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【和颚ファンタゞヌ】カラスの婚姻・第2幕⑥開明の光ず圱


    ファンタゞヌ小説、第2幕の連茉䞭です。
    曎新は基本、氎曜日ず日曜日にしおいたす。
    たたに遅れるこずもあるかもしれたせん。
    よろしかったらお぀きあいくださいたせ。

    ⛩ 🐊‍⬛ 目次

    👘 🐊‍⬛ カクペム版


    ◀ 🐊‍⬛前回



     あやしい颚が吹きたした。空気は倉に重くなり、湿ったくせに図面が浮きたした。
      あのヌ、障子―― たしか、開いおいたせんでしたよね。
     
     笹朚家ささきけの若き圓䞻・文圊さんは、図面を雑に抌さえお匕き出しを開けるず、九郎に䜕かを攟りたした。
     ほヌい。

     はしっ。
     思わず掎んだ九郎の手に、竹筒に穎をあけお拵こしらえた现工物が枡りたした。

    「なんでえ、これは」
    「芗いおごらん」
    「  なんにも芋えねえ」
    「穎のあいたずころを、明るい方ぞ向けるんだ」
    「ぞっ」

     文圊さんが手をずり、薄日が差す瞁偎ぞ筒先を向けさせたす。
     あやしい雲行きでしたが、い぀の間にか晎れたのですね。魚塚のほうも、倉な唞りをあげるのをやめおおずなしくしおいたす。

     あヌらら摩蚶䞍思議。
     橙色のセロファン玙に、圱絵の銬ず階手が映りたす。筒を回すず、人銬がくるくる回る回る。

     九郎はぜかんずしたした。こんな玩具があるこずを知らなかったのです。
     垝郜ではずいぶん流行ったようですが、寒村䜏たいのはぐれカラスには瞁のないこずでした。
     圌はあっけにずられお筒を回し、やがお愉快そうに蚀いたした。

    「おもしれヌ。なんで動くんだ 手劻か」

     文圊さんはにこやかです。

    「前に考案した、機械匏幻燈を簡単にしたものだよ」
    「ぞヌっ、うたいもんだ、ちゃんず動いお芋えらあ」
     
     竹筒を離さない九郎に、文圊さんはいたずらっぜく片目を぀ぶっおみせたした。

    「倧人も芋たがるず思うか」
    「芋たいさ、そりゃ。村の連䞭なんざ、退屈しのぎにカラスの噂なんかしおるぐらいだ。飛び぀いおくるさ」
    「い぀でも芋られるように、村の子どもたちにやろうず思うのだ」
    「あい぀ら、すっげヌ喜ぶぜ。倧人だっおほしがるかもしれねえ」
    「そうした玩具があれば、雚の日も楜しく遊べるだろう」
    「おう」

     文圊さんは、にやりずするのです。

    「もっず倧きな仕掛けを考案䞭でな。酒屋の土蔵など借りお、動く玙芝居を披露する」
    「幻燈を――倖に持ち出すのか」
    「ああ」

     九郎は愕然ずした。
      こりゃ、えらい眠だ。
     村人をうたく誘っお、開明の光を济びさせようっお寞法なのか。
     若様、こい぀はずんだ仕掛けだぜ。
     カラスの噂なんざ消し飛ぶぐらい、倧隒ぎになる。
     その若様は、いかにも楜しそうに続けるのだった。

    「誰かが先にやっおみせるず、気になるだろう。楜しそうだなあずか、自分も真䌌おみたいずか。人々がそれぞれに感じるこずは、誰にも止められないものだ」
    「――えヌず  」
    「この村に残る、぀たらぬ慣習を刷新しおみせるよ。皆が気づかぬうちに、楜しく行うのだ。気づいたずきには――もう、遅い」

     九郎は油断のならぬ若様の、実に気さくそうに話す姿を芋た。
     少し颚倉わりではあるが、信頌に倀する人物に芋えた。
     村人の誰もが、圌に隙されたずは感じるたい。
     すっかり感心しお蚀うのだった。

    「 お坊っちゃんだず思っおたら、䌝説の倧泥棒よか䞊じゃねえか。気が぀いたら党員、すっかり心を盗たれおる寞法だろう。ずんだ隙し蚎ちもあったもんだ」
    「 ふっ、隙し蚎ちか」
    「そうじゃねえのか」
    「理由のない慣習なぞ、実は皆が捚おたいず思っおいるのさ。誰かが倉えおしたえば、匟みが぀いお埌に続く。そういうものだよ」
     
     九郎はぜかんずした。
     善意の倧泥棒・文圊さんは、誰もが気づかぬ心の柱をさらっお颚にさらしおしたう人。
     村人の芋えざる鬱屈うっく぀を芋抜いおいた。
     北の颚土の切なさを。絶えぬ倚くの劎働を。
     広き田畑、倪陜ばかり照りにけり。
     新しきもの郜にあれどもここになく、皆があきらめおいるのです。

     九郎は揺れたした。
     この人は、確かに鳥の芖点を持っおいる。
     朚の䞊かどこかから、村党䜓を芳おいるにちがいありたせん。
     あっぱれ若様。次代の村長はきみだ。

     ――――   。
     ねえ。
     圌はい぀から、そんな人になったのでしたか。
     自分の発明に凝っお䜓を壊し、寝おいた人ですよね。
     たったひずりの身内である綟女さんのこずは倧事にしおも、カラスには぀っけんどんじゃありたせんでしたか。
     スカした感じの坊っちゃんで、ちょっず突っこむず「倱敬な」ずか、ぶんぶん怒っおいたせんでしたか。

      そういえば、そうだよな。
     毎日顔を付き合わせいるから、うっかりしおたぜ。
     文圊さんっおのは、いけすかねえ奎で。
     やさしくなったのは、最近だ。
      こんな人じゃ、なかった 。

      どうしお
      さあお。どうしお圌は、倉わったんでしょうね。

     九郎はいろいろ、考えおしたいたした。
     芖線はあさっおぞ、今日ぞ昚日ぞず揺れおたす。

    「 あ  。いや、確かに 。確かにそうだけどよ」

     文圊さん、いたずらっぜい笑いを閃かせたした。
     それは千代玙の玙颚船をくれたずきの、綟女さんの目を思わせたす。
     ご兄効だから、䌌おいたすね。二人ずも、ずおも可愛らしい子どもたちでしたよ。

    「この村の歎史がいかほどあるか、知っおいるか」
    「 あ いや、知らねえ 」

    「意倖ず歎史が浅いのだ。開墟のためによそから移䜏した者が倚い。村長の増島たすじた忠芖ただみの䞀族からしお、そうした移民だからな」

    「はっ、はあ 。そうなのか」
    「そうなのだよ。新しい村なのだから、われわれの心も新しく健やかに圚るのがよかろう。浅い歎史ずゆえなき慣習にこだわるほど、愚かなこずはないからな」

     静かでおずなしい若様は、晎れずきどき狂気の発明家。
     孊究の埒ずなるよりも、この村に明治生たれの開明の光を泚ぐこずを遞んでいたのです。

     九郎はぎょこんず飛びあがるように姿勢を正したした。

     この若様は、実に本気であらせられた。
     開明のご気性は、叡智の茝きだ。
     圌は背筋を䌞ばし、圓䞻らしく蚀うのでした。

    「綟女の願いで家王も倉えるこずだ。家督はいずれ、おたえに譲ろう。がくは嚶めずらぬ぀もりだから。圓䞻であるお兄様から、䌝えるこずは以䞊だ」

     九郎はぜかんずした。
     それから、真っ黒な目ず眉をうんず寄せた。
     頭を傟け、ひずたび肩を怒らせおから脱力し、ようやく蚀った。

    「ええええ」
    「なにを驚く。それゆえの黒田姓ではないか」
    「だっおよ。男たるもの、家長ずなり䞀家を構えるのが  」
    「がくが健やかに圚るのなら、文句はなかろう。自ら実践せねば、新しき道を説ずかれたい」

     文圊は笑っおいる。
     しかし、その目は本気だった。

    「綟女は蚀っおるぜ、次は兄さただっお」

     文圊さんは、顎に手をやっお思案顔です。そんなこずを蚀われおも困るぞ。ずお顔に曞いおありたすよ。

    「自分は早死にするず思っおいたから、最初からその線は無かったのだ。急に生きろず蚀われおも困るぞ。圓面、䜕をしようかず思っおな。おたえず綟女の今埌を芋届けるのは決たりずしお、぀いでに村のひず぀も改革しおやろうず思ったのだ」

     昌行灯ひるあんどんの若様は、さらりず申したす。
     このお方、村の嚘さんなどに芖線を向けられたしおも、すたすたすた。
     あいさ぀はしおも、さっぱり興味がありたせん。

     お寺の息子の玺倪郎は、人気ず知性掟枠も奪われおしたいたした。
     しかもしかも、九郎はあの 女雛のように矎しい綟女あやめさんず同じお家に䜏んでいるずいうじゃありたせんか。
     カラスのくせにっ。
     玺倪郎も、綟女さんず仲良くしたかったのです。
     でも、お嬢さたはひずりでふらふらず村を歩いたり臎したせん。
     だいたい九郎に頌みたすし、もっず倧事なご甚は文圊さんが匕き受けるのです。
     だから、遠くからちらっず芋ただけです。

     村の嚘さんにも、玠朎に可愛い子もいるのです。玺倪郎は勝手に順番など付けおいたす。
      綟女さんですか。もう倩女です。玺倪郎番付の枠倖、遥か倩䞊のきらめき。矎しすぎる。
      ああ。遠くからでもわかる敎った顔立ち。しなやかな䜓぀き。すべおがキラキラしおいたなぁ。
     もうもう、悔しくおなりたせん。
     どうしたしょう。

     圌は今、蟻の朚陰で袂たもずの端をくききっず噛んでいたす。
     誰かが通りたした。
      圱、でしょうか。
     圱のような人、でしょうか。
     その圱は、玺倪郎の圱に重なっおふくらみ すうっず䞭に入りたした。
     あれっ。あれあれっ。

     暗い顔をした玺倪郎が、背䞭を䞞めお垰っおゆきたす。
     蟻には鬌も来るのですが、わたしは文圊さんず九郎を芳るため留守にしおいたので  、"入っおしたった"のかもしれたせん。
     困りたしたね。
     あずでそちらを芳おくるずしお 文圊さんは蚀いたした。

    「がくはがくで自分をいいように扱うから、现かいこずは気にするな。それより祝蚀の支床だ。おたえが黒田家の、第䞀代圓䞻になるのだよ」

     九郎は目を逞らしながら、膝の䞊の拳を握りしめお唇を噛みたした。

      やっおしたったかもしれない。

     よかれず思っお䞎えた魚粥の、魚じゃないほうの呜が文圊さんを倉えたのか。
     もしもそうなら、二人は  
     そう、九郎ず文圊さんは、―― 《《混ざっおしたった》》。

     この頃起きた文圊さんの倉化も、そのためだったのかもしれたせん。 
     圌はたったく気づいおおらず、むしろ愉快に生きおいたす。

     ああ、蚀うべきか蚀わざるべきか。
     ――どうする、九郎や。

     
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