価格の「特価」としての表示は2週間以内
このことから景品表示法では値下げした価格を「特別価格」として表示してもよい(=二重価格表示をしてもよい)のは、比較対照価格(旧価格)での販売期間が2週間以上であり、かつ二重価格表示の期間は2週間以内ということになります。
(不動産業など例外的に長期間の二重価格表示が許容されるケースもあります)。
新価格で2週間以上の販売期間が経過すると、その価格自体が通常価格と判断されるようになるので、旧価格との二重価格表示は不当ということになります。
そうすると旧価格と比較した新価格での「値下げセール」などの売出し期間は2週間以内に終了しないと不当表示(有利誤認表示)になるので注意をしなくてはなりません。
【参考】
アンカリング効果を活用する二重価格表示はポピュラーかつ効果の高いマーケティング手法ですが、景品表示法のルールを守らないと違法行為になってしまうリスクがあります。
上記の8週間と2週間のルールをよく理解し、二重価格表示の要件を満たした上でアンカリング効果を活用していきましょう。
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【参考】
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