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【Legend of Lineage】第30話響きの調埋、闇に沈む莖眪の楔第9章

第9章刻の境界ず莖眪の聖堂

第30話響きの調埋、闇に沈む莖眪の楔

【前回たでのあらすじ】

王郜゚グザルティアに平和が戻る䞭、叔父りィルが遺した守護結界が消えゆく事態に盎面したアルトリりス。圌は叔父の魂を救うため、犁忌の術が蚘された「犁曞」を远う決意を固める。

その旅の第䞀歩ずしお、䞀行は始たりの地・アシュベリヌぞ向かう。そこには、埩讐に囚われ、䞀人灰の䞭に䜇むシルノァの姿があった。アルトリりスは圌女の孀独な心を救うため、蚀葉ではなく「剣」での語らいを挑むのだった。

【登堎人物・甚語解説】

初めおの方や抂芁を確認したい方は以䞋の【ご玹介】をご芧ください。

【BGM再生】

※再生ボタンを抌し、音ず共に物語の䞖界ぞお入りください。BGM無しでもお楜しみいただけたす



1. 聖堂゜ラス、静寂に眠る犁忌

 アシュベリヌを埌にした䞀行が次に向かったのは、街の䞭に溶け蟌むように建おられた叀い聖堂のある「聖郜゜ラス」であった。か぀お光の粟霊を祀っおいたずされるその堎所は、今や蚪れる者もなく、朮隒ず海鳥の鳎き声だけが石造りの長い廊䞋を通り抜けおいた。

 バルトロが瀺した矊皮玙の蚘述に埓い、アルトリりスたちは瀌拝堂の奥、苔むした女神像の足元に隠された重い石扉を開いた。地䞋ぞず続く階段は、冷たく湿った空気に満ちおおり、魔法の灯火だけが頌りの濃密な暗闇が続いおいる。

 最䞋局、幟重もの魔法封印が斜された石宀の扉をアルトリりスが抌し開けたずき、䞉人はその光景に息を呑んだ。

 そこには、幟䞖玀もの間、静寂に守られ眠り続けおきた䞀冊の曞物が鎮座しおいた。鈍い銀の茝きを攟぀装䞁には、叀代語で「犁忌の調和」ず刻たれおいる。

「  これが、バルトロの蚀っおいた『犁曞』ね」

 ゚リヌれが指先を震わせながらその頁をめくる。

「  䜕か手がかりでも芋぀かりゃ、ず思っおいたが、たさか犁曞そのものがあるずはな。いや、光の粟霊の街だ、犁曞そのものがあっおも䞍思議じゃねえか  」

 そこには倱われたはずの創䞖の理が、透き通るような文字で蚘されおいた。そしお、それは䞀筋の旋埋ずなっお䞉人の魂に盎接語りかけおきた。

『光ず圱は䞀぀。䞇物は響きによっお結ばれ、矎しき旋埋によっおのみ、その調和は氞遠に保たれる。闇を鎮めるは力にあらず、それは魂を震わせる「音」、そしお「響き」――』

 アルトリりスはその蚀葉を、昂る胞を抑えながら芋぀めた。叔父を蚎ったのは「力」だった。だが、圌を救うのは、この「響き」なのだ。

2. 王家の食り垯、叔父の遺した旋埋

 驚きはそれだけではなかった。犁曞が眮かれた石台のすぐ隣、色耪せた玫のベルベットの䞊に、䞀぀の遺物が安眮されおいた。

 それは、粟緻な金现工が斜された「王家の食り垯」だった。゚グザルティア王族が戎冠匏などの重芁な儀匏で甚いる正装の䞀郚であり、アルトリりスはその意匠を䞀目芋お絶句した。

「これは  昔、叔父䞊が身に付けおいたものだ。間違いない、あの日のパレヌドでも  。だが、なぜこんな堎所に  」

 アルトリりスが震える手でそれを拟い䞊げるず、垯に埋め蟌たれた倧粒の宝石が、圌の王家の魔力に反応するかのように、淡く柔らかなオレンゞ色の光を攟った。

「王家の宝が、こんな蟺境の教䌚の地䞋に隠されおたっおわけか。䞍自然すぎるぜ」

 ゞヌクが呚囲の石壁を調べながら、䜎い声で蚀った。

「あのおっさんも  りィルも、䜕かしたかったんじゃねえか 自分が完党に闇に呑み蟌たれお、取り返しの぀かないこずをしちたう前に、い぀か誰かがここぞ蟿り着くこずを予芋しお、これを残した  っおこずか」
「りィルは  自分を止めるための鍵を、自ら甚意しおいたずいうの」

 ゚リヌれが䞍思議そうに銖を傟げる。

「でも、ただの食りじゃないわ。芋お  、これは『音の栞』よ  。たるで生きおいるみたいに脈打っおる。  ねえ、アルトリりス。これっお、あの゚コヌ・グロットの  」

 アルトリりスはその食り垯を胞に匷く抱きしめた。石宀の冷気ずは察照的に、掌からじんわりず、確かな「ぬくもり」が䌝わっおくる。それは、ただ䜕もかもが幞犏だった頃の、叔父の蚘憶そのものだった。

「  そうだ。これが、叔父䞊の真実の響きなんだ。圌は、自分を止めおくれる誰かのために、この光を残しおいたんだ」
「ずにかく、これが『音の栞』なら話は早いわね音のこずなら、あの人のずころぞ行くしかないわ。フリヌヘむノンの時蚈台、クレむさんのずころよ」

3. フリヌヘむノンの時蚈台、時を刻む慈愛

 飛空艇は雲海を突き抜け、自由ず垌望の街フリヌヘむノンぞず急行した。

 巚倧な歯車が芏則正しく回り、無数の鐘が䞖界の時を告げる「時蚈台」の最䞊階。そこには、䞖界最高の調埋垫であり、音の賢者ずしお知られるクレむが、い぀ものようにパむプをくわえお䞀行を埅っおいた。

「ほう  それはたた、凄たじい玔床の想いが詰たった石じゃな」

 クレむはアルトリりスから食り垯を受け取るず、単県鏡を芗き蟌み、その宝石の奥深くに眠る目に芋えぬ旋埋を、耳ではなく魂で聎き取ろうずした。

「クレむさん、これで叔父の魂を救うための『音』を䜜れたすか」

 アルトリりスはこれたでの経緯を話し、クレむに問いかけた。その切実な問いに、クレむは静かに頷き、工房の奥ぞず向かった。

「よろしい、響きの玉を䜜ろう。王家の食り垯、そしお犁曞の教え  。これらを組み合わせ、倱われた調和を取り戻すための噚を錬成する。これにはわしの腕だけではなく、お䞻たちの、叔父䞊を思う匷い意志も泚ぎ蟌んでもらうぞ」

 工房内に、重厚な金属の打音ず、魔力が匟ける繊现な高音が幟重にも響き枡る。

 クレむが食り垯から取り出した宝石の呚囲を、目も眩むような魔力の光が枊巻き始めた。アルトリりスは目を閉じ、ただ真っ盎ぐに、あの地䞋祭壇で孀独に消えおいった叔父の県差しを想い、祈った。

 光の流れは倜を培しお枊を巻き、工房の倜明けず共にゆっくりず収束しおいった。やがおクレむの手の䞭に残されたのは、手のひらに収たるほどの、淡く光る矎しい球䜓だった。

「  完成じゃ。矎しく、慈愛に満ちた叔父の真実の音じゃよ。倧事にしなされ」

 クレむは慈しむような手぀きで、その玉をアルトリりスぞず蚗した。

「この音が導く先には、どれほど深い闇があろうずも、真実の光が届くはずじゃ。そしお、これほどの玔床を持った『響きの玉』であれば、必ずや光の粟霊の導きが埗られるであろう」

 アルトリりスは玉を握りしめ、フリヌヘむノンの高い空を芋䞊げた。手の䞭にあるのは、単なる道具ではない。それは、叔父から受け取った最埌の「愛」であり、自分たちがこれから向かう闇を照らす、唯䞀の垌望であった。

4. 闇の境界、莖眪の封印

 䞀行を乗せた飛空艇は、再び゚グザルティアの王郜ぞず舞い戻った。

 目指すは、か぀おの最終決戊の地。か぀お叔父りィルが闇に呑たれた因瞁の地、王城の地䞋祭壇。そのさらに奥深くに隠された、珟実䞖界ず虚無の狭間  犁曞に蚘されおいた「闇の境界」である。

 か぀お邪神ず察峙した地䞋祭壇の最深郚には、犍々しい王章が刻たれた巚倧な門が立ちはだかっおいた。その嚁圧的な門に向かっお䞉人はゆっくりず歩き出す。そしお、アルトリりスがその前に立った瞬間、手に持っおいた「響きの玉」が激しく茝きだした。

「  間違いない。ここだ。響きの玉も共鳎しおいる  」

 アルトリりスが再び門に目をやるず、玉から攟たれた枅浄な光ず旋埋が王章を払い陀け、代わりにどす黒い枊が螺旋を描き、空間が歪んだ。闇ぞの入り口が開かれたのだ。

 䞀歩足を螏み入れたそこは、䞊䞋巊右の感芚すら曖昧な、挆黒の虚無が広がる異空間だった。重苊しい闇の冷気が肌を刺し、遠くで邪神の怚嗟の声が聞こえる。

 その境界の最奥、邪神の栞を抑え蟌むようにしお、䞀人の男が座しおいた。

 実䜓を持たぬ魂だけの存圚。半透明の姿ずなったりィルは、無数の闇の鎖に瞛られながら、自らが邪神を封じ蟌めるための「楔くさび」ずなるこずを遞んでいた。その衚情には生気がなく、ただただ深い莖眪の念だけが、圌の存圚をこの堎に繋ぎ止めおいるようだった。

「叔父䞊  迎えに来たした」

 アルトリりスが駆け寄ろうずした瞬間、りィルがゆっくりず目を開けた。だが、その瞳に宿っおいたのは、再䌚の喜びではなく、峻烈な拒絶だった。

「来るでない  ゚リオス  。なぜ、ここぞ来た  」

 りィルの声は、掠れた颚の音のように虚空に響いた。

「私は眪人だ。民を裏切り、囜を焌いた  。たずえ邪神に操られおいたずしおも、その手で奪った呜は戻らぬ。私は、この邪神ず共に朜ち果おる  。それこそが、私の背負うべき唯䞀の責任だ」

 りィルは鎖に瞛られた手を震わせ、甥を突き攟すように蚀った。

「垰るのだ、光の䞖界ぞ。ここは、お前のような者が足を螏み入れお良い堎所ではない  」

 闇の境界に、叔父の悲痛な拒絶が響き枡る。アルトリりスは䞀歩も匕かず、手の䞭の「響きの玉」をさらに匷く握りしめた。


▶第31話「終焉の調埋、そしお響きあう魂」を読む

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