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「撫子さんず孊ぶ 䌚蚈事務所の仕事」 新芏顧問先担圓線⑊

    第䞃章 䞉぀の䌚蚈゜フト、四぀の遞択肢

    「自分で垳簿も決算曞も、ちゃんず読めるようになりたいんです。だから――自分で぀けたい。ご指導、お願いしたす」
    加奈子さんの声は震えおいたが、目だけはたっすぐだった。

    「もちろんですわ」
    み぀子さんが勢いよく立ち䞊がった。
    「この絹延橋み぀子が、金柀金属にふさわしい䌚蚈゜フトを遞んで差し䞊げたす。いわば経理界の䞉囜志――最埌に倩䞋を取る䞀瀟を、本日ここで決めたすわよ」
    いや、䞉瀟を比范するだけである。
    しかも倩䞋を取るのではなく、金柀金属で䜿う゜フトを䞀぀遞ぶだけだ。

    撫子さんが苊笑しながら、テヌブルの䞊を片づけた。
    「勝ち負けを決めるわけではないわ。䌚瀟によっお、合う゜フトが違うの。今日は䞉瀟を比べおみたしょうか」

    加奈子さんがノヌトを開く。
    「䞉぀、ですか」
    「匥生䌚蚈、マネヌフォワヌド クラりド䌚蚈、freee䌚蚈ですわ」
    「䞉぀ですね」
    「ただし、匥生䌚蚈はデスクトップ版ずクラりド版のNextを別々に比べたす。䞉瀟、四候補ですわ」
    「パ゜コンは䞉台なのに、候補は四぀なんですね  」

    み぀子さんは䞉台のノヌトパ゜コンを、テヌブルぞ次々に䞊べた。

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    「䞉台も持っおきたんですか」
    「比范ずは、同じ条件で行うものですの」
    どこから取り出したのだろう。いや、それ以前に、ピンクのフィアット500――セバスチャンの積茉量を少し芋盎す必芁がありそうだ。

    

    「では最初に、匥生䌚蚈のデスクトップ版ですわ」
    み぀子さんが䞀台目の画面を開いた。衚瀺された振替䌝祚ぞ日付、勘定科目、金額を入れるず、指がほずんど迷わず次の欄ぞ進んでいく。
    「速い  」
    加奈子さんが目を䞞くした。

    「垳簿、䌝祚、仕蚳日蚘垳の圢で入力できたすし、テンキヌずショヌトカットを䜿えば、倧量の仕蚳も軜快に凊理できたすの。補造原䟡科目、郚門管理、固定資産、決算曞、消費皎申告曞たで、䌚蚈実務に必芁な機胜がよく緎られおいたすわ」
    「クラりド党盛の時代に、ロヌカルぞむンストヌルする゜フトを華麗に操る――。これぞ䌝統ず革新の融合ですわね」
    いや、いた自分で䌝統ず蚀った。

    撫子さんが画面を芋ながら付け加える。
    「銀行明现や取り蟌んだ蚌憑から仕蚳を䜜る機胜もあるから、“デスクトップ版は党郚手入力”ずいうわけではないわ。長幎䜿われおきた補品だから、䌚蚈事務所偎に操䜜経隓が蓄積されおいるこずも倚いわね」
    「では、これが䞀番いいんですか」
    「有力な候補よ。それに、デスクトップ版でも、匥生ドラむブを䜿えば䌚蚈事務所ずデヌタを共有できるわ。USBやメヌルで受け枡さなくおも、同じ事業所デヌタを䌚瀟ず私たちが開いお、確認や修正をできるの」

    「ただし、䌚瀟ず䌚蚈事務所が同時に開くこずはできたせんわ。どちらかが䜿甚䞭なら、もう䞀方は埅぀必芁がありたす。それに、利甚にはあんしん保守サポヌトぞの加入ず、最初の共有蚭定が必芁ですの」
    み぀子さんは、画面の隅を指した。
    「スタンダヌドやプロフェッショナルなら事業所デヌタを盎接共有できたすが、プロフェッショナル2ナヌザヌやネットワヌクは扱いが異なりたす。その堎合は、バックアップファむルを匥生ドラむブで受け枡す方法などを遞びたすわ」
    「耇数人で同時に䜿うなら、察応する䞊䜍補品やネットワヌク環境も怜蚎が必芁ずいうこずね。幎床ごずの曎新や、䜿う端末の管理も䌚瀟偎のお仕事になるわ」

    加奈子さんが、机の隅にあるノヌトパ゜コンを芋た。
    「このパ゜コンが壊れたら、垳簿も芋られなくなるんですね」
    「パ゜コンの䞭だけに保存しおいたらね。匥生ドラむブに眮いおおけば、端末が故障しおもデヌタはクラりド偎に残るわ。ただ、それで䜕も考えなくおよくなるわけではない。誰が入力し、い぀䌚蚈事務所に確認を頌み、䜿甚䞭のデヌタを誰が閉じるのか。そこたで決めお初めお運甚になるの」

    俺はノヌトに曞いた。
    ――匥生䌚蚈・デスクトップ版。
    利甚者偎の長所は、垳簿や䌝祚の圢が分かりやすく、倧量入力が速いこず。補造業の䌚蚈や決算に必芁な機胜も充実し、匥生ドラむブを䜿えばデヌタの保管ず䌚蚈事務所ずの共有もできる。短所は、むンストヌル、曎新、利甚端末の管理が必芁で、共有蚭定や察応補品の確認も欠かせないこず。離れた盞手ずの同時利甚はできない。

    皎理士偎の長所は、䜿い慣れた担圓者が倚く、仕蚳の点怜や決算凊理を進めやすいこず。匥生ドラむブなら、ファむルを埀埩させず同じ事業所デヌタを確認・修正できる。短所は、䌚瀟偎ず同時には開けないため、入力ず確認の時間を調敎する必芁があるこず。補品の皮類によっおは、事業所デヌタの盎接共有ではなくバックアップファむルの受け枡しになる。

    「続いお、クラりド版の匥生䌚蚈 Nextですわ」
    み぀子さんが同じパ゜コンのブラりザぞ切り替えた。
    「同じ䞀台に二人の匥生  。䞀぀の玉座を巡る、もう䞀぀の戊いが始たりたすわね」
    だから戊わせなくおいい。

    加奈子さんは画面をのぞき蟌んだ。
    「こちらは芋た目が、すっきりしおいたすね」
    「ブラりザで䜿うからむンストヌルは䞍芁。䌚蚈、請求曞、経費粟算をたずめお始められたす。銀行明现やカヌド明现の取り蟌み、蚌憑の読み取り、補造原䟡報告曞にも察応しおいたすわ」
    「デヌタがクラりドにあるので、堎所を倉えおも同じデヌタを芋やすい。端末ごずに䌚蚈デヌタを持ち運ぶ必芁もないわね」

    「私みたいな初心者には向いおいたすか」
    「候補になるわ」撫子さんが答えた。「画面の案内に沿っお始めやすいし、分からないずきの盞談先もある。ただし、デスクトップ版ずNextは、同じ匥生でも操䜜や運甚が同じではないの」
    「同じ名字でも、別人ずいうこずですわ」
    み぀子さんが神劙にうなずいた。
    いや、補品名の話だ。
    「䌚蚈事務所がデスクトップ版に慣れおいおも、Nextでの共有やチェック方法は改めお敎える必芁がある。利甚人数や必芁な機胜によっおプランも確認しないずいけないわ」

    俺は二行目を曞いた。
    ――匥生䌚蚈 Next。
    利甚者偎の長所は、むンストヌル䞍芁で、画面の案内に沿っお始めやすく、請求や経費を含めおクラりド䞊で扱えるこず。短所は、埓来の匥生䌚蚈ずは操䜜が異なり、必芁な機胜ず利甚人数に合うプランを確認する必芁があるこず。

    皎理士偎の長所は、顧問先ず堎所を問わずデヌタを確認しやすく、申告゜フトぞ぀なぐ手段もあるこず。短所は、事務所がデスクトップ版䞭心なら、Nextに合わせた新しい運甚ず担圓者教育が必芁になるこず。

    

    「二番手は、マネヌフォワヌド クラりド䌚蚈ですわ」
    二台目の画面が開く。
    「銀行口座やクレゞットカヌドずのデヌタ連携が埗意です。明现を取り蟌んで、過去の登録内容から仕蚳候補を出しおくれたすの」

    加奈子さんの目が少し明るくなった。
    「じゃあ、通垳を芋ながら䞀件ず぀入力しなくおいいんですね」
    「候補を䜜るずころたでは、です」
    撫子さんが、やさしく念を抌した。
    「自動で取り蟌たれた明现が、自動で正しい垳簿になるわけではないの。勘定科目、消費皎区分、取匕先、二重登録がないか。最埌は人が確認する必芁があるわ」

    「自動仕蚳ずは、自動で責任たで匕き受けおくれる仕蚳ではありたせんのよ」
    「なんだか急に重い蚀葉ですね  」
    「䌚蚈ずは、そういうものですわ」
    さっきたで䞉囜志ず蚀っおいた人ず同䞀人物ずは思えない。

    み぀子さんは、絊䞎、勀怠、請求曞、経費粟算の画面を順に芋せた。
    「同じシリヌズのサヌビスを組み合わせれば、絊䞎や経費のデヌタを䌚蚈ぞ流せたす。金柀金属のように、これからバックオフィス党䜓を敎えたい䌚瀟ずは盞性がいいですわね」

    「皎理士事務所からも芋られるんですか」
    「公認メンバヌの事務所なら専甚画面から閲芧・操䜜できたすし、そうでなくおもメンバヌずしお招埅できたす。仕蚳垳や元垳をCSVやPDFで枡す方法もありたすわ」
    「それは、こちらずしおも確認しやすいわね」撫子さんが蚀った。「補造原䟡科目を䜿う蚭定にすれば、補造原䟡報告曞も䜜れる。材料費、工堎の人件費、補造経費を分けお芋たい金柀金属には倧切なずころよ」

    加奈子さんはうなずきながら、画面を觊っおいる。
    「でも、機胜が倚いですね。䌚蚈、絊䞎、勀怠、経費、請求曞  」
    「そこが短所にもなりたすの」
    み぀子さんが指を立おた。
    「党郚を䞀床に入れれば、蚭定するものも、芚えるものも増えたす。料金も、䜿うサヌビスやプラン、人数で倉わりたすわ。最初から完党歊装するず、経理担圓者が装備の重さで動けなくなりたすのよ」
    完党歊装を勧めそうな本人が蚀うず、劙に説埗力がある。

    俺は二぀目の欄ぞ曞き蟌んだ。
    ――マネヌフォワヌド クラりド䌚蚈。
    利甚者偎の長所は、銀行やカヌドずの連携が匷く、絊䞎、勀怠、請求曞、経費粟算ぞ広げやすいこず。短所は、サヌビスず蚭定が増えるほど党䜓を理解する負担ず費甚が増えるこず。
    皎理士偎の長所は、顧問先ずデヌタを共有しやすく、䞀般的な仕蚳垳や元垳の感芚で確認でき、補造原䟡も扱えるこず。短所は、顧問先が仕蚳候補を確認せず登録するず、もっずもらしい誀りが倧量にできるこず。それから、金融機関ずの連携が切れおいないか定期的な確認も必芁になる。

    

    「そしお䞉番手――freee䌚蚈」
    み぀子さんが䞉台目のパ゜コンを開き、なぜか䞀歩䞋がった。
    「加奈子さん。こちらではたず、この材料代の支払いを登録しおみおくださいな」

    「えっ、私がですか」
    画面には、収入、支出ずいった蚀葉が䞊んでいる。加奈子さんは案内に埓っお支出を遞び、取匕先ず金額を入力した。
    「借方ず貞方を入れなくおも、登録できたした」

    「freeeは、仕蚳䌝祚より先に“取匕”を登録する考え方が匷いの」
    撫子さんが説明した。
    「銀行やカヌドの明现を取り蟌めるし、領収曞を読み取っお登録するこずもできる。簿蚘を知らない人でも、実際のお金の動きから入力しやすい蚭蚈ね」
    「これなら私でもできそうです」
    「利甚者目線では、そこが倧きな長所ですわ。請求や経費粟算ず組み合わせるこずもできたすし、皎理士を招埅すれば同じデヌタを芋られたす。取匕や蚌憑ごずにコメントを残しお質問もできたすの」

    「では、欠点は」
    俺が尋ねるず、み぀子さんは埅っおいたしたずばかりに瞊ロヌルを払った。
    「簿蚘を知らなくおも始めやすいこずず、簿蚘を知らないたたでよいこずは、別ですわ」
    プレハブ事務所に声が響いた。
    工堎の方で、䜕か金属が萜ちる音がした。たぶん偶然だ。

    「登録を間違えたずき、売掛金や買掛金が合わないずき、決算で修正するずきには、結局、取匕の裏でどんな仕蚳ができたかを理解する必芁がありたす。それに、埓来の振替䌝祚や仕蚳日蚘垳に慣れた人は、考え方の違いに戞惑うこずがありたすの」
    撫子さんが続ける。
    「皎理士偎も、freeeの操䜜や取匕登録の考え方に慣れおいれば、リアルタむムで確認しおコメントできる。でも、事務所が埓来型の䌚蚈゜フトだけに慣れおいる堎合は、担圓者の教育が必芁になるわね」

    「補造原䟡報告曞は䜜れたすか」
    「法人の補造業向け機胜を有効にすれば䜜れたすわ。ただ、どの゜フトでも、蚭定を入れただけで補品別の原䟡が魔法のように分かるわけではありたせん。材料費、劎務費、補造経費をどう集めるかは、䌚瀟偎で決める必芁がありたすの」

    俺は䞉぀目の欄を埋めた。
    ――freee䌚蚈。
    利甚者偎の長所は、簿蚘の蚀葉に䞍慣れでも、実際の取匕から入力を始めやすいこず。銀行、カヌド、蚌憑、請求、経費を぀なぎやすいこず。短所は、独自の操䜜思想に慣れる必芁があり、耇雑な修正では裏偎の仕蚳を理解しなければならないこず。
    皎理士偎の長所は、顧問先ずリアルタむムに共有し、取匕や蚌憑単䜍でやり取りできるこず。短所は、埓来型゜フトずは確認の流れが違い、事務所偎にもfreeeを扱える人が必芁になるこず。

    

    テヌブルの䞊に、䞉台のパ゜コンが䞊んでいた。
    「結局、どれが䞀番いいんでしょう」
    加奈子さんが困ったように尋ねる。

    「その質問が、もっずも危険ですわ」
    み぀子さんが腕を組んだ。
    「䌚蚈゜フト比范の蚘事は、すぐに王冠を茉せたがりたす。でも、䌚瀟の経理に䞇胜の王様などおりたせんの」
    䞉囜志を始めた本人が、最埌に王政を吊定した。

    撫子さんは笑いをこらえるように口元ぞ手を添え、それから加奈子さんのノヌトを指した。
    「金柀金属さんの条件を、もう䞀床䞊べたしょう。加奈子さんは䌚蚈が初めお。入力するのは、圓面は加奈子さん䞀人。銀行やカヌドの入力は枛らしたい。将来は絊䞎や経費粟算も぀なぎたい。補造原䟡を芋たい。そしお、私たちず同じデヌタをなるべく早く共有したい」
    「はい」
    「それから、最初の数か月は私たちが毎月䞀緒に確認する」

    「デスクトップ版の匥生䌚蚈なら、入力の速さず決算機胜は申し分ありたせんわ」
    み぀子さんが、最初の画面をもう䞀床開いた。
    「金柀さんが䞀人で入力し、匥生ドラむブ䞊のデヌタを私たちず亀代で確認するなら、十分に有力です。ファむルを毎月送り盎す必芁もありたせん。むしろ仕蚳件数が増えれば、この操䜜性が恋しくなる日も来るでしょう」
    「ただ、匥生ドラむブでは、加奈子さんの入力䞭に私たちが同時に開いお確認するこずはできない。今の金柀金属さんは、月末たで埅たず、入力の途䞭でも私たちがすぐ状況を芋お、早めに間違いを盎せる方が安心ね」
    撫子さんの蚀葉に、加奈子さんがうなずいた。

    「でしたら――」
    み぀子さんが、マネヌフォワヌドの画面を手前ぞ匕いた。
    「今回は、マネヌフォワヌド クラりド䌚蚈を第䞀候補にいたしたしょう。銀行連携から始めお、仕蚳垳の圢で䞀緒に確認しやすい。補造原䟡も扱える。絊䞎や経費は、必芁になった順に远加したすわ」
    「党郚、最初から入れないんですか」

    「入れたせん」
    撫子さんが答えた。
    「最初は䌚蚈ず銀行連携だけ。入力ず確認の流れが萜ち着いおから、絊䞎や請求ぞ広げたしょう。仕組みは、䞀床に倧きく倉えるほど倱敗しやすいから」

    加奈子さんは、䞉瀟四候補の画面を順に芋た。
    「freeeが䞀番簡単そうに芋えたした。でも、私は決算曞を読めるようになりたいです。だったら、仕蚳の圢も少しず぀芚えたい。マネヌフォワヌドでやっおみたす」
    その声は、さっきより少しだけ萜ち着いおいた。
    自分で比べお、自分で遞んだからだろう。

    「決たりですわね」
    み぀子さんが高らかに宣蚀し、䞉台のパ゜コンを䞀気に閉じた。
    「では盎ちに、金柀金属経理近代化蚈画・第䞀段階を開始したすわ」
    「名前が重すぎたせん」
    「雅之くんは、開始残高の埩元担圓です」
    「仕事たで急に重い」
    撫子さんが、くすくす笑っおいる。

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    加奈子さんも䞀瞬きょずんずしたあず、小さく吹き出した。
    工堎の事務所に、初めお笑い声が重なった。

    ゜フトは決たった。
    けれど、たっさらな䌚蚈デヌタぞ最初に入れるべき数字――前期末の残高は、ただどこにもない。
    郚屋の隅には、「昔の曞類」ず曞かれた段ボヌル箱が積たれおいる。

    み぀子さんが、その箱を芋お埮笑んだ。
    「次は、倱われた貞借察照衚の発掘ですわね」
    いや、今床は考叀孊が始たるらしい。

    第八章に぀づく・・・


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