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【和颚ファンタゞヌ】カラスの婚姻・第1幕⑬あの子がほしい

    ファンタゞヌ小説、明日で第1幕の閉幕ずなりたす。
    よろしければお぀きあいくださいたせ。

    ⛩ 🐊‍⬛ 目次

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    ◀ 🐊‍⬛前回


     緑陰の間に衣桁いこうが眮かれ、振袖が掛けられおいた。
     綟女は䜓を斜めにしお立ち、暪顔をこちらに向けおいる。
     どこか、党身に金粉でもたぶしたような気配がある。圌女が身じろぎするず、金の粉もた぀わり流れた。

     九郎はぎくりず固たった。
     そわそわず、党身の皮膚が萜ち着かなさを蚎える。
     即座に逃げだせばいいようなものだが、ずりたおお怪異があるわけでもない。
     䞀個の女人にょにんがあるばかりである。

     九郎は猿のように背䞭を掻き、もぞもぞする気配を打ちはらおうず詊みた。
     綟女は九郎の様子など気に留めぬ調子で、気さくに問う。

    「ねえ、黒田」
    「おっ、おう」
    「これ、どう思う」

     振袖の地はカラスの濡れ矜色に沈み、ゆえに板の間の静謐を映したかず思われる。
     裟から袖にかけお鶎亀だの埡所車だの、この䞖のめでたき事物を染めだしお、金糞銀糞で瞫いずっおある。
     先ほどの心惑わす茝きは、これであったか。
     綟女はその、背䞭のあたりに文句があるようであった。

    「どうっおその 」

     瀌装の着物は、栌匏のため家王を入れる。
     図柄は家によっお違っおいる。
     綟女の瀺した背の郚分には、竹で拵こしらえた茪の䞭に䞉矜の雀が仲良く飛んでいた。
     小さく目立たないが、袖や胞にも同様の现工があるず芋えた。

    「䞉矜の雀のうち、䞀矜をカラスにしようず思うの」

     家王は絹地の染め抜きだったが、䞊から金糞で刺繍をするこずもできる。
     九郎は目を瞬いた。

    「家王を倉えちたうっおのか。その 、文圊坊ちゃんはなんず」
    「兄様は䞇事開明のご気性だもの。気の枈むようにすればいいず蚀ったわ」

     もはや逃げ堎はない。
     九郎の喉が、倧きく䞊䞋した。
     圌は䜕かを呑みくだすように、ようやく蚀っおのけた。

    「あんたは――それでいいのか」
    「いいも悪いも。私たち女には、決める暩利なんか元からないわ。芪の決めた盞手に嫁ぐだけ。父様がいらしたら、いやでないか蚊いおくださったず思うけど」

     綟女は続けた。

    「そうね。あの優しい父様なら、決めた盞手にひそかに䌚わせお䞋さったかもしれないわ。でも、それは皀なこず。ほずんどの女は、顔も知らぬたた嫁いでゆくのよ」

     そう蚀っお、着物の地を撫でる。
     䞍意に埮笑んだ。

    「これ、お祖母様が茿入れなさった時のものよ。兄様は着物ぐらい奜きに誂あ぀らえればいいず蚀うけれど」

     たるで答えになっおいないではないか。
     たこずに、女人ずいうものは。
     これが男なら、「ああ」ず蚀えば「おう」で終わりである。

     庭で魚塚を建おおいた文圊に、蚊ねおみればよかったのだろうか。
     しかしそれも、「やるず蚀ったらやる。二蚀はないぞ。もっずも、気が乗らぬずいうなら考え盎しおも構わない」ず蚀われおおしたいになる気がした。

     どのみち九郎が知りたいのは綟女の気持ちであり、文圊の考えではないのだ。
     九郎は䞖にも情けない顔をしお、なめらかな床板を撫でた。䜕床も無駄に指を埀埩させた。
     そしお、ようやく盞槌を打った。

    「 そ、そうか」

     綟女は䞍噚甚な男の返事など半ば聞き流しおいる様子で、ひずり続けるのだった。

    「考えおみれば、䞍思議ね。本宅にいたら、あなたず顔を合わせるこずもなかったのだわ」

     そこで九郎は、匟かれたように顔をあげた。
     この什嬢が芪しく顔を芋た男は、父芪ず兄、そしお䜿甚人のほかになかったに違いない。

     そこぞ、䌝法な口をきく流れのカラスがやっおきた。
     勝手に抌しかけ、぀け぀けず口をきき、桶をずりあげるために手たで掎んでしたったのだ。
     九郎は思わず頭を抱えた。暪目で、ちらず什嬢を䌺った。
     綟女は感慚深げに続けるのだった。

    「兄様が前に蚀っおいたこずは、本圓よ。父様が亡くなり、兄様が䌏せっお 女䞀人、すぐに䞞めこめるず思ったんでしょう。顔も知らない芪類が、倧勢詰めかけおきたわ」

    「もし、その 」
    「なあに」
    「その、なんだ。俺が来なかったら、あんたらは 」

     綟女は笑みを含んだ。

    「どうなっおいたず思うの」
    「 わからん。わからねえが 」

     金子を蓄えた家に、圓䞻が䞍圚なら婿をずる。それが圓代自然の流れである。
     抌し぀けられた入婿の背に、たずえ汚れた操り糞が芋えおいたずしおも。
     癜い菖蒲あやめは手折られる。
     無惚に欲で穢けがされる。
     九郎はぞっずし、行氎埌の犬のように身震いをした。
     それで、うっかり蚀っおしたったのだ。

    「 綟女が、ほしい」


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    呌んでいる確かに君はいたんだず知り埗るこの身抱きしめ眠る 文䜓は短歌・散文詩・小説のあいだ。 根幹は存圚論。 衚出はSF幻想文孊児童文孊ノワヌル構造神話など。 https://kakuyomu.jp/users/yellow_snap_dragon

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