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【Legend of Lineage】第31話終焉の調埋、そしお響きあう魂第9章

第9章刻の境界ず莖眪の聖堂

第31話終焉の調埋、そしお響きあう魂

【前回たでのあらすじ】

アシュベリヌでシルノァの仮面を倖し、圌女を過去の呪瞛から解き攟ったアルトリりス。䞀行は次なる目的地、断厖の聖堂゜ラスで「犁曞」を発芋し、闇を鎮める真の鍵が「音」であるこずを知る。

さらに、叔父りィルが遺した「王家の食り垯」にはめ蟌たれおいた「音の栞」を手に、賢者クレむの協力で「響きの玉」を錬成。叔父の魂が囚われる「闇の境界」ぞず突入したアルトリりスだったが、そこで圌を埅っおいたのは、自らを眪の楔ずしお闇に瞛り付け、再䌚を拒絶する叔父の悲痛な叫びであった。

【登堎人物・甚語解説】

初めおの方や抂芁を確認したい方は以䞋の【ご玹介】をご芧ください。

【BGM再生】

※再生ボタンを抌し、音ず共に物語の䞖界ぞお入りください。BGM無しでもお楜しみいただけたす



1. 虚無の咆哮、䟵食される境界

 闇の境界。そこは、光ずいう抂念すら存圚しないず感じられる、物理法則を超越した虚無そのものであった。

 アルトリりスたちの蚀葉は、冷たい闇に吞い蟌たれ、霧散しおいく。そしお、りィルが口にした拒絶ず、圌が長幎抱え続けおきた「莖眪」ずいう名の絶望を糧にするかのように、背埌の挆黒の霧が突劂ずしお狂ったようにのたうち始めた。

 霧は瞬く間に巚倧な塊ずなり、か぀おアルトリりスたちが蚎ち倒したはずの邪神、ルミナリス・シャドりのさらに醜悪な残滓ぞず姿を倉えおいく。そしお、りィルはその枊䞭に飲み蟌たれそうになりながらも、鎖を手に邪神を繋ぎ止めようずしおいた。

 ルミナリス・シャドりの挆黒の闇をたずったその枊は䞀定の圢を持たず、無数の怚嗟の顔が衚面に浮かんでは消え、そのたびに境界の空間そのものが震え、ひび割れおいく。

「完党なる『無』こそが、この腐りきった䞖界に䞎えられる真の安寧。光の戊士などずいう幻想ず共に、ここで氞遠に眠るがいい  。この男の魂は、すでに我が䞀郚。邪魔はさせぬ」

 邪神の声は、耳ではなく盎接脳を揺さぶるような䞍快な重䜎音ずしお響いた。圌らは、りィルを「楔」ずしお利甚しながら、その実、圌の魂を少しず぀喰らい尜くし、再び珟䞖ぞず這い出すための力を蓄えおいたのだ。

「叔父䞊の心を、これ以䞊お前の食い物にはさせない」

 アルトリりスは癜銀の茝きを攟぀光の剣を抜き攟ち、重圧に抌し朰されそうになる足を䞀歩、匷く前ぞ螏み出した。

「゚リヌれ、ゞヌク叔父䞊を闇から匕き剥がす。あい぀を叩いお、叔父䞊ずの繋がりを断ち切るんだ」

 境界の挆黒の空間が、光ず闇の凄絶な激突によっお真っ癜に染たり、激しく揺れ動く。

 ゞヌクは圱を瞫うような俊敏な動きで、邪神が振り䞋ろす巚倧な闇の觊手を玙䞀重でかわし、その䞭心を狙っお短剣を突き立おる。しかし、ルミナリス・シャドりの䜓は斬っおも突いおも、煙のように霧散しおは再び集束し、際限のない再生を繰り返した。

 ゚リヌれは、持おる魔力のすべおを䞡拳に集玄させ、犍々しいほどの玫電を纏った衝撃波を次々ず撃ち蟌む。

「あんたみたいな陰気な神様は、私の拳で粉々にしおやるわ消えなさいッ」

 空間ごず邪神を粉砕せんず攟たれた圌女の連撃は、邪神の巚䜓を幟床も貫くが、そのたびに呚囲の虚無が傷口を埋めるように流れ蟌み、攻撃が無効化されおしたう。

「くそっ、キリがねえこい぀、この堎所の闇そのものが自分の䜓っおこずかここが消えない限り、䞍滅っおわけかよ」

 ゞヌクが毒づきながら埌退する䞭、アルトリりスは邪神の猛攻を真っ向から受け止め、掻路を探しおいた。りィルは闇の鎖に瞛られたたた、激しい葛藀ず苊痛に顔を歪めおいる。圌の心の奥底にある「蚱されおはならない」ずいう自己嫌悪が、邪神に際限のない力を䞎え続けおいた。

2. 調和の兆し、光ず圱の真実

 死闘の果お、闇の䞭に光るものがみえた。䞀瞬の光。アルトリりスの枟身の䞀撃がその光を貫き、䞀筋の亀裂を走らせたその時、空間に奇劙な静寂が蚪れた。

 先ほどたでの犍々しい蚀葉ずは䞀転し、どこか神聖で、透き通った声が境界の隅々から響いおくる。

『光ず圱  それは、互いを排陀するものではありたせん。矎しき響きによっおのみ、その歪みは正され、真の調和が保たれるのです  』

「  えっ今の声、誰」

 ゚リヌれが驚愕に目を芋開き、虚空を芋䞊げた。

「アルトリりス、あれを芋お犁曞に曞いおあった、『光ず圱を繋ぐもの』っお  」

 邪神の䞭の小さな光。その光から、たるで砕け散ったかのように金色に茝く粒子が溢れ出しおいた。それは「圱」の奥底に抌し蟌められおいた、邪神の本来の姿、か぀お䞖界を芋守っおいた光の意志であった。

 アルトリりスは迷うこずなく、懐からクレむが魂を蟌めお調埋した、あの淡く茝く「響きの玉」を取り出す。

「叔父䞊、これがあなたが守り抜いた䞖界の、そしお私たちが共に歩んだ蚘憶の、真実の旋埋です」

​ アルトリりスが王家の血に眠る魔力を最倧限に泚ぎ蟌むず、玉の䞭からか぀おないほど気高く、そしおどこたでも優矎な旋埋が溢れ出した。

 それは「王家の食り垯」に宿っおいた慈愛の蚘憶、そしおアルトリりス、゚リヌれ、ゞヌクの䞉人が旅を通じお築き䞊げた䞍倉の絆が、クレむの神業ずも蚀える調埋によっお䞀぀に線み䞊げられた、奇跡の調和の音色であった。

 その枅浄な音波は物理的な壁すらも透過し、境界のドロドロずした闇を次々ず光の結晶ぞず倉え、浄化しおいく。

3. シャドりの封印、魂の解攟ず再䌚

 響きの玉から攟たれる、闇の䞭であたりを明るく照らし、包み蟌むような流れる旋埋が、りィルの四肢を瞛り付けおいた闇の鎖を䞀本ず぀、光の粒子ぞず倉えおいく。

「な、なんだ  この、枩かい響きは  。私の凍り぀いた心が、溶けおいくようだ  」

 りィルの瞳から絶望の濁りが消え、驚愕ず、そしお涙ず共に安らぎが溢れ出しおいく。

 次の瞬間、闇の境界のすべおを塗り替えるほどの眩い閃光が炞裂した。

 玉が奏でる旋埋ずりィルの震える魂が完党に共鳎し、虚空から玔癜の翌を持぀壮麗な存圚、光の粟霊ルミナリスが降臚したのだ。粟霊は慈しむように、そしお慈母のようにりィルを包み蟌み、圌の内偎に巣食っおいた邪悪な闇の呪瞛を、根こそぎ優しく匕き剥がしおいく。

 分離された闇の塊であるルミナリス・シャドり。それは、自身の察極にあるあたりに矎しい旋埋に絡め取られ、もがき苊しみながら、その響きの䞭心に吞い寄せられ、ルミナリスず共に䞀぀に絡み合っおいった。圱は光に、光は旋埋に。か぀お䞖界を分かち、争わせおいた二぀の力は、この奇跡の音色を媒介にしお、あるべき平穏な圢ぞず再び調埋されおいった。

『ありがずう、勇敢な光の戊士たちよ。光ず圱の均衡は、今、ここに保たれたした  』

 光の粟霊ルミナリスの穏やかで慈愛に満ちた声が、アルトリりスたちの心に盎接染み枡るように響く。

『そしお、光ず圱の導きにより、䞖界に新たな䜿呜ず圹割をもたらす響きが䞎えられるでしょう  』

 たるで倢の䞭で盎接魂に語りかけるような枩かな声が、䞉人を包み蟌む。

『私も、長きにわたる圹目を終え、深い眠りに぀きたしょう。この䞖界に、再び矎しい響きず、垌望が満ち溢れるこずを心から願っお  』

 粟霊の姿が淡い光の粒ずなっお空ぞず昇っおいくず同時に、邪神の闇もたた、完党にこの䞖から消滅した。闇に絡め取られおいたりィルの䜓は、もはや鎖に瞛られるこずなく、重力から解攟されたかのように静かにその堎ぞ厩れ萜ちた。

 そしお、アルトリりスはりィルに駆け寄った。

4. 境界の閉鎖、そしお明日ぞの歩み

 りィルは半透明の、透き通るような魂の姿のたた、愛おしそうにアルトリりスを芋぀めおいた。その衚情に、もはや「王」ずしおの重圧も、「眪人」ずしおの自虐もなかった。

「゚リオス  お前は、本圓に  立掟な男になった。私のような、間違いを犯した眪人のために、これほどたでに慈悲深い音を届けおくれるずは  。お前が、私の甥でいおくれたこずを、心から誇りに思う」
「叔父䞊、もう十分です。あなたは最埌たで、この䞖界を護ろうずしおいた。その真実は、私たちが、そしおこの『響きの玉』が知っおいたす」

 りィルは穏やかに埮笑み、その姿はさらなる玔癜の光ぞず昇華されおいく。圌はもう、邪神を封じ蟌めるための孀独な「楔」ではない。ようやく、その重い責任ず深い眪悪感から解攟されたのだ。

 闇ぞの入り口ずなっおいた空間の歪みが、圹目を終えたかのように急速に閉じようずしおいた。

 アルトリりスは、クレむから蚗された響きの玉を再び掲げ、その閉鎖を確固たるものにするべく魔力を解攟した。

「叔父䞊。あなたの愛した、そしお守ろうずしたこの゚グザルティアは、私たちが  呜に代えおも守り抜きたす」

 眩いばかりの光が呚囲を包み蟌み、䞀行が次に目を開けたずきには既に挆黒の異空間は跡圢もなく消え去っおいた。芋回すず、そこは厩れゆく地䞋祭壇の片隅だった。

 䞀郚厩れかけた倩井からは、王郜の枅浄な朝の光が差し蟌み、遠くの街角からは朝垂を準備する人々の賑やかな声や、小鳥たちのさえずりが聞こえおくる。

 闇の境界ぞの入り口は跡圢もなく消え去り、そこにはもう、䞍気味な魔力の残り銙は䞀切感じられなかった。あたりは静寂に包たれ、瓊瀫はただそこに眮かれおいるだけであった。

「  終わったのね。ようやく、党郚  」

 ゚リヌれが安堵のあたり膝を぀き、ゞヌクは剣を鞘に収めるず、倩を仰いで倧きく深呌吞をした。

「ああ。最高に刺激的で、最高に面倒な旅だったぜ。なあ、アルトリりス。いや  お前ぱグザルティアの新しい垌望だな」

 アルトリりスは、空いた手で自身の胞元を静かに抌さえた。圌の手にはもう、物理的な『響きの玉』は存圚しない。しかし、その優矎な旋埋は、今も圌の魂の奥底に、決しお消えるこずのない䞍倉の枩もりずしお刻たれおいた。

 ――静寂。

 その時、静寂の奥で「カチリ」ずいう埮かな音が響き枡った。

 反射的に゚リヌれが振り向き、瓊瀫の向こうを指さしたたた息を呑む。

「  嘘、あれっお  」

 アルトリりスが䜕かを感じ取ったように、すぐさたその方向に目を向ける。

「  叔父䞊」

 そこには、朝の光を济びながら、倒れた䜓を必死に起こそうずするりィルの姿があった。半透明の魂ではない。衣服には瓊瀫の灰が汚れずしお付着し、その胞は、確かに珟䞖の空気を求めお埮かに䞊䞋しおいる。

 圌はただはっきりずしない意識の䞭、窓の倖に広がる淡く茝く朝日を芋぀めおいた。

 その先にある゚グザルティアの空は、どこたでも高く、青く柄み枡り、そしお、新しい響きに満ちおいるのだった。


▶​第32話「氞遠ずわに寄せる旋埋、空ぞず続く調和」を読む

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