メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo byyururira_diary

私が選んだあの人があなたを苦しめてごめんなさい〜兄の気持ちに気づいた日の話


    #創作大賞2026
    #エッセイ部門
    #思考の学校
    #エッセイ
    #家族
    #潜在意識
    #気づき
    #自分と向き合う
    #人間関係

    今から3ヶ月前のこと。
    ある夜、次女の美子が、「もう嫌だ、何もかもなくなればいい」と、不安定な状態になっていた。

    美子が情緒不安定になることは久しぶりだったので、また不調が戻ってきてしまったのかとドキッとした。

    「怒りは出したほうがいいし、悲しいなら泣いたほうがいいよ。」などと美子に言いながら寄り添っていると、少し間をおいて次女が言った。

    「・・・お父さんがお母さんにひどいこと言うからムカつく!」 
    「お母さんが新しいTシャツ着たときに、『太っとるの隠せていいね』と言ったのがムカついた!」
    「さっき、お母さんに『餃子焦げとる!』って言ったのもムカついた!」
    と教えてくれた。

    驚いた。私の為に怒ってくれていたんだ…
    それを我慢していたから不安定になっていたんだ…

    この日、美子が怒ってくれたことは、私がすっかり忘れていたことだったので驚いた。
    Tシャツのことは、夫の冗談として受け取っていたし、餃子のことは、一瞬イラっとはしたけど、「えー、羽根が焦げてるだけやて!」と言い返して納得してもらっていたから、もう忘れていた。

    次女には、「お父さんに言われたこと、全然気にしてないから、大丈夫やよー。 美子は優しいね」と伝えた。

    美子は「お父さんは、自分が言われたら絶対怒るのに、お母さんには言うからムカつく!」と怒ってくれた。


    この数日後、夫に話すつもりはなかったのだけど、話の流れで、この日の出来事を話した。

    すると夫は「そんなこと聞いたら、もう何にも喋れんな」と、少し悲しそうに言った。


    あの日のことを一人でボーッと考えていた。

    この1年、美子が、私が夫に対して抑えていた怒りを代わりに出してくれていた。

    美子のおかげで、夫は私が溜めていたストレスにも気づいてくれた。

    美子のおかげで、夫婦で色々話ができた。

    でも、この日、私には怒りはなかった。
    この出来事はどう捉えたらいいんだろう?

    そう考えていた時、ふと思った。

    美子が父親への怒りを私に話してくれた時、
    私は、心の中でこう思っていた。

    「私の選んだあの人が、あなたを苦しめてごめんなさい。」
    「私の夫があなたを嫌な気持ちにさせてごめんなさい。」
    「私のせいで、あなたを苦しめてごめんなさい」


    そう考えていた時、ふと思った。

    これはお義母さんの気持ちなんじゃないか?

    夫は、義父のことが嫌いで、いつも、義父の不満を義母にぶつけていた。あまりにも怒りをぶつけるので、夫は義母のことが嫌いなのかと思うくらいだった。
    でも夫は、義母のことはすごく大切に思っているのだ。

    義母はよく言っていた。「まさ(夫の名前)君から電話がかかってくるとドキッとする」と。
    義母は夫のことをこわがっていた。
    でも夫はそれを分かっていなかった。

    今回のこの気持ちは、夫に伝えなくてはいけないのかもしれないと思い、その日の夜、肩もみをしながら夫にその話をした。

    「お義母さんも同じ気持ちやったと思う」
    「お義母さんの気持ちを体験させられた気がする」

    と話すと、後ろ姿の夫は、「どうやろうね」と言った。

    ◇

    ・・・と、この記事はここで締めくくるつもりだった。

    実はこの記事を書いている時、なぜか異様な眠気に襲われて、なかなか完成させることができなかった。
    「今書く記事じゃないのかな」と思いながら、しばらく放置していた。

    「思考の学校」では、「目の前で起こることは、全て自分の潜在意識が見せている」という考え方だ。
    ということは、今回の出来事は、夫ではなく私の思考を見直さなくてはいけないのか?

    そう考えていた時、ふと思った。

    「私の選んだあの人が、あなたを苦しめてごめんなさい。」

    この言葉…お義母さんだけじゃない。
    もしかしたら、お兄ちゃんが思っていたのかもしれない、と。

    私は以前の記事で、自分がどれだけお義姉さんに対して傲慢で、被害者意識の塊だったかに気づき、車の中で号泣した。毎日ご飯を作ってくれて、大事な着物まで貸してくれたお義姉さんに、私は感謝どころか冷たい態度を取り続け、孤立させてしまっていたのだ。

    私が高校生の頃、兄が結婚し、初めての姉が出来た。
    初めは仲良くしていたのだけど、そのうち、
    その姉と、私達兄妹は揉めるようになった。

    そして、一番揉めたのは、私だった。


    そうだ…あの時、兄はきっとずっと、思っていたんだ。

    「俺の選んだあいつが、お前たちを嫌な気持ちにさせてごめん」
    「俺の妻が、お前たちを苦しめてごめん」と。

    私は、「無視される自分が一番辛い被害者なんだ」と思っていた。
    けれど、本当に一番辛かったのは、お兄ちゃんだったのかもしれない。

    大切な妻と、大切な弟妹たちが、自分の家の中で揉めている姿は、絶対に見たくなかったはずだ。

    あの頃、自分のことしか考えていなかった傲慢な私を、兄は一度も責めなかった。
    それどころか、いつも私の心配をしてくれていた。

    そうだよね、お兄ちゃん。
    ずっと辛かったよね。
    弟妹たちが、自分の妻と揉めている姿を見るのは、本当に苦しかったよね。

    お兄ちゃん、ごめんね。
    今まで全く気づけなかった。

    本当にごめんなさい。
    そして、あんなに未熟だった私達を支えてくれてありがとう。
    これからもよろしくお願いします。



     
     
     
    50代平凡な主婦です。娘のことで悩んでいるうちに、自分の心と向き合うようになりました。日々の気づきをシェアできたらなと思っています。

    あなたへのおすすめ