
プロスペクト理論とセール期間の不当表示|マーケティングと景品表示法(10)
行動心理学をマーケティングに活用しつつ、景品表示法ルールもしっかり守るための知識について解説するシリーズです。
今回はプロスペクト理論を活用したマーケティングが景品表示法の優良誤認表示に該当するケースについて解説します。
プロスペクト理論とは、人間が不確実な状況下で意思決定を行う際には、得をすることよりも損を避けたいという選択をするというもので、損失回避の法則とも呼ばれています。
利益を得られる場面では確実に入手することを選択し、損失が発生するリスクがある場面では最大限に回避しようとする傾向があることを示しています。
プロスペクト理論のマーケティングへの活用事例としては以下のようなものがあります。
・当初は無料キャンペーンでサービスの体験をしてもらい、信頼構築後に有料プランのオファーを提示する。
・期間限定のタイムセールを実施し、「今買わないとこの割引を逃す」という損失を強く意識させて購買を促す。
・新型家電の発売に合わせて旧型家電の処分価格を提示し、数量限定であることを強調して、買わないと損するという心理を刺激する。
プロスペクト理論では、消費者の意思決定は通常価格(定価)という基準点に影響されるというフレーミング効果が用いられます。
その基準点が高額であるほど実際に購入する価格との乖離が大きくなり、消費者が得をしたという感覚を得ることにつながります。
また、数量や期間を限定することで、消費者には「この機会を逃すと安く買えるチャンスを失い、損をしてしまう」という損失回避の法則が作用します。
価格差を大きくするフレーミング効果と期間や数量を限定する損失回避の法則を併用することで、プロスペクト理論のマーケティング効果は最大限に発揮されることになります。
このような強力なプロスペクト理論ですが、セール期間の設定や二重価格表示の規制について景品表示法のルールを把握したうえで活用する必要があります。
景品表示法では、通常価格と値引き価格(特別価格)の2つの価格を比較して表示する二重価格表示について、以下の要件を満たす場合に許容しています。
【二重価格表示が許容される要件】
(a)比較対照の通常価格で8週間以上前から販売されている場合
→ 当該8週間を検討の対象となる期間とする
→ 値下げ価格の「特価」としての表示は2週間以内
(b)比較対照の通常価格での販売期間が8週間未満の場合
→ その販売期間を検討の対象となる期間とする
→ 値下げ価格の「特価」としての表示は2週間以内
このことから景品表示法では値下げした価格を「特別価格」として表示してもよい(=二重価格表示をしてもよい)のは、比較対照価格(旧価格)での販売期間が2週間以上であり、かつ二重価格表示の期間は2週間以内ということになります。
(不動産業など例外的に長期間の二重価格表示が許容されるケースもあります)。
新価格で2週間以上の販売期間が経過すると、その価格自体が通常価格と判断されるようになるので、旧価格との二重価格表示は不当ということになります。
つまり二重価格表示を行うセールやキャンペーンの期間については2週間が上限となり、それを超えて二重価格表示のキャンペーンを継続すると有利誤認の不当表示になるということを押さえておく必要があります。
【お知らせ】
このnoteはシリーズ物として書き上げております。
前後のストーリーも気になる方は、以下のnoteにてリスト化しておりますのでご参照ください。
【参考】
価格差を大きく訴求するフレーミング効果と期間や数量を限定する損失回避の法則を組み合わせたプロスペクト理論によるマーケティングは強力ですが、景品表示法の二重価格表示のルールを守らないと不当表示になってしまうリスクがあります。
二重価格表示が許容される要件を守って、積極的にマーケティングに活用していきましょう。
【参考】
以下のnote記事では、ブログやSNSでのビジネスについて関連する特定商取引法と景品表示法の注意事項についてポイントを絞って解説しています。
ご参考にして下さい。
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