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「ぼくの探してる石はこれ。ねえ、この山にあるのでしょう?」
ガララは大きな目をひときわ輝かせて尋ねました。
「どうかな。おで、ここにもう何年も住み続けているけど、そんなものお目にかかったことがねえや。」
「そうですか・・・。じゃあこの資料に載っていることは間違いなのかな。」
資料には恐ろしいと噂の“コガネ山で稀に見つかる”とだけ記されています。
違っているのなら、ほおっておかずに修正しなければなりません。
「フン、おでのナワバリの中では見たことがねえってだけだ。そんなことより・・・。」
相変わらず男は 袋から木の実を取り出しては次々に口へと放り込みます。
「いいかい、あんた。ここは実に良い所だよ。草木がうっそうと茂り美味い虫でいっぱいだ。無いのは トレードセンターとおたくの探している石くらいさ。」
そして顔を近づけて厳しい口調で言いました。
「それでももし この山であんたがその石を見つけることができたのなら、かわりにあんたはもうそこにはいないってことかもしれない。」
そこにはいないってどういうことでしょう。
忠告の言葉を聞いたガララの耳はだんだん しおれていきました。
肩を落とすガララの様子をみかねたアナグマの男は、彼が手に持っている地図を強引に掴みとりました。
「ココとココとココ。それとココ・・・ココもだ。」
自身の内ポケットから赤い鉛筆を取り出して、地図上にぐるぐると丸を描き込みます。
「今 シルシた場所は おでのナワバリだ。おでの知る優しい山はここまでだ。あんたの探し物があるとすりゃおでの立ち入らない場所にあるはずだ。でもよ・・・」
今度は ほがらかにウインクを飛ばします。
「これからあんたが踏み入るのはそんな危険な所じゃないぜ。おでの豪邸へ行くんだ!」
ガララの肩をポンポンと叩いて手招きし、さっさと家の中へ入っていってしまいました。
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アナグマの男は自身をムブと名乗りました。
椅子にガララを着席させるなり鼻歌交じりに、キッチンで料理を作り始めます。
「お客を招いたのは何年ぶりだろう、腕が鳴るど!」
メロディーにのってお尻をフリフリ、ガララの前へせっせと食器を運んできては並べました。
皿の上には花粉パンとバターピーナッツスープ、それからオタンコナスのソテーにタンドリーコガネ。
飲み物は熱々のたんぽぽミルクです。
ガララはちょうどお腹が減っていましたので それらを喜んでいただきました。
(リュックにはバナナチップスを常備していますが、今後の探検のために取っておいた方がいいでしょう。今夜はムブのご好意に甘えることにいたしましょう。)
ムブとおしゃべりしながらの夕食はたいへん賑やかなものでした。
料理といえば、野菜はじゅうぶん切り刻まれていなかったりコガネムシはところどころ焼け焦げていたり。
気になる点はいくつかありましたが、どれも新鮮さがあり 素朴な味付けはガララの口に合いました。
ムブはこの山でどのように暮らしているのか、また、どんな石を見つけたかなど身振り手振りを交えて教えてくれました。
そして ガララが大事そうに持っているペンデュラムをしげしげと見つめ、振り子の先を指し示し「精霊はいるのか?」と尋ねました。
「精霊って それ、何だい?」
小首をかしげながらガララが聞き返しますとムブは、「おでもよく知らないのだが」と前置きをしてこう説明しました。

「ペンデュラム」
ペンデュラムとは 石探し時に使用する振り子のような石探知機でやんす。
ペンデュラムの振り子の先には特殊な石「ジェム」がくくりつけられており、希少な石の近くではユラユラ揺れ動いて アリカを知らせてくれるんでゲス。
そんな不思議な魔力を秘めるジェムですが 色々と種類がござんして。
石内部には 例えば我らハエ一族の太古の祖先が混入しているものもあればラッキーなことに
火、水、風、土の精霊といった摩訶不思議な生き物が住み着いている場合もございやす。
実にロマンがありますだショ?
では ブン、ブーン!
