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“変わった形の石だな・・・お星さまが落っこちたのだろうか?”
地上に転がる輝く石は、球体の表面に小さな突起がいくつもついているという あまり見かけることのないものでした。
遠くからみる分にはシルクジェムかと思いましたが、間近で見ると 淡いレモン色をしていて凹凸が激しく 探しているものとは全く違っているようです。
ペンデュラムは特に反応を示していないようではありますが、“いったいどういう石なのだろう・・・?”
気になったガララは腰をかがめ、ルーペでよくよく観察しました。
聴診器をあてて 石の声に耳を傾けました。

見れば見るほどキャンディのように美味しそうだったので 試しにペロリと舐めてみました。
「あ、甘いや!」
本当に飴玉のようです。
ガララは持ってきた磁石を近づけてみたり、インビジブルライトで照らして肉眼では見えない何かを探したり…この甘くて美しい石は何者なのかを調査しました。
「星粒の石」と命名し、持ち帰ろうと両腕で抱きかかえたちょうどその瞬間。
「わあ!」
ガララは高く飛び上がって叫びました。
急に、お尻をギュッと強くつままれたのです。
振り返るとそこには、ガララほどもある大きなアリがこちらを睨みつけているのでした。
逆三角形の目をして、力強そうな顎を まるで抗議するかのように大きく開いています。
推測するに ガララの何らかの行為が このアリ「ジャンボアント」の逆鱗に触れ、強く噛まれてしまったのでしょう。
それにしても これほど大きなサイズのアリが目の前で威嚇する、その迫力といったら!
周囲の茂みからガサガサと音がしたかと思うと 同種のアリが二匹 姿を現しました。
蛇に睨まれた蛙のように固まっていたガララは、さらに尻餅をついてしまいました。
アリたちは まるで相談するかのように互いに触角をつきあわせ、なにやら交信しています。
ガララはその様子を 金縛りにあったかのようにただ見ていることしかできませんでした。
ですが、 “これは僕が先に見つけたんだ!”
急いで星粒の石に 自身の香りをこすりつけマーキングし、両腕で石を抱え込むと アリの隙をついて逃げ出しました。
ピョンピョン!ピョンピョン!
しかし、少し走ったところで またもやお尻を強く噛まれ、派手に転げてしまいました。
その拍子に 手から離れた星粒の石は流星のようにコロコロと、ガララの手の届かないところまで行ってしまうと やがてそこで止まりました。
走り寄ってきた三匹のアリは、ますます目を釣り上げてガララをグルリと取り囲みます。
そして 地面にうつ伏せになって倒れている彼のチョッキを顎ではさんで、強引に引っ張り上げました。
彼女らはそうやって ガララを無理やり立たせてから、まるで「言う通りにしろ」とでも言いたげに何度も 頭で背中を小突きました。
それでもガララは、アリの目を盗んで逃げ出そうと試みます。
しかし アリはすべてを見透かしているらしく、そくざにまわりこんで その行く手を阻むのです。
観念したガララはヒリつくお尻をさすりさすり、周りを取り囲む彼女らに導かれるまま、しばらく歩かされてしまうのでした。

「言う通りにしないと刺すぞ!」とおどすかのようです
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三匹のアリが歩みを止めたのは 象牙色をした巨大な塔の前でした。

外壁は泥や蝋で造られているようで、近くで見ると小柄なアリたちが一生懸命 壁作りにはげんでいました。
入り口には丸い扉があり それは開いているのですが、 閉まらないようドアストッパー・・・それもサンダルできちんと固定されているのです。

“おかしいな。アリってのは、地面に穴を掘るものばかりではないんだな。それに僕らと変わらずドアを設置したり、ストッパーの使い方だって覚えたりもるする・・・?”
なんとも不思議な虫だなぁと、興味深く観察するガララをよそに、ジャンボアントたちは当たり前のようにせわしなく出入りしています。
ガララを連れている三匹のアリは、玄関に入ってからすぐ横にたたずんでいる体格のいいアリ「門番アリ」と それぞれ互いに触覚をくっつけ、挨拶を交わしました。
恐怖で身をすくめているガララの存在に気づいた門番アリは、大きな頭部を傾け触覚で彼の体をツンツンと触りました。
くすぐったくなり 思わず声を上げて笑いました。
アリたちは あいかわらず 逃げることができないようガララを真ん中にして取り囲み 塔の奥へと進んでいきます。
内部は薄暗く、土埃やカビ、それからアリの放つフェロモンの入り混じった複雑なにおいが 湿気とともに漂っていました。
狭い通路はいくつも分岐しており、扉のある部屋、ない部屋がポツポツとまばらに設けられています。
難易度の高い迷路のようで、帰り道のことを思うと とにかく目眩を覚えるほどでした。
大抵の者は、一度入るといつまでもさ迷い歩くことになるでしょう。
