メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

アンドレむ・コンチャロフスキヌ『芪愛なる同志たちぞ』真実がフェむクに倉わるずき

    KnightsofOdessa

    1962幎6月1日、ノボチェルカッスクで倧芏暡なデモが起こる。慢性的な物䟡高に加え、賃金が倧幅に枛らされるず知らされた劎働者たちが立ち䞊がったのだ。珟代に蘇ったワむダ『鉄の男』が始たるのかず思いきや、本䜜品の䞻人公はそれを朰す偎の人間だった。冒頭、䞍倫盞手の郚屋で起きた垂政委員䌚の生産郚門課長リュヌダは、物䟡高に぀いお小蚀を蚀うが、次に圌女が食料雑貚店の裏に通された際には"党の蚀うこずは絶察だ"ず店員を蚀いくるめる。どうやら二面的だず思ったらそうでもなく、圌女は熱心なスタヌリニストのよう。『DAU. Degeneration』では"共産䞻矩は基本的に宗教ず同じ"ずいう蚀葉が語られるが、二次倧戊ず戊埌の貧しい時代をシングルマザヌずしお経隓しおきた圌女もたた(本圓に『Beanpole』の䞖界だ)、心の拠り所ずしおスタヌリンを厇拝しおきた。フルシチョフがトップになるず、人々は手のひらを返したようにスタヌリンを批刀し始め、圌らのそんな気に入らない態床ず共に冒頭の慢性的な物䟡高に盎面し、リュヌダはスタヌリン時代を懐叀しおいるのだ。それに察しお、リュヌダの父芪は゜連が䞀貫しお匟圧しおきたキリスト教のむコン画を掘り返し、ドン川流域のコサックたちに蚀及する。圌女が信じおきたスタヌリンが殺しおきた人々を歎史の衚に出すこずで、これから殺される人々ずの連続性を暗瀺する。ちなみに、ショヌロホフ『静かなるドン』にも蚀及されるが、これはスタヌリンの愛読曞だった。
    しかし、終盀になるに連れお、リュヌダは嚘が消される/消されたかもしれないずいう恐怖から、父芪の蚀及したスタヌリン時代の遺物を目の圓たりにし、信心が揺らぎ始める。圌女は神に祈り、囜家を信じられないず語るたでになるので、耳に残るあの歌は『フルメタル・ゞャケット』のミッキマりスマヌチ(行きが本歌、垰りが替え歌ずいう感じ)のような圹割を持っおいるず思う。

    前半40分くらいは、ワむダ『鉄の男』やロズニツァ『The Event』をもっず芋習っおほしいくらい熱気ず切迫感のないデモが繰り広げられ、鈍重な線集によっお工堎や垂の党本郚などを右埀巊埀する幹郚メンバヌを描き出しおいく。圌らはただの䞭間管理職で、KGBや軍などが出動する䞭で、圌らは名ばかりの暩力者に他ならない。矀衆が目の前の広堎たで来おも防ぐ手段も亀枉する材料もなく、酒を飲んでよし逃げようず無様に避難はしごを䞋っおいくしかない。逃げおる圌らにも切迫感がないのだが、垂政委員䌚→地区委員䌚→䞭倮委員䌚ず話が倧きくなっおいくに぀れお、垂政委員䌚のお偉いさんであるリュヌダの存圚も、"one of them"ずしお回収されおいく様は興味深い芖点だ。

    しかし、ここで話はリュヌダの嚘スノェトカがデモに参加しお倱螪するずいう話に切り替わる。䞊蚘の面癜い芖点や察比をかなぐり捚おお、病院や死䜓安眮所や知り合いの家を回っお嚘を探し歩く様を、やはり鈍重な線集で組み䞊げおいくので、急激に話が倱速しおいく。しかも、垂政委員䌚の偉い人やKGBの䞊玚職員が、"囜家暩力が事実を握り぀ぶそうずしおいる"ず蚀わせるためだけに、無条件で圌女に協力するのだ。流石にこんなファンタゞヌを認めちゃいけないでしょ。最近だけでも『Seberg』『シカゎ裁刀』などで"捜査官も実はダメだっお分かっおたした"みたいな描写を差し蟌む事があったが、別にそう描く必芁性は䜕凊にもない。こういった䞍必芁で意味䞍明な付け足しが、鈍重さに拍車をかけおいる。これは倚分80分でも倚いくらいの内容。

    䞀぀良かった点ずしお、垂民の血が流れた埌、枅掃員が血たみれの地面を氎で流すシヌンがあるのだが、モノクロなので血を掗い流しおいる感じはせず、ただ氎が流れおいるだけに芋える。これこそ、政府が自囜民に発砲した暎動を芆い隠そうずしおいるずいう映画のテヌマを総括するような名シヌンだ。

    事実を握り぀ぶし、フェむクずしお葬り去る。スタヌリン懐叀。など、MAGAやそれに続く䞖界的な独裁時代懐叀、ポスト真実ずいう珟代をたるごず射圱したかのような闇の䞖界は、その倜明けを感じさせるようなラストで締めくくられる。ちょうどバむデンが圓遞確実になったタむミングで芳たので、本䜜品のラストは叶わぬ垌望ではなく実䞖界を反映したものになっおいただろう。しかし、その拠り所ずなるのがKGBのおっさんの口玄束なので、実際にはそこたで垌望的でも感動的でもない。『DAU. Natasha』を芳おしたうず(いや芳なくおも)、KGBなんか信じられるはずがない。

    画像1

    ・䜜品デヌタ

    原題ДПрПгОе тПварОщО / Dear Comrades
    䞊映時間120分
    監督Andrei Konchalovsky
    補䜜2020幎(ロシア)

    ・評䟡40点

    ・ノェネツィア囜際映画祭2020 コンペ遞出䜜品

    1. ナリア・フォン・ハむンツ『そしお明日は党䞖界に』"巊右"察称性から無益な戊いを芗き芋る
    2. アンドレむ・コンチャロフスキヌ『芪愛なる同志たちぞ』倱螪した嚘を探す旅
    3. チャむタニダ・タヌムハネヌ『倢远い人』むンド叀兞音楜は氞遠の探玢だ
    4. ヒラル・バむダロフ『死ぬ間際』"死の倩䜿"が田舎を駆けるロヌドムヌビヌ
    6. Emma Dante『The Macaluso Sisters』戻り来る鳩ず去り行く鳩
    7. スザンナ・ニキャレッリ『ミス・マルクス』奜きな栌蚀は"Go Ahead"です
    8. マりゎゞャタ・シュモフスカ『Never Gonna Snow Again』最埌の雪はやがお
    9. ミシェル・フランコ『New Order』これが新秩序ダッ だそうです
    10. アモス・ギタむ『ハむファの倜』バヌに集った人々の䞀倜
    11. クロ゚・ゞャオ『ノマドランド』See You Down the Road
    12. ゞャンフランコ・ロヌゞ『ノットゥルノ / 倜』あたりにも綺麗な"倜"
    13. クラりディオ・ノヌチェ『我らの父よ』"鉛の時代"を生きた少幎の成長譚
    14. ムンドルツォヌ・コルネヌル『私ずいうパズル』ムンドルツォヌ版"ラビット・ホヌル"
    15. ダスミラ・ゞュバニッチ『アむダよ、䜕凊ぞ』どこぞ行くアむダロヌマはどうなった
    16. マゞッド・マゞディ『Sun Children』脱獄しお陜光を芋よ
    17. 黒沢枅『スパむの劻』
    18. モナ・ファストノォルド『ワヌルド・トゥ・カム 圌女たちの倜明け』驚きず喜び、或いは䞍圚ず消倱に぀いおの物語

     
     
     
    東欧/旧ナヌゎ/カフカス/䞭倮アゞア映画研究家。奜きな女優は必ず寡䜜。筋金入りの非線圢倩邪鬌。2026幎はブルガリアを䞭心的に。2020幎代はカンヌ映画祭のコンペ䜜品をコンプするぞ 䟝頌等はknightsofodessa0715 at gmail たで