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    ガララが目的の山へたどり着いた頃には、青かった空は茜色へと変わり夕闇が迫ってきているようでした。
    眼前に立ちはだかる木々は風に揺らされザワついています。
    そのさまはまるで、ガララにおいでおいでと手招きしているように見えました。

    山の入り口へ着くと ご丁寧に看板が立っていました。
    ボロボロの木の板に 色褪せたペンキで「↑コガネ山 →空き家」と殴り書きしてあります。
    ”もう日も暮れかけているし今から入山するのは危険だろう・・・。”
    今日はひとまずこの家へ泊ろうと、ガララは 看板の指し示す方へと向かいました。

    少し歩くと・・・
    ああ、ありました、ありました!
    簡素な造りのこじんまりとした木のお家です。
    一つ大きな窓が付いていましたので、何の気もなしにガララは中の様子を覗き見しました。
    “誰かいる!”
    どうやらそこは、空き家ではなく先約がいたようです。

    この家の住人はちょうど夕食の最中のようでした。
    スプーンでスープをすくいとると口をすぼめ、フウフウしながらそれを啜っておりました。
    口にふくむ度に、ウットリとした表情を浮かべています。

    このアナグマの男はしばらく 夢中で飲食しているようでした。
    しかし ガララの熱視線を感じたのでしょうか、ふと窓のほうに目を向けました。


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    「あぎゃあ!」
    アナグマの男はそう叫んだ直後に ドスンッ!
    椅子から後方へ派手に転げ落ちてしまいました。

    「ビックリした!誰だよあんた!」
    男の怒声は外にいるガララの元までしっかり漏れ響いてきました。
    なかなか起き上がれないようで手足をバタつかせています。
    どうしよう…オロオロうろたえていますと 勢いよく玄関のドアが開き 男はガララの前で仁王立ち。
    そして、よりいっそう声を張りあげました。

    「そんな所で何してんだって、おだは聞いているんだよう!」
    「ご、ごめんなさい。ぼく、今晩泊まる家が欲しくって。」
    ガララは上目遣いでしどろもどろ答えました。
    「泊まる?いったい何用で?」
    男はいぶかしげに眉をひそめます。
    そして ガララのその小さな体にぐいと鼻を押し付けクンクンクン。
    匂いを嗅ぎまわりました。

    「ぼく、ガララって言います。ミルク色の石を探しにここまでやってきたんです。」
    男はしかめっ面のまま 手に持っている袋から赤い楕円の木の実を取り出し、次々に口へと放り込んでいます。
    ガララはフェンネから依頼されたシルクジェムの資料を男へ差し出しました。

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    「ジェムの資料」

    この資料は簡単に言うと、石図鑑を引きちぎった一ページでやんす。
    ガララたちサルの一族「マシラ族」は 他の獣に比べて知能が高く、調べものをしたり実験をしたり とにかく頭を使うのを好むインテリジェンスが数多くいるんでゲス。
    インテリは思考するためにさまざまなデータを欲しやす。
    そこで情報交換の場「マシラコネクト」なる会員サークルを立ち上げ、知的探求心の強いサルを集い それぞれ興味のある分野別にチームを作って日々研究に勤しんでいるんでゲス。

    ガララの所属チームはもちろん石愛好者が集う「石拾いマシラーズ」。
    そしてこの図鑑こそが、彼ら石オタクの汗と涙の結晶でやんす。
    図鑑には石拾いマシラーズが発見し調査した石のアリカ・性質など さまざまなデータを、ほどよく載せている模様。
    しかし残念ながら、アッシらハエは腹も膨れぬ無機物なんかに興味は持てないタチでね。
    美しい石によく似た美味い物、琥珀糖ならいつでも探索に同行しやすがね。

    それでは ブン、ブーン!




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